8月7日

原油市場

 ブレント原油は、4月下旬の高値(75.6ド)から昨夜の安値(58.55ドル)まで17.05ドル(約22.5%)の下落となり、高値からの下げ幅が20%を超えたことで弱気相場入りとなりました。一方、NY原油は、6月上旬の安値が50.6ドル、昨夜の安値が53.29ドルであり、まだ6月上旬の安値を割り込んでおりませんが、既にNY原油は2カ月前に弱気相場入りしております。

 今朝発表のAPI週間石油在庫統計は、原油が280万バレル減予想に対して340万バレル減、ガソリンが72万バレル減予想に対して110万バレル減、ディスティレートが48万バレル増予想に対して120万バレル増です。

 米エネルギーの需要期のピークは8月であり、米原油在庫が減少しやすい時期でもあります。ただ、現在の製油所稼働率は7月26日時点で93%であり、平年のこの時期の95~99%を少し下回っております。そして、10月が不需要期のピークとなることから、来月あたりから製油所稼働率が急降下し、それと共に原油在庫の増加傾向が強まる時期を迎えます。

 ブレント原油は、昨夜の取引で58.55ドルまで下落し、6月上旬の安値(59.45ドル)を割り込み、次のテクニカル的な下値目標は、昨年12月の安値(49.33ド)となりそうです。その反面、NY原油は、昨夜の安値が53.29ドルですから、テクニカル的な次の下値目標は、6月中旬の安値(50.72ドル)となりそうです。

 国際エネルギー機関は先月12日、「世界の石油需給は、今年前半が日量90万バレルの供給過剰となり、今年後半も供給過剰は続く」と発表しておりました。そして、日量29万バレルを誇るリビア最大のシャララ油田が7月22日より稼働再開しました。更に、サウジアラビアとクウェートは7月24日、両国の中立地帯にある日量50万バレルの原油生産量を誇る油田の稼働再開に向けた協議を再開しました。それらに加え「米中貿易摩擦の高まり」による米中の経済成長鈍化がエネルギー需要の減少に繋がる可能性も高まってきました。「需給はすべてを優占する」や「余り物に値無し」という商品相場特有の相場格言もあり、供給過剰を背景にして原油市場の更なる下落に注目するべきかもしれません。
米製油所稼働率