10月10日

金市場&原油市場パート2

米10年債利回りは、2016年11月の米大統領選前は1.5%程度でしたが、その後はトランプ相場と共に上昇を続け、昨日18時頃に3.261%まで上昇して7年ぶりの高利回りを記録しました。さすがにここまで長期金利が上昇すると米国株が不安定となり、NYダウが10月4日頃から下落基調を強めました。その後の米10年債利回りは、昨日18時頃の3.261%付近から昨日24時ごろの3.203%付近まで少し低下しました。それを受けて急落しかけていた昨夜のNYダウがかなり持ち直すことになりました。しかし、これから本格化する7~9月期決算発表シーズンを受けて再び長期金利が大きく上昇する可能性もあります。

 米国企業の7~9月期決算発表シーズンが来週から本格化し、今月第4週と第5週にクライマックスを迎えます。ロイターによるS&P500種採用企業の利益予想は、前年同期比21.5%増となり、エネルギーセクターを除いた企業利益予想は前年同期比18.5%増となっております。これまで発表された21社のうち、企業利益が市場予想を上回ったのが85.7%となり、良好な決算発表シーズンのスタートとなりました。

 NYダウやS&P500種株価指数が共に今月になって最高値を更新しており、今回の7~9月期決算発表で企業利益が良好であることはある程度予想されていることです。しかし、好決算を受けて米国の利上げ観測が更に高まって長期金利が更に上昇することになれば、米国株式市場に対する投機人気が急速に低下することも十分考えられます。2016年11月の米大統領選前のように米10年債利回りが1.5%程度で長期金利が極めて低い状態では、米国株式市場への投資は十分に魅力的です。しかし、米10年債利回りが3.5%付近にまで上昇すれば、下落リスクにさらされながら米国株に投資する意味が薄れます。そして、米10年債利回りがこの1カ月半で2.8%付近から3.26%付近まで急上昇をしていることと、S&P500種採用企業の利益予想が前年同期比21.5%増となっていることを考えると、米国株などリスク志向の銘柄に対して高値警戒を強めることも必要かもしれません。そうした意味では、リスク志向の原油市場で弱気し、リスクヘッジ志向の金相場で強気して米国株の下落に身構えることも一考かもしれません。

米10年債利回りの日足