6月8日

原油市場パート2

 複数の情報筋は6月6日、ペトロレオス社(ベネズエラ国営石油会社)が、主要輸出港2港でタンカーの渋滞が解決せず、顧客が瀬取り(洋上での船荷積みかえ)に応じない場合は、不可抗力条項の発動を検討していることを明らかとしました。そして、本日になってペトロレオス社が瀬取りを開始したことを関係者より伝えられております。これにより、ベネズエラの主要港からの原油輸出ペースがかなり改善されそうです。それにより、ベネズエラの石油輸出が一時的に急増する可能性もあります。

 昨年7月30日に実施された制憲議会議員選挙を契機に、米国のベネズエラに対する制裁が強化されました。そして、昨年8月25日には、米国の金融機関に対し、新たに発行されるベネズエラの国債やペトロレオス社(ベネズエラ国営石油会社)の債券の取引を禁じる措置が盛り込まれた制裁が発動されました。それによりペトロレオス社保有の製油所の稼働率が昨年7月に50%、昨年12月に15%まで低下し、同国原油生産が大幅に減少しました。それによりペトロレオス社は、資金不足による不十分なタンカーの掃除や点検が出来ず、原油の品質低下や原油生産量の減少を招き、米国の制裁等による原油輸出にも障害が生じました。

 2月以降からベネズエラ主要港沖で原油の積みこみ待ちのタンカーが増え始め、6月7日時点で80隻以上となったそうです。それでも5月末の同国原油輸出は日量145万バレルを保っており、年初から日量15万バレル程度の減少に留まっております。ちなみに、ベネズエラの原油輸出は、過去1年間で日量100万バレルほど減少しております。

 中国国有石油会社幹部からは、「ベネズエラ側は、瀬取りの実施を求めてきた。そして、追加コストは負担する意向を示した。」と述べております。本日よりベネズエラの主要港で瀬取が始まりましたが、瀬取りによる追加コストをベネズエラ側が負担するのであれば、これから瀬取りペースが加速しそうです。それにより、主要港沖で待機中の80隻以上に及ぶ石油タンカーへの瀬取が進めば、一時的にベネズエラからの石油輸出が急増する可能性もあります。それにより、強材料と捉えられてきたベネズエラ石油港問題が弱材料に転じる可能性もあります。