会員の皆様に本日発行しました週間レポートの一部を紹介します。


天然ゴム市場の総括

東京ゴムの当限と先限の価格差は、7月下旬頃は5~7円幅程度でしたが、今月初めには13円幅付近まで拡大し、9月28日9時時点で26円付近まで拡大しております。当限と先限の価格差急拡大を受けて東京ゴムにおける投資家の買い越し枚数は、この2カ月間で4000枚ほど減少し、この3週間だけで2400枚ほど減少しました。当限と先限の価格差が25円幅を超えたことは、平成になってから初めての事です。それにより、当限に比べて先限の割高感が高まり、買い方投資家の手じまい売りを大量に誘ったようです。特に注目すべきは、東京ゴムは2カ月間ほど横ばいを続けているものの、それでも投資家の買い越し枚数が4割ほど大幅減少したことでしょう。これは、「当限と先限の価格差拡大に伴う先限の割高感」としか説明できないのかもしれません。

現在の東京ゴム先限は、タイ・バンコクのRSS3号現物価格による輸入採算価格とほぼ同水準であり、適正価格といえそうです。しかし、産地現物価格が生産コストとされる水準を1割ほど下回っている水準であり、東京ゴム先限の時間的プレミアム(建玉維持出来る期間内に上昇する可能性に対するプレミアム)を考えれば、このような水準では、東京ゴム先限が輸入採算価格を10~15円ほど上回るケースが一般的でので、現在の東京ゴムの先限に対する投機プレミアムは「ほぼセロ」といえるのかもしれません。それも、当限がここまで安ければ当然かもしれません。

東京ゴムの期先限月がさや滑りするかが投資家の気になるところかもしれあません。期限切れ寸前の品質の劣化した渡し物圧力を考えれば、10~11限か10~12限は、納会に向けてさや滑りの可能性はあります。しかし、現在国内にある期限切れ寸前の現物も時間経過と共に先物市場で受け渡しできなくなります。東京ゴムの受渡供用品には、「指定倉庫への庫入れ及び輸入通関が完了し、かつ、輸入通関完了の日から1年を経過していないもの。」という条件があります。それにより、現在の期先限月が大幅なさや滑りとなる可能性は低そうです。現在のタイ・バンコクのRSS3号現物価格でさえ1キロ当たり46.24バーツ(約161.5円)ですから、現在の東京ゴムの期近限月がいかに実勢価格からかけ離れた価格が形成されているかを考える必要もあります。

天然ゴム生産国協会(ANRPC)は9月25日、「8月の天然ゴムの動向と統計」を発表しました。それによると、1~8月の天然ゴム生産が前年同期比1.3%増の851万トン、1~8月の天然ゴム消費は前年同期比5.5%増の934.2万トンとなり、1~8月の世界需給が83.2万トンの供給不足となった事が報告されました。天然ゴムはあくまでも農産物ですから、天候変化により生産高も変化します。特に警戒するべきは、天然ゴムの主生産地となるタイ南部の多雨期(11~12月)かもしれません。雨季の中でも多雨期が最も降水量が多くなります。今年は、偏西風の大蛇行が発生し、日本や中国、欧州、ロシア、南アフリカ、オーストラリアなどで夏場に高温障害が多発しました。そして、エルニーニョ現象が秋~冬に発生する確率が60%(気象庁の予想値)もあることは気になります。エルニーニョ現象の前兆である「南米ペルー沖の海水温が低下し、東南アジアの赤道付近の海水温が上昇」という傾向がこれから強まるとの見通しが気象庁から報告されております。東南アジアの赤道付近の海水温が上昇すれば、天然ゴム生産地のタイやインドネシア、マレーシアで降水量が例年より増加する可能性が高まります。
 東京ゴムの当限と先限の価格差が気になるのであれば、TOCOMで10月9日から上昇開始されるTSRゴムも一考かもしれません。TSRゴムの納会受け渡しは、タイやマレーシアの港渡しとなるので、現在の東京ゴムの期近限月のような実勢価格を大幅に下回る価格が形成される可能性はかなり低そうです。現在のシンガポール市場でのRSS3号とTSR20号の価格差がキロ当たり7セント(約8円)ですから、TSRゴム先限は東京ゴム先限より8円ほど安い水準で始まる計算です。TSRゴムが上場された時に東京ゴム先限よりTSRゴム先限が8円以上安ければ、TSRゴム先限を買うことも一考かもしれません。

国慶節により中国市場は10月1日~7日が休場となります。その間に上海ゴムが7連休となるので、東京ゴムの値動きがほとんど動かなくなる可能性もありますが、その反面、大荒れとなる可能性もあります。2017年1月の春節(旧正月)による7連休中は、東京ゴムが50円強の急騰後に50円強の急落となりました。2017年10月の国慶節による8連休中は、東京ゴムが8円ほど上昇しました。10月1~7日の中国市場の7連休中の東京ゴムは、警戒が必要かもしれません。そして、中国市場の7連休が終われば、10月9日にTOCOMでTSRゴムが上昇される予定です。TSRゴムに注目することも一考かもしれません。