6月27日

後場市況1

 S&P500種株価指数は、6月3日の安値(2728ポイント)から21日の高値(2964ポイント)まで236ポイント上昇し、利下げ観測の高まりを受けて米国株が大きく上昇しました。その後は、21日の高値から51ポイント下落し、29日の米中首脳会談を前にリスクオフの流れが強まってきたようです。

ロス米商務長官は昨夜、29日の米中首脳会談に関し、「中国の後退により滞った通商交渉を再開させられることを望むが、協議が不調に終わった場合のトランプ大統領の関税賦課の警告は、ハッタリではない。交渉で最も難しい部分は履行と、中国が構造改革に応じない場合の罰則だ。全てに合意するまでは、合意したことには一切ならない。」と述べております。このロス米商務長官のコメントと昨夜のトランプ大統領のコメントを参考にすれば、「3000億ドルの中国製品に対する10%の関税引き上げ」の実施は避けられないと考えるべきかもしれません。格付け会社のフィッチは、米国が3000億ドルの中国製品に対する25%の関税を課せば、2020年の成長率が、中国で0.6ポイント、米国で0.4ポイント押し下げられるとの予想を示しました。

5月9~10日に開催された米中通商協議が決裂したことを受けてリスクオフの流れが強まり、S&P500種株価指数が5月上旬から6月上旬にかけて200ポイントほど急落しました。しかし、米国の利下げ観測の高まりを背景にS&P500種株価指数が先週21日に史上最高値を更新しました。今回の米中通商協議も決裂することになれば、「2回連続の決裂」となるので、米中貿易戦争の長期化懸念の高まりを受けてS&P500種株価指数が前回以上の下落となる可能性も高まります。米国政府は、前回の米中通商協議後も中国製品への追加関税への圧力を強めており、ファーウエイへの圧力も強めております。米国政府と中国政府の「双方の歩み寄り」が見られないので、29日の米中首脳会談で通商協議が決裂する可能性は高そうです。これまでの米中貿易戦争の根底には、米国と中国とのハイテク産業における覇権争いの様相を呈しているだけに、「双方の歩み寄り無しに解決はありえない」と考えるべきかもしれません。
S&P500種株価指数の日足

 

 

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