11月19日

白金市場パート2

 先週末のNYパラジウムが最高値を記録し、ロジウムが5年ぶりの高値を記録しました。パラジウムもロジウムも共に自動車触媒に多く使用されます。パラジウムは3年連続で供給不足となっており、今後3年間も供給不足が続く見通しとなっております。自動車触媒メーカーであるジョンソン・マッセイGFMSは、「今年のパラジウム需給は、23万9000オンスの供給不足となり、2020年までの3年間で100万オンスの供給不足が発生する。」との見通しを発表しております。パラジウムが過去20年間で最も深刻な供給不足に陥っております。

 パラジウムの80%が自動車触媒に使用されております。最近の欧州や中国の自動車販売台数の伸びが少し鈍化してきましたが、それでも中国では、大気汚染を解決するために厳しい排ガス規制を実施しており、それによりパラジウムの需要が伸びているそうです。ブルームバーグのレポートでは、「中国がスモッグ被害を減らそうとしたためにパラジウム需要が急増した。厳しい公害基準により、自動車メーカーが触媒コンバーターでパラジウムを多く使用した。」と指摘しております。

 パラジウムは、3年連続で供給不足となっており、2020年までに更に100万オンスが供給不足となるそうですから、価格高騰はしばらく止まらないと考えるべきかもしれません。現代の自動車触媒は、「三元触媒」と呼ばれており、パラジウムとロジウム、白金の三元素で構築されます。ガソリン車ではパラジウムの使用割合が増加し、ディーゼル車では白金の使用割合が増加します。NYパラジウムは、過去10年間で4倍ほどにまで高騰しておりますが、今後も更に深刻な供給不足が予想されているだけに、パラジウムやロジウムの価格上昇はしばらく続きそうです。

 昨年10月頃から東京パラジウムと東京白金の価格が初めて逆転し、今では、東京白金より東京パラジウムが800円ほど高くなっております。パラジウム価格高騰がこれ以上続けば、「自動車触媒におけるパラジウムの代替銘柄としての白金」が注目されることになりそうです。ここにきて東京パラジウムが最小高根を更新して急騰してきましたので、出遅れ物色として同じ自動車触媒用金属である白金に注目することも一考かもしれません。
パラジウムと白金の価格差グラフ2