下記のコメントは、本日配信しました週間レポートの一部です。参考にどうぞ。



金市場の総括

S&P500種株価指数が5カ月間ほど安定した上昇基調を続けている反面、NY金が5カ月ほど安定した下落基調を続けております。リスク志向の高まりで米国株が買われ、リスクヘッジ志向の金相場が売られ続けております。しかし、今週になってS&P500種株価指数が3日連続で最高値を更新し、期間14日の相対力指数(RSI)が1月以来となる70ポイント台乗せとなりました。それにより、高値警戒が高まりそうな展開となってきました。

 米国株は、2016年11月の米大統領選後から長期上昇トレンドを形成しております。2006年の米大統領選でトランプ氏が勝利し、共和党の議席が上院と下院で過半数を超えたことにより、「マニフェストで示されたトランプ大統領の政策がスムーズに進む」との観測が高まり、S&P500種株価指数が2年近く上昇し続けることになりました。

 11月の米中間選挙では、下院の全議席(435議席)と上院100議席中30議席が改選されます。現在のトランプ大統領の共和党の獲得議席は、上院100議席中51議席ですから、中間選挙で2議席失うと、共和党の上院議席が過半数割れとなり、民主党の上院議席が過半数を超えます。こうなれば、トランプ政権がこれから打ち出す新たな政策もこれまでのようにスムーズに実行することが出来なくなります。しかも、トランプ大統領に対するロシア疑惑や選挙資金疑惑などへの追及が今までと比べ物にならないほど厳しいものとなります。こうなれば、米国株の本格的な調整安局面を招く可能性が高まります。しかも現在のS&P500種株価指数が最高値水準にあることから、11月6日の米中間選挙が意識され始めると、米国株への利益確定の動きが強まり、「リスクヘッジンの金投資」への注目が高まる可能性もあります。2016年11月の米大統領選後から上昇基調を始めた米国株ですから、2018年11月の米大中間選挙前に米国株への高値警戒が高まることは仕方がないことかもしれません。

 米国経済成長の堅調さを反映して米国株が上昇を続けております。米国の実質GDPが約17兆5976万ドルとなり、リーマンショック前となる2017年当時(14兆8735億ドル)から約18%増加し、その間にNYダウが2007年当時の最高値の2倍となりました。2008年のリーマンショック時の安値(6469ドル)からでは、NYダウが4倍になりました。トランプ政権誕生からの1年3か月間でNYダウが8000ドルほど上昇し、過去最大の上げ幅となりました。トランプ大統領が唱える「アメリカ・ファースト」的な政策を受けて米国株が驚くほど大きく上昇しました。その反面、トランプ政権による経済制裁を受けてイランとロシア、中国、トルコの通貨が暴落し、新興国通貨全体が急落することになりました。そして、イランやロシア、中国の株価が急落し、新興国の株式市場全体も急落しました。上海総合株価指数も年初の高値から26%の下落となり、弱気相場入りとなりました。米国株やドルが上昇を続ける反面、新興国の株式や通貨が急落しております。しかし、11月の米中間選挙に向けて、トランプ政権の共和党の上院での議席数が過半数割れとなる懸念が高まることになれば、これまでの「米国の株高&ドル高」と「新興国の株安&通貨安」という流れが反転し、売られ続けてきた金相場が上昇基調に転じる可能性も高まります。それにより、これから米中間選挙に向けては、金相場に対する強気や新興国の株式と通貨に対する強気な見方も一考かもしれません。

 NY金におけるファンドポジションは、8月14日時点から売り越しに転じ、2週連続で売り越しとなりました。NY金におけるファンドポジションが前回売り越しに転じたのは16年前であり、その時は1週間だけ売り越しに転じました。ファンドポジションがここにきて2週連続で売り越しとなりましたが、NY金が8月16日の安値(1161ドル)から1200ドル台乗せへと上昇したことを受けて、ファンドポジションが再び買い越しに転じた可能性も高まってきました。NY金におけるファンドポジションが16年ぶりに売り越しに転じ、それと共にS&P500種株価指数が7カ月ぶりに最高値を更新しており、そろそろ「米国株高&NY金安」の限界に達しているのかもしれません。

トランプ政権が対中制裁関税第3弾となる2000億ドル相当の対中関税のパブリックコメント期間が9月6日で終了することから、期間終了後にトランプ政権が2000億ドル相当の対中関税を発動させる可能性が高まってきました。米中貿易摩擦の更なる高まりが世界経済を圧迫する可能性が高まっており、最高値付近にあるSP500種株価指数が調整局面を迎える可能性も出てきました。2000億ドル相当の対中関税が発動されて「米国株安&円高」の流れが強まる可能性もあるだけに、リスクヘッジ志向の金投資に注目する局面にきているのかもしれません、ここは、東京金の強気な見方に注目ではないでしょうか。
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