6月8日

原油市場パート3

複数の情報筋は6月6日、ペトロレオス社(ベネズエラ国営石油会社)が、主要輸出港2港でタンカーの渋滞が解決せず、顧客が瀬取り(洋上での船荷積みかえ)に応じない場合は、不可抗力条項の発動を検討していることを明らかとしました。そして、本日になってペトロレオス社が瀬取りを開始したことを関係者より伝えられております。更に、中国国有石油会社幹部からは、「ベネズエラ側は、瀬取りの実施を求めてきた。そして、追加コストは負担する意向を示した。」と述べております。

ベネズエラ側が瀬取りに伴う追加資金を負担する理由は、今すぐに現金が必要だからかもしれません。ベネズエラの物価上昇率が1万3000%というハイパーインフレとなっております。そして、ベネズエラは、6月4日に予定していた自国通貨を1000分の1に引き下げるデノミを、新紙幣の原料不足を理由に8月4日に先送りしました。財政悪化の為に新紙幣の原料購入が滞っただけに、ベネズエラ政府としてもベネズエラ国営石油会社を通じて今すぐにも滞り気味の石油輸出を急増させたいところでしょう。そうした背景を考えれば、ペトロレオス社(ベネズエラ国営石油会社)が、顧客が瀬取り(洋上での船荷積みかえ)に応じない場合は不可抗力条項の発動を検討していることを明らかとしたことも納得で来ます。そして、本日より追加費用がベネズエラ側負担となる瀬取りが始まり、主要港沖に積込み待ちのタンカー80隻以上が待機していることから、ベネズエラからの原油輸出が一時的に急増する可能性も高まってきました。