3月29日

白金市場

 南アフリカエネルギー規制当局は3月7日、電力価格の引き上げを承認しました。それを受けて南アフリカ国営電力会社のエスコムは、4月1日から電力料金を13.8%引き上げます。エスコムからの電力供給の30%が同国鉱山会社と金や白金の精錬会社に供給されるだけに、電力化価格の大幅上昇を受けて、南アフリカの金や白金の生産コストが大幅に上昇することになります。

南ア鉱山協議会のバクスター最高経営責任者は、「来週月曜からの電力価格の引き上げは、精錬所と同様にすべての鉱山労働者を傷つけることになる」と指摘しております。南ア評議会は、「9万人の金と白金鉱山労働者がリストラの危機にさらされる」と指摘しております。9万は、鉱山業界全体の19%に相当します。エスコムの負債総額が4300億ラント(約3兆2600億円)にまで膨らんでいるだけに、電力価格の引き上げは今後も続きそうです。そして、石炭による火力発電に依存している南アフリカでは、石炭価格が3年間で3倍近くにまで高騰した影響により、更なる電力料金の引き下げは避けられないと考えるべきかもしれません。

南ア白金鉱山のキャッシュコストの17%が電力代であり、南ア金鉱山のキャッシュコストの25%が電力代とされております。それにより、電力価格が4月1日から13.8%上昇するということは、南ア白金鉱山におけるキャッシュコストが1トロイオンス当たり2.3%(約20ドル)上昇する計算となります。それにより、これまでのNY白金の底値圏が20ドルほど引き上げられることになりそうです。