10月11日

金市場パート2&原油市場パート4

 来週から米国企業の7~9月期決算発表シーズンが本格化するだけに、それを前にして昨夜の米国株が暴落したことも頷けます。ロイターによるS&P500種採用企業の利益予想は、前年同期比21.5%増となり、エネルギーセクターを除いた企業利益予想は前年同期比18.5%増となっております。これまで発表された21社のうち、企業利益が市場予想を上回ったのが85.7%となり、良好な決算発表シーズンのスタートとなりました。予想通りに企業利益が前年同期比21.5%増となれば、リーマンショック後で最高の企業利益の増加率となります。しかし問題は、「企業利益」ではなく、それと同時に発表される各社の「来年1~3月期の業績見通し」との見方が多いようです。

 ここにきて米中貿易戦争が長期化するとの見方が増えてきました。国際通貨基金(IMF)は10月9日、世界経済見通しを引き下げました。それによると、「制裁関税を各国・地域に仕掛ける米国が、最も大きな打撃を受けると分析した。」と指摘しております。更に、貿易摩擦による米国の経済成長への悪影響は、2020年に1.0%となって最も大きくなる見通しです。今回の四半期決算発表において、米中貿易戦争の長期化を見込んで、「来年1~3月期の業績見通し」を大幅に引き下げる企業が続出する可能性も高まっております。そうなれば2年間で2倍にまで上昇したNYダウが大幅安となる可能性も高まります。しかも、米大統領選で勝利した与党が米中間選挙で不利になる確率が高いという過去のデータもあり、米中間選挙を前にして米国株への利益確定の動きが進んだようです。

 米国企業の7~9月期決算発表シーズンは、来週から本格化し、今月第3週と第4週にクライマックスを迎えます。そして、11月6日に米中間選挙が行われます。しかも、米大統領選後や米中間選挙後に米国株が上昇する確率が高いという過去のデータもあります。こうなると、「米国企業の7~9月期決算発表シーズンが本格化する前に米国株への利益確定を行い、米国株が7~9月期決算発表シーズンで売られ続け、その後の米中間選挙後から米国株への買い参戦を考える。」という投資家が増えても当然かもしれません。11月6日の米中間選挙に向けて米国株の下落を中心としたリスクオフの流れが続くと考えるのであれば、11月6日の米中間選挙に向けてリスク志向の原油相場を弱気し、リスクヘッジ志向の金相場を強気することも一考かもしれません。