5月30日

トウモロコシ市場

 シカゴコーンは、先週末から2連騰となりましたが、29日は、序盤で一時18ドル高の418.75セントまで上昇しましたが、その後急落して1.5セント安の418.75セントで取引を終えました。前日に米農務省から発表された週間作柄・育成進展で作付け遅れが示されたことを受けて、「噂で買って、事実で売れ」という相場格言通りの反応となりました。それを受けて本日の東京トウモロコシは、12:40時点で500円安です。

 中国政府は昨年秋に米国産大豆と米国産トウモロコシ製品に対する関税引き上げを実施しました。それを受けて中国による米国産大豆の輸入量が激減し、シカゴ大豆が11年ぶりの安値まで下落し、米国の大豆農家が大打撃を受けました。そうした背景を考えれば、現在は洪水の影響で作付け作業が遅れているものの、これからトウモロコシの作付け拡大に動く農家は増えそうです。それでも米国産トウモロコシの作付け遅れを完全に取り戻すことは日柄的に考えて難しいのかもしれません。

5月26日終了週時点での米国産トウモロコシの作付け進展が58%となり、前年同期の90%を大きく下回りました。米イリノイ大学は今月24日、2019~2010年度の米国産トウモロコシの作付面積が、5月の米農務省予想(9280万エーカー)を500~1000万エーカー下回るとの見通しを示しました。そして、今年の米国産トウモロコシの単収が1エーカーあたり170.0ブッシェルにまで落ち込むとの見通しを示しました。

米国産トウモロコシの単収を1エーカーあたり170ブッシェル、1エーカー当たりの維持コストを過去5年平均の683.88ドルで計算すれば、1ブッシェル当たりの生産コストは、683.88ドル÷170ブッシェル=約402セントとなります。それに対して現在のシカゴコーンが415セントですから、「現在の米国産トウモロコシの作付け遅れは、現在の価格水準に織り込まれている」と考えるべきかもしれません。

ちなみに2018~2018年度の米国産トウモロコシは、単収が1エーカーあたり181.3ブッシェルとなり、1ブッシェルたたりの生産コストが377セントまで低下しました。それを受けて昨年10~12月のシカゴコーンが360~378ドル付近で推移しました。

今月になって米国産トウモロコシの作付け遅れが大騒ぎされましたが、それによる単収予想が「1エーカーあたり170ブッシェル」程度となっているので、現在のシカゴコーンの価格水準を考えればこれ以上のシカゴコーンの上昇は望めないのかもしれません。