12月6日

金市場

 昨夜の米国株式市場は休場でしたが、今朝からのNYダウ先物は、200ドル安付近で推移しております。4日のNYダウが799ドル安となっただけに、今夜のNYダウも下落することになれば、リスクオフの流れがかなり強まりそうです。

 東京金は、8月中旬から安定した上昇基調を続けております。一方、NY金は、先月中旬から上昇基調を続けております。今年は、年初からNYダウが最高値を更新し続け、1月26日に2万6616ドルまで上昇しました。一方、商品市場の中核的存在であるNY原油も9月下旬まで上昇基調を続けました。今年は、9月頃まではリスクオンの流れが続き、それを受けて東京金も8月16日に年初来安値(4112円)を記録しました。しかし、10月上旬からNYダウとNY原油が下落基調に転じ、それと共に東京金が上昇基調を強めました。

 今年のマーケット全体の値動きは、「1972年以降で最悪」との見方もあるようです。ネッド・デービス・リサーチ(NDR)が債券や米国株、国外株、商品などマーケットを大きく8つの資産クラスに分類した調査では、「今年5%を超えるリターンを残しそうな資産クラスは一つもない。この現象は1972年以降なかったものだ。」と指摘しております。2008年のリーマン・ショックの時は、世界的に株価が大暴落しましたが、それに反して債券価格が急上昇し、投機資金が株式市場から債券市場に流れました。しかし、今年は、株式市場も商品市場も失速し、債券市場や不動産市場も失速するなど、「投機資金の受け皿」が見当たらないことに関しては、NDRが指摘したように「1972年以降で最悪」との見方も出来ます。しかも、来年の米国経済や世界経済が減速するとの観測も強まってきただけに、来年も今年以上に「投機資金の受け皿」となる市場の必要性が高まりそうです。

 米中首脳会談で米中貿易戦争が先送りされたことに反応して12月3日のNYダウが上昇しましたが、今回の米中通商交渉で進展はほとんどなかったことに失望して4日のNYダウが大暴落となりました。そして、「米国利回り曲線のフラット化が経済減速の前兆」などのニュースや、「英国のEU離脱問題」などのニュースも、ここにきて毎日のように目につくようになってきました。これからの投資家にとって必要なものは、株式市場や不動産市場などのリスク志向の市場に対する「投機資金の受け皿的銘柄」といったところかもしれません。そうした「投機資金の受け皿的銘柄」の一つとして、金相場に注目することも一考かもしれません。