6月13日

天然ゴム市場パート2

 東京ゴムが3月4日の高値から3月末の安値にかけて30円ほど下落しましたが、その間のタイ・バンコクのRSS3現物価格が52バーツ台から53バーツへと小幅上昇しました。そうした値動きからも、産地現物価格の地合いの強さが伺えます。その産地現物価格がここにきて20営業日中17営業日で年初来高値を更新しております。それを受けて東京ゴムRSS3の先限が輸入採算価格を15円ほど下回っております。

 NYダウが4月23日の高値から6月3日の安値にかけて2000ドルほど下落しましたが、その間の東京ゴムが190円付近から15円ほど上昇しました。そうした値動きからも、東京ゴムの地合いの強さを感じます。それにより、今月末の米中通商協議に向けてNYダウが再び下落基調を強めたとしても、東京ゴムが上昇基調を続ける可能性がります。

5月の中国の自動車販売台数が前年同期比16.4%減の191万台となり、乗用車販売台数は前年同期比17.4%減となりました。それにより、1~5月の中国の累積自動車販売台数が前年比13%減​​となりました。欧米中の自動車販売台数が昨年秋ごろから減少傾向を続けております。天然ゴムの9割ほどが自動車などのタイヤに加工され、その内の40%ほどが新車用タイヤに加工されます。それだけに新車用タイヤ需要の世界的な落ち込みが天然ゴム市場の圧迫要因となっております。タイゴム協会の分析では、2019年の天然ゴムの世界需要が前年比2.4%増の1431万トンに留まるとの見通しを公表しました。そして、2019年の世界の天然ゴム生産も前年比2%増の1400万トンに留まり、「2019年の世界の天然ゴム需給が31万トンの供給不足に陥る」との見通しを公表しました。欧米中の自動車販売台数の落ち込みは深刻な問題ですが、年初に台風1号がタイ南部を直撃した影響や、中国やタイ、インドネシア、ベトナムなどでのエルニーニョ現象による干ばつ被害なども深刻な問題です。そうした強弱材料が対峙している中でも、「2019年の世界の天然ゴム需給が31万トンの供給不足に陥る」との見通しは特に注目でしょう。