12月10日

金市場

 先週末のNYダウが558ドル安となり、それを受けて先週末のNY金が1246ドルまで上昇しました。本日10時時点で、NY金の電子取引が1255ドルとなり、NYダウ先物が221ドル安の2万4210ドルです。NYダウ先物は、1カ月半ほど前から2万4200ドル付近での下値抵抗線を形成しております。

 先週末のNYダウは、週間で1000ドル強の下落となり、リスクオフの流れがかなり強まりました。一方、中国の11月の対米貿易黒字が約356億ドルとなって過去最高を更新し、11月の中国の対米輸出が前年同月比9.8%増、11月の中国の対米輸入が前年同月比25%減となりました。トランプ大統領が米中貿易不均等是正に動いてきましたが、それでも中国の11月の対米貿易黒字が過去最高を更新することになりましたので、米中貿易摩擦がこれまで以上に強まることも予想されます。

 米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は6日、貿易関税引き上げによる米経済への影響はこれまでのところ比較的小さいとした上で、「信頼感と企業投資が打撃を受けており、雇用と経済成長が阻害される。短期的には雇用にマイナスで、経済を鈍化させる要因だ。」と述べました。貿易不均等是正のための関税引き上げが米国経済を圧迫しているようです。

 昨年末のNYダウの終り値が2万4719ドル、年明けの寄付きが2万4809ドルであり、先週末のNYダウの終り値が2万4388ドルですから、現時点での今年のNYダウは、年足ベースで「陰線」となっております。それにより、クリスマス休暇前の欧米投資家のポジション整理で一段安となる可能性もあります。それだけに、今後も、「リスクヘッジの金投資」は注目でしょう。

12月10日

原油市場

 先週末のNY原油は、OPECプラスの増産決定を受けて一時54.2ドルまで上昇しましたが、その後は、米国株の急落を受けて失速し、52.6ドルで取引を終えました。本日のNY原油の電子取引は、9時時点で52.4ドルです。

 先週末のNYダウは、558ドル安となりました。これまでの安値は、10月29日が2万4122ドル、11月23日が2万4268ドル、12月6日が2万4242ドル、12月7日が2万4284ドルとなり、先週末のNYダウが、1カ月半ほど前から形成されている2万4200ドル付近の下値抵抗線付近まで下落しました。本日のNYダウ先物は、9時時点で200ドル安の2万4234ドルです。今週の注目は、NYダウが2万4200ドル付近の下値抵抗線を割り込むかどうかかもしれません。

 OPEC加盟国と非加盟国からなるOPECプラスは7日、日量120万バレルの協調減産で合意したことを発表しました。配分は、OPEC加盟国で日量80万バレル、ロシアなど非加盟国で日量40万バレルの減産となります。

 ロシアは、10月の産油量(日量1140万バレル)から20万バレル減産することになりました。OPEC加盟国で第2位の産油量を誇るイラクは、日量14万バレル減産することになりました。一方、サウジアラビアのファリハ・エネルギー相は、12月の産油量が前月比40万バレル減の日量1070万バレルとなり、来年1月は日量1020万バレルにまで減産する見通しであること発表しました。サウジアラビアの産油量は、11月の産油量(日量1110万バレル)から来年1月に日量1020万バレルまで日量90万バレルも減少することになる予定です。そして、この1年間で産油量が大幅減少したイランとベネズエラとリビアは、協調減産から除外されることになりました。

 ベネズエラは、米国による昨年8月からの経済制裁を受けて産油量が大幅に減少しました。そして、米国がベネズエラをテロ支援国家に認定する可能性も高まっているので、更なる産油量の減少も予想されます。米国はイラン産原油輸出に対する経済制裁を11月5日から実施しましたが、中国や日本など8カ国が制裁対象から除外され、その除外期間が最大180日間とされました。その8カ国による昨年のイラン産原油輸入量は、イラン産原油輸出全体の8割ほどを占めることから、実質的には米国がイラン産原油輸出に対する制裁開始を最大180間ほど先延ばしにしたような状態となりました。それにより、来年5月5日から実質的な制裁が始まることになるので、4月頃からイラン産原油輸出が再び減少傾向を強めるものと見られております。