7月12日

原油市場パート2

 リビア西部の首都トリポリに拠点を置く国営石油会社(NOC)は11日、4カ所の主要石油ターミナルを再開することを発表しまいた。日量85万バレルの原油輸出量を誇るリビア東部の石油港は、同国東部を支配するリビア国民軍(LNA)が占拠したために、原油輸出が停止しておりました。これは、同国西部を拠点とする新国民議会と、同国東部を拠点とするリビア国民代議という2つの政府の利権争いでした。リビアでは、カダフィー独裁政権が崩壊して以降、2つの政府が対立する状態が続いております。日量75万バレルの石油輸出を誇るリビア東部の石油港が輸出再開となった事により、原油市場における供給不足懸念が一気に沈静化に向かいそうです。

 

下記の記事は、今月2日に製作しました過去記事です。参考にどうぞ。

7月2日

原油市場パート4「2つの政府が存在するリビア問題」

 東京ドバイ原油は、先週末の夜間取引で一時1230円高まで上昇する場面もありました。本日は、1時半ごろに670円高まで上昇する場面もありましたが、13:20時点で200円高付近まで失速しております。

西部の首都トリポリに拠点を置くリビア国営石油会社は6月29日、東部石油港のズエティナとハリカでの石油積込み作業に対して、7月1日から不可抗力条項を発動することを明らかとしました。首都トリポリに拠点を置くリビア国営石油会社は、「貯蔵能力の不足に加え、リビア国民軍がタンカーの入港を妨げて荷済み作業が出来ない。」と説明しております。不可抗力条項の発動を受けて更に日量35万バレルの原油輸出が減少する見込みであり、東部輸出港の輸出量減少は合計で日量80万バレルとなるそうです。

リビア国内では、同国西部の首都トリポリを拠点とする新国民議会と、同国東部の地方都市トブルクを拠点とする世俗派のリビア国民代議院による二つの政府・議会が存在し、それぞれから元首、首相を選出しております。リビア国営石油会社も東部と西部に別々に存在します。リビアでは、「アラブの春」という一連のデモの流れによりガダフィー独裁政権が崩壊し、それから同国内で2つの政府による紛争が続いております。それに反政府武装組織が加わって、「三つ巴の紛争」を続けている状態です。

 今回の一連の同国東部の石油港からの原油輸出減少は、同国西部の首都トリポリに拠点を置く新国民議会が石油販売の恩恵を独り占めするので、同国東部のリビア国民代議院としては、「同国東部の石油港からの原油販売の恩恵は、同国東部のリビア国民代議院のものだ」と主張し、同国東部の石油港をリビア国民代議院が制圧したことによって発生したようです。リビアでは、同国内に2つの政府がある状態が3年ほど続いております。これまでも、両政府の関係が悪化して同国石油輸出が減少しても、しばらくすると両政府の話し合いが進み石油輸出が回復するという流れを繰り返してきました。それにより、今回も両政府間の話し合いで妥協点が見つかると、同国東部の原油輸出が日量80万バレル回復する可能性もあります。これまでは、原油市場にとって「リビアの原油輸出減少」は強材料視されてきましたが、両政府の和解が成立して原油輸出量増加とれば、原油市場を圧迫する可能性もあります。