4月15日

原油市場パート3

米中貿易摩擦の高まりを受けて昨年10~12月期のコモディティー価格が大きく下落しました。しかし、今年になって米中通商交渉が前進したことを受けて、コモディティー価格が大きく上昇しました。バークレイズの報告によると、今年の1~3月期に投資家資金がコモディティーファンドに147億ドル流入したそうです。そして、コモディティーファンドの今年の1~3月期の投資家の利益は、昨年10~12月期の投資家の損失を上回ったそうです。そして、今年の1~3月期にコモディティーファンドに流入した投資家資金147億ドルに対して、55億ドルがエネルギーファンドに流入し、42億ドルが農業ファンドに流入したそうです。1~3月期のシカゴコーンとシカゴ大豆とシカゴ小麦が下落しているので、農業ファンドに資金を投入した投資家は、値洗いマイナスとなっているようです。

 バンコク・オブ・アメリカ・メリルリンチによると、年初からコモディティー価格が16.6%、世界の株式が13.6%上昇したそうです。今年の1~3月期の上昇率は、NYダウで14.2%、NY原油で32%です。ちなみに、昨年10~12月期の下落率は、NYダウで11.8%、NY原油で38%です。そして、NYダウとNY原油は、共に昨年10月3日に年初来高値を記録し、共に昨年12月24日に年初来安値を記録しており、「NYダウとNY原油の連動性」は注目でしょう。

 55億ドルの投資家資金が1~3月にエネルギーファンドに流入し、その間にNY原油におけるファンドの買い越し枚数が、27万枚付近から48万枚付近まで膨らみました。それによりファンドの買い越し枚数が昨年10月中旬の水準まで回復しました。

 大量の投資家資金が1~3月期にコモディティーファンドや株式市場に流入しました。昨夜のS&P500種株価指数が、昨年9月に記録した史上最高値(2万940ポイント)まであと30ポイント(1.1%)に迫っており、米国株に対する高値警戒感もかなり高まってきたように感じられます。先週末より米国企業の1~3月期決算発表シーズンが本格化しており、S&P500種採用企業の1~3月期企業利益が前年同期を割り込むことになれば、これまでの反動により大量の投資家資金がコモディティーファンドや株式市場から流出し、コモディティーや米国株が急落する可能性も高まります。今回の2019年1~3月期のS&P500種採用企業の企業利益は、プロプライエイター・リサーチの見通しでは前年同期比で2.2%減となっており、久々に減益予想となっております。それだけにここでは、原油や米国株の下落に備えるタイミングかもしれません。