5月22日

トウモロコシ市場パート2「天候相場への期待は避けるべきか?」

 添付しているシカゴコーンの月足には、エルニーニョ現象の発生期間を赤枠で示し、ラニーニャ現象の発生期間を青枠で示しております。過去19年間でエルニーニョ現象が6回発生しましたが、エルニーニョ現象が発生してシカゴコーンが春~夏に大相場となったことは一度もありません。その反面、過去19年間でラニーニャ現象が6回発生しましたが、ラニーニャ現象が発生して春~夏にシカゴコーンが大相場に発展したことも一度もありません。しかし、秋から翌年の春にかけてラニーニャ現象が発生し、それを受けてシカゴコーンが大相場に発展したことが2回ほどあります。

 米中西部穀倉地帯では、エルニーニョ現象が発生すると、春~夏の気温は低下する傾向が強まり、「涼しい夏」の影響で干ばつや高温障害による受粉率の低下といった可能性が低下します。その反面、ラニーニャ現象が発生すると、春~夏に干ばつや高温障害が多発するとされております。しかも、カリブ海付近から米国に北上するハリケーンは、エルニーニョ現象発生期間で激減し、ラニーニャ現象発生期間で多発するとされております。今年は、エルニーニョ現象の影響で米国に上陸するハリケーンが激減する可能性も高いだけに、「ハリケーンによる洪水被害」の可能性は低そうです。

 秋から翌年の春にかけてエルニーニョ現象が発生すると、南米の穀倉地帯で干ばつや高温障害が多発するとされております。そのパターンでシカゴコーンが2006~2007年度に大幅上昇となりました。秋から翌年の春にラニーニャ現象が発生すると、南米の穀倉地帯で洪水や低温障害が多発するとされております。そのパターンで2007~2008年度と2010~2011年度のシカゴコーンが大相場に発展しました。南米の穀物は、秋に作付けして翌年の春に収穫します。米国の穀物は、遺伝子操作が進んでいるので、天候変化や害虫などへの耐性がとても強くなっております。それにより、米国の穀物が不作に転じる可能性は極めて低くなりました。その反面、南米の穀物はそれほど遺伝子操作が進んでいないので、ちょっとした天候変化で不足に転じる可能性もあります。

意外かもしれませんが、シカゴコーンが春から夏にかけて3ドル以上上昇したことは、過去19年間で一度もなく、2012年に2ドルほど上昇したことが最高です。2008年と2012年のシカゴコーンの大相場でも、作付け開始から1ドル程度しか上昇しておらず、前年からの大相場による影響が大きかったようです。これも米国の穀物の遺伝子操作が発達した恩恵でしょう。穀物相場に対して、「天候相場による大相場」を望むのであれば、秋から翌年の春にかけてエルニーニョ現象かラニーニャ現象が発生しているタイミングを吟味する必要がありそうです。

 

シカゴコーンの月足
 

 

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