12月11日

原油市場

 リビア国営石油会社は10日、同国内最大のエルシャララ油田が民兵に占拠されたことを受けて、同油田からの石油輸出に対して不可抗力条項の発動を宣言しました。エルシャララ油田の停止により日量31万5000バレルが失われ、エルフィール油田からも日量7万3000バレルの生産が失われたそうです。両油田合計で日量38万8000バレルもの原油生産が失われたことになります。

エルシャララ油田などがあるリビア東部石油港からの原油輸出が今年の春頃から夏ごろにかけて全面停止し、日量80万バレルの石油輸出が停止したこともありました。リビアでは、カダフィー独裁政権が崩壊したことにより、中央政府と地方政府という2つの政府が対立し、それに反政府勢力も加わって三つ巴の抗争を続けております。

今月になって カナダ・アルバータ州が日量32万5000バレルの減産を表明しました。そして、OPECプラスが日量120万バレルの協調減産合意を表明しました。そして、ここにきてリビアのエルシャララ油田とエルフィール油田の合計で日量38万8000バレルもの原油生産が停止しました。原油生産高の減少は、OPECプラスとカナダとリビアの合計で日量191万3000バレルに達する計算となるだけに、原油価格が上昇に転じるのも時間の問題かもしれません。

米週間石油在庫統計に対する市場予想は、原油290万バレル減、ガソリン250万バレル増、ディスティレート170万バレル増となり、製油所稼働率が0.6%上昇の96.1%です。米原油在庫は、9月中旬から10週連続で増加しましたが、先週の発表で11週間ぶりの増加となりました。製油所稼働率も夏場に記録した今年の最高値まであと2.6%にまで迫っており、冬の暖房用燃料需要もかなり高まってきただけに、米原油在庫の増加ペースがしばらく続きそうです。

12月11日

金市場

 昨夜のNYダウは、序盤で一時508ドル安の2万3881ドルまで下落して先月安値や先々月安値を大きく下回る場面もありましたが、その後はじり高基調を続けてプラス転換となり、34ドル高の2万4423ドルで取引を終えました。本日のNYダウ先物は、9時半時点で78ドル安です。NY金の電子取引は、昨日午前に1255ドル付近まで上昇しましたが、その後は少し軟化し、現在は1249ドル付近で推移しております。ドル円は、昨日15:15比で70銭の円安です。東京金は、10時半時点で10円高です。

 NY金は、先月中旬から上昇基調を続けております。昨夜のNYダウが一時8か月ぶりの安値を記録する場面もあり、そうしたことも「リスクヘッジの金相場」を下支えしている野間もしれません。米債券利回りのイールドカーブが逆転し、米国の短期金利と長期金利の逆転が景気後退の可能性を暗示しているとの見方も、「リスクヘッジの金投資」を下支えしているようです。リーマンショック後から10年間ほど米国株が上昇基調を続けてきた事による高値警戒感と、今後の米国経済成長が鈍化するのと観測による「米国株式市場に対する不安感」は、今後も金市場のサポート要因となりそうです。