6月14日

原油市場パート5

 OPEC加盟国と非加盟国の計24か国の産油国は、2016年11月のOPEC総会で協調減産に合意しました。それにより、2017年1月からOPEC加盟国で日量120万バレル、非加盟国で日量60万バレルの協調減産を実施しました。それにより、当時44ドル付近まで下落していたブレント原油が先月中旬に80ドル台乗せとなりました。OPECが8年ぶりに減産を実施したことで、中東産原油やブレント原油が2倍近くにまで上昇することになりました。

一方、米原油生産は、2016年6~10月頃に日量850万バレル付近まで減少しましたが、2016年11月のOPEC総会で協調減産が合意されたことを受けて増加傾向に転じ、現在は日量1090万バレルまで240万バレルほど増加しました。しかも、今年は、年初からだけで日量140万8000バレルも増産しております。そして、WTI原油が3年半ぶりの高値まで上昇したことにより、ここにきて増産ペースが加速しております。

 調査会社のIHSマークイットは昨夜、米国のテキサス州付近に広がるバーミアン盆地における石油生産が、2023年までに現在の2倍となる日量540万バレルに達するとの見通しを発表しました。それによると、2018年から2023年にかけての3080億ドルに及ぶ設備投資が産油量を5年で2倍に押し上げると指摘しております。ただし、条件として、原油価格が60ドル以上で推移するとの想定に基づいた見通しだそうです。しかし、この見通し通りに米国の原油生産が倍増すれば、原油価格の大暴落を招くことも考えられます。更に、バーミアン盆地における天然ガスと天然ガス液(NGL)の生産が共に2023年までに現在の2倍ほどにまで増加し、天然ガスで日量150億フィート、NGLで日量170万バレルに達するとの見通しも発表しました。

主要消費国の一次エネルギー消費割合は、2013年時点で石油が32.9%、石炭が30%、天然ガスが23.7%です。そして、米国は天世界最大の天然ガス生産国であり、世界生産の2割強を生産します。現在のNY天然ガスは、2005年の高値の「6分の1」程度の水準であり、2008年の高値の「5分の1」程度の水準で推移しております。NY天然ガスは、米国のシェールガス開発ブームの到来を受けて、この13年間であまりにも大きく下落しました。世界最大の生産量を誇る米国の天然ガス生産が5年間で2倍にまで増加することになれば、冬季の暖房用燃料のほとんどが天然ガスとなり、灯油などの需要が激減することも考えられます。また、ガソリン自動車が減少し、天然ガス自動車が増加することや、火力発電における天然ガスの使用割合が増加し、重油の使用割合が減少することも考えられます。ちなみに、日本の火力発電に使用される燃料の割合は、2013年時点で天然ガスが43%、石炭が30%、重油が15%であり、日本の電力の大半を天然ガスが担っております。そうした背景を考慮すれば、原油市場が更に下落すれば、米国のシェールオイル生産とシェールガス生産への注目がより高まることになりそうです。そして、世界の原油需給への不安は、米シェールガスの増産が解決してくれるのかもしれません。

原油価格が大きく上昇すれば、それだけ強材料への注目も高まり、将来の供給不足に対する不安が強まります。しかし、原油価格が大きく下落すれば、それだけ弱材料への注目も高まり、将来の供給過剰に対する不安が強まります。しかも、投資家人気が最も強気に傾いたところが天井となり、最も弱気に傾いたところが底値となる傾向もあります。しかし、視点を少し変えれば、今後の相場展開のヒントが見つかることも考えられます。


NY天然ガスの月足

 

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