6月6日

原油市場パート3

 本日のブレント原油は、今朝からじり高基調を続けております。ベネズエラ国営石油会社が不可抗力条項を発動して一部の原油輸出停止を検討しているとの報道に原油価格が反応したようです。複数の情報筋は本日、ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)が、主要輸出港2港でタンカーの渋滞が解決せず、顧客が瀬取り(洋上での船荷積みかえ)に応じない場合は、不可抗力条項の発動を検討していることを明らかとしました。

 ベネズエラ国営石油会社は、20億ドルの調停金支払いを求める米石油大手のコノコフィリップスによる資産差し押さえを受けて、輸出用カーゴが不足気味となっているようです。それにより、原油積み出しが遅れ気味となり、主要輸出港2港でタンカーが渋滞しているようです。

 ベネズエラの物価上昇率が1万3000%というハイパーインフレとなっております。また、ベネズエラは、6月4日に予定していた自国通貨を1000分の1に引き下げるデノミを、新紙幣の原料不足を理由に8月4日に先送りしました。ベネズエラは、深刻な財政悪化により、同国原油生産が日量150万バレルとなり、この1年間で日量100万バレルも減少しました。しかし、ベネズエラ経済がここまで落ち込めば、あとは、上向きに転じるタイミング待ちかもしれません。

 「ベネズエラからの原油輸出が一部停止する」との観測でブレント原油がかなり上昇しましたが、ベネズエラの主要輸出港2港でタンカーが渋滞しているだけですから、原油の受け渡し方法を瀬取り(洋上での船荷積みかえ)に変えるだけで解決することです。それにより、ここは原油市場に対する戻り売りのポイントとなる可能性もあります。