6月5日

後場市況2

 本日のNYダウ先物は、今朝9時頃に一時78ドル高まで上昇しましたが、その後はジリ安基調となり、16時時点で10ドル高付近まで失速しました。それに伴ってドル円も今朝から20銭ほど円高に進みました。さすがに昨夜のNYダウが512ドル高と5カ月ぶりの上げ幅を記録しただけに、短期的な高値警戒も高まってきたようです。

中国の国家発展改革委員会は昨日、供給確保のための措置を概説した商務省報告書の公表し、レアアースの輸出規制案を検討していることを公表しました。その数時間後に米商務省は、「レアアースの供給を絶対に断たれないように前例のない措置を取る」と表明しました。さすがにNYダウが1カ月間で1900ドルほど下落しただけに、昨夜の米国市場では、「米中貿易摩擦の高まり」よりも「FRBによる利下げ観測」が重要視されました。

 しかし、トランプ大統領が「ファーウェイへの圧力」を続け、現在検討中の「3000億ドル規模の中国製品に対する関税引き上げ」を決定すれば、中国も「レアアースの輸出規制」を実施することになりそうです。ロス米商務長官は昨夜、レアアースに対して「この非常に重要な資源の価値は見落とされがちだが、レアアースなしでは現代の生活はあり得ない。」とコメントしております。

トランプ大統領は、「3000億ドル規模の中国製品に対する関税引き上げ」に対する検討結果を今月末あたりで発表する予定になっております。今月28~29日の米中首脳会談による通商協議が決裂すれば、「3000億ドル規模の中国製品に対する関税引き上げ」が実施されることになりそうです。そうなれば、中国も「レアアースの輸出規制」を開始し、米中貿易戦争が「泥沼の戦い」に発展することになりそうです。そうした恐怖心が今月末の米中首脳会議に向けて高まることも予想されるだけに、リスクオフの流れに備えて、「リスク志向の原油市場」を弱気し、「リスクヘッジ志向の金相場」を強気して今月末の米中首脳会談に備えるべきかもしれません。