6月17日

原油市場「中東の地政学的リスク」

ホルムズ海峡に近いオマーン沖で6月13日、石油タンカー2隻が攻撃を受けました。それに対してポンペオ米国務長官は13日、「オマーン沖で発生した攻撃について、米政府はイランが攻撃の背後にいたと判断している。機密情報、使用された武器、こうした攻撃の実施に必要な手腕、イランによる船舶に対する類似した攻撃に加え、この海域で活動するいかなるグループもこのような高度な攻撃を実施する能力は備えていないとの事実を踏まえ、米政府はこのような判断を下した。」と述べました。これを受けて緊張が高まり、原油価格が急騰しました。

しかし攻撃されたタンカーを運航する海運会社である国華産業の堅田豊社長は14日、記者会見で、「2発目の攻撃の際に乗組員が飛来物を目撃しており、間違いなく機雷や魚雷ではない。タンカーはパナマ国旗を掲げていたことから、日本だから攻撃したとは考えていない。」と述べました。そして、攻撃を受けた箇所は、1発目が船の後部、2発目が中央部付近で、いずれも右舷側で海面より上だと述べております。攻撃を受けたのがいずれも「海面より上」であれば、魚雷による攻撃でなかったことも納得できます。しかも、攻撃の際に乗組員が飛来物を目撃しているのであればなおさらです。

当初は「魚雷による攻撃」と報道されたので、イラン政府が攻撃に関与した可能性は高まりました。しかも、ポンペオ米国務長官が「米政府はイランが攻撃の背後にいたと判断している。」と述べたのでなおさらです。しかし、攻撃されたタンカーの運営会社の社長の記者会見コメントでは、魚雷ではなくロケット砲だったようです。ロケット砲であれば、テロリストやホルムズ海峡付近の海賊がよく使用する武器ですので、イランが関与したとは言いきれません。

イラン外務省のムサビ報道官は14日、「われわれはホルムズ海峡の安全維持を担当しており、攻撃を受けたタンカーの乗組員を即座に救助した。ポンペオ米国務長官によるイランへの非難は憂慮すべきことだ。言うまでもないが、こうした不審で不幸な出来事でイランを非難するのは、ポンペオ米国務長官ら米政府当局者にとって、最も簡単で最も便利な方法だ。」と述べており、ポンペオ米国務長官発言を非難しております。

一方、ポンペオ米国務長官は16日、タンカー2隻が攻撃された先週の事件について、「イランに責任があることに疑いの余地はない。そのために米国は外交的手段やその他の措置など、必要なあらゆる行動を確実に取っていく決意だ。」と述べました。そして、イランの責任だと米国はどのくらい確信しているのかとの質問に対して、「何が起こったかは明白だ、過去40日に世界中で起こった他の攻撃についてもイランが背後にいることを強く確信している.」と述べました。 

サウジラビアのムハンマド皇太子は16日、先週のタンカー攻撃に対して「イランの責任だ。タンカー攻撃に加えサウジの石油施設やアブハ空港への攻撃を踏まえ、国際社会はイランに厳しい態度で臨むべきだ。」と述べております。サウジアラビアは、イランが武器提供しているとされるイエメンのフーシ派がサウジアラビアの石油パイプラインやアブハ空港を攻撃したことにたいしても、「イラン責任」と非難しております。そしてポンペオ米国務長官も、タンカー攻撃に対して、「イランの関与が明白だ」と指摘しております。

イランとの核合意から米国が離脱して以降、イランと米国との対立が強まっております。そして、3年程前からイランが武器提供しているとされるイエメンのフーシ派とサウジアラビアの戦闘が続いており、フーシ派はこれまで200発以上のミサイルをサウジアラビアに発射しており、サウジアラビアもアラブ連合によるフーシ派に対する空爆を続けてきました。それを受けてサウジアラビアとフーシ派に武器提供しているとされるイランとの対立が強まっております。そして、米国は、サウジラビアに武器提供を続けてきました。こうした背景を受けて米国とサウジアラビアが協調して対イランへの対立を強めております。

イラン原子力庁は本日。。。。。。。。。。。。。。この続きは、会員の皆様に限定してメールにてお送りしております。
無料メール情報会員の申し込みはココをクリックして申し込んでください。