7月17日

天然ゴム市場パート2

タイの気象庁のコンラウィ副局長は昨日、「今年の雨季はとりわけ北部、東北部、中央平野での降雨量が平年を大きく下回っており、タイは過去10年で最悪の干ばつ被害に見舞われる恐れがある。」と述べております。タイを通過した台風や熱帯低気圧の勢力が弱いために降雨量が少なく、主要ダムに十分な水がたまっていないそうです。そして、本格的な降雨は8月後半か9月初めにならないと期待できないとのことです。タイの天然ゴムの主生産地は南部ですが、北部や東部、中部でも天然ゴムの生産は行われております。また、タイの北東部に位置するベトナムの干ばつも深刻です。

天然ゴム生産世界3位を誇るベトナムでは、ベトナム中部のンガイ省では、今月9日時点で1万1000世帯が水不足に直面し、コメや作物など1万3000ヘクタールが干ばつ被害を受けているそうです。また、乾燥による山火事が続出しており、川の水量不足による海水の逆流を受けてクアンチ省の塩分濃度が過去最高の16.2%を記録したそうです。ベトナム中央ゲアン省でも厳しい干ばつに見舞われており、同省は農業・地方開発局に750億ドン(約326億円)財政支援を要請したほどです。また、同省農業・地方開発局は、「干ばつにより水田1万5200ヘクタール、果樹栽培地8100ヘクタールなどに影響が及んでいる。」と指摘しております。ゲアン省は、3月末から4~10日間にわたる厳しい気温上昇に7回見舞われ、7月3日時点で、6月3日からの降雨が観測されていないそうです。

今年は、4~5月の干ばつにより、タイやインドネシア、ベトナム、中国などで天然ゴム生産が減少しました。中国南部の天然ゴムの主生産地である雲南省では、4月中旬~5月中旬はタッピング作業がほとんど出来なかったほどです。しかし、タイが5月下旬に雨季入りしたことを受けて、天然ゴム市場における干ばつに関する話題は沈静化しました。しかし、ベトナムは今も深刻な干ばつ被害が続いており、タイの北部や東北部、中央平野でも干ばつ気味な天候が続いております。天然ゴムの2大生産地であるタイ南部とインドネシアの天候は、雨季入り後の平均的な天候となっておりますが、天然ゴム生産世界3位のベトナムやタイの北部や東北部、中央平野で干ばつが続いていることの影響は、天然ゴム市場としてもいつまでも無視できないでしょう。