9月7日

トランプ相場の展望

 米国の経済制裁を受けて多くの新興国の通貨と株式が急落しました。米国は、昨年8月よりベネズエラに経済制裁を実施しており、ベネズエラの原油生産が激減し、先月にはベネズエラが自国通貨を10万分の1にするデノミを行ったほどベネズエラ経済は荒廃しました、今年になって米国は、中国やロシア、北朝鮮に度重なる経済制裁を実施し、トルコやイランにまで経済制裁を実施しました。そして、米国とメキシコ&カナダとの貿易摩擦も高まりました

中国元が急落し、上海総合株価指数も5月頃から急落して5年ぶりの安値まであと2%弱に迫りました。ロシアのルーブルは2年ぶりの安値となり、トルコのリラは最安値を更新しました。イランの自国通貨も暴落し、イラン経済もかなり荒廃しております。ここにきて「新興国市場のリスクの伝染拡大」が騒がれておりますが、その引き金を引いたのは、米国政府による複数の新興国に対する経済制裁でしょう。

米国による経済制裁や米国との貿易摩擦により、中国やロシア、トルコ、イラン、ベネズエラなど多くの新興国の通貨と株式が急落し、その流れは、インドやインドネシアや南アフリカなど多くの新興国市場にも波及しました。トランプ政権が「アメリカ・ファースト」的な政策を強めており、2016年の米大統領選でトランプ政権が誕生して以来、S&P500種株価指数が5割ほど上昇して最高値を記録した半面、MSCI新興国株価指数が1月の高値から20%以上下落して弱気相場入りとなり、新興国市場のリスクの伝染拡大が深刻化しております。一方、米国とEUとの貿易摩擦を嫌気が嫌気され、ユーロストック50株価指数も年初の高値から10%ほど下落しました。その反面、S&P500種株価指数が最高値となり、ますます「米国株一強」的な展開となっております。こうした米国株1強の流れは、2016年11月の米大統領選後から始まった「トランプ相場」の集大成といったところでしょうか。トランプ大統領の共和党が2016年11月の米大統領選で上院と下院の過半数議席を取得したことにより、「トランプ大統領の掲げるマニフェストはスムーズに実行される」との観測が高まり、トランプ相場が始まりました。しかし、共和党の上院議席は、100議席中51議席ですから、11月6日の米中間選挙で共和党が上院議席を1議席失うことになれば、共和党の上院議席が「過半数割れ」となります。そうなると、トランプ政権のその後の政策進行は、これまでのようにスムーズにはいかなくなります。しかも、トランプ大統領へのロシア疑惑や選挙資金疑惑への追及がこれまでと比べ物にならないほど強まることになりそうです。2016年11月の米大統領選後から始まったトランプ相場は、米中間選挙が迫ってきたことを受けて、そろそろ終焉の時を迎えるのかもしれません。それにより、そろそろリスクオフの流れへの対応を進めることも必要かもしれません。