8月14日

新興国通貨

 トルコ代表団とサリバン米国務長官との会談が8~9日に行われ、トルコ当局による米国人牧師拘束に関する協議が行われましたが、協議は決裂しました。それを受けてトランプ大統領は10日、トルコの鉄鋼やアルミに対する関税を2倍にすることを表明しました。その直後からトルコリラが大暴落しました。

トルコ債を保証するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッドが昨日時点で5.82%まで上昇し、トルコのデフォルト・リスクが2008年のリーマンショック時以来の高さとなりました。それを受けて南アランドやメキシコペソ、インドルピーなど新興国通貨の多くが急落しました。2013年にFRBが量的緩和縮小を示唆したことで新興国通貨全体が急落した「テーパー・タントラム」以降で初めての本格的なコンテージョン(危機の伝染)となったようです。それに対してPQグローバルのCEOは「市場参加者が1国の悪いニュースを目にしてはっと気が付き、すべての地域を売りの対象にし始めるという、いつもの典型的な新興国市場のお話だ。」と述べております。

 トルコリラは、昨日13時ごろに1トルコリラ=15.3円まで下落しましたが、トルコ中銀による流動性供給の発表を受けて下落が止まり、その後は1トルコリラ=16円付近で小動きを続けております。しかも、昨日昼頃より上値が切り下がり、下値が切り上がる「三角保合い」の様相を呈してきたので、保合い放れに注目でしょう。

 トルコリラの暴落に追随した南アランドやメキシコペソ、豪ドルなどは、昨日昼頃から緩やかなじり高基調となっております。インドルピーは、先ほどから急伸しました。12:45時点で日経平均株価は250円高、NYダウ先物は33ドル高です。トルコと米国による「トルコ当局による米国人牧師拘束に関する協議」が今回の新興国通貨全体を巻き込んだコンテージョン(危機の伝染)のきっかけとなりましたが、新興国経済自体が悪化している訳でもないので、そろそろ新興国通貨全体の急反発に注目する局面にきているのかもしれません。
トルコリラ・円の60分足

 

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