メール情報会員に本日配信しました週間レポートの一部をご紹介します。
参考にどうぞ。

白金市場の総括

 NY白金は、2015年2月より「右肩下がりの上値抵抗線」を形成しながら長期下落トレンドを続けております。欧州でのディーゼル車における排ガス不正問題発覚後から続く「右肩下がりの上値抵抗線」を突破することが出来れば、NY白金のトレンドが一変することになります。一方、NY白金は、昨年8月頃から「右肩上がりの下値抵抗線」を形成しております。それにより、「2015年2月から続く右肩下がりの上値抵抗線」と「昨年8月から続く右肩上がりの下値抵抗線」により、「三角保合い」を形成していることは注目でしょう。今回の南ア白金鉱山での労使交渉が難航してストライキが発生すれば、「2015年2月から続く右肩下がりの上値抵抗線」を突破して、新たな上昇トレンドに発展する可能性も高まります。
 南ア大手白金鉱山会社における3年前の労使交渉で締結した労働契約が今年の6月末で期限切れとなりました。それにより、大手労働組合のAMCUとNUMは、南ア白金鉱山大手7社との労使交渉を3年ぶりに行うことになりました。そして、大手労働組合のAMCUは、世界3大白金鉱山会社(アングロ・プラチナ、インパラ・プラチナ社、ジバニエ・スティルウォーター社)との初回の労使交渉を7月9~11日に開催しました。初回の労使交渉では、AMCUが「最低給与の基本給の48%引き上げ」を要請し、労働組合からの要請を聞く形で終わりました。その後、白金鉱山会社から各社ごとに別々の賃金提示が労働組合側に伝えられました。それらの賃金提示を受けてAMCUは、8月13日にメディア・ブリーフィングを行いました。そこで大手白金鉱山の各社の賃金提示額が公開されました。

 今週13日のメディア・ブリーフィングでは、大手白金鉱山会社からの賃金提示額の低さに怒っておりました。特にジバニエ・スティルウォーター社は、最近買収した旧ロンミン社の白金鉱山労働者に対する賃上げを3.3%としたことにAMCUが怒っており、AMCUの組合長は、「それは労働者に対する屈辱であり、シバニエは私たちをストライキに誘導しようとしている。私たちはストライキを宣言しておりませんし、まだ労使交渉中です。」と述べました。3.3%の賃上げは、同国のインフレ率の4.4%を差し引くと、実質的には「1.1%の賃金引上げ」となるので、労働組合側が怒っております。しかも、今回の労使交渉では、今後3年間の賃金契約を決めるだけに、AMCUとしても「実質的な賃金引上げ」は受け入れられないところでしょう。しかも、ジバニエ・スティルウォーター社が最近買収した旧ロンミン社白金鉱山労働者に対して、「3年間で1万3000人のリストラ計画」まで発表しているだけに、なおさら労働組合側が反発しております。

 6万人の鉱山労働組合員を有するAMCUは、8月16日の「マリカナの悲劇の7回忌」の日に会合を開き、今後の労使交渉に対して組合内での話し合いを行います。「マリカナの悲劇」とは、旧ロンミン社ルステンバーグ白金鉱山で2012年に発生したストライキ中に警察隊と衝突して34名の鉱山労働者が銃殺された事件です。8月16日の労働組合での会合で、旧ロンミン社白金鉱山労働者がストライキ入りを決定する可能性は高そうです。また、アングロ・プラチナやインパラ・プラチナ社、ジバニエ・スティルウォーター社からの賃金提示額もかなり低かったので、AMCUが大規模ストライキを決定する可能性もあります。

 今回の労使交渉の注目は、「労働組合側と白金鉱山会社側の焦点の違い」でしょう。白金鉱山会社側は、白金価格が3年間も安値低迷したことで経営が大幅に悪化したので、小幅な賃金引き上げを望んでおります。現在の白金価格では、南ア白金鉱山の半分ほどがコスト割れを起こしているとされております。一方、労働組合側は、パラジウム価格の昨年秋からの高騰を受けて、今年になって白金鉱山会社の収益が大幅増加したことを受けて、大幅賃上げを望んでおります。「過去3年間の白金価格の低迷」を重視する白金鉱山会社側に対して、「最近のパラジウム価格の高騰」を重視する労働組合側との「焦点の違い」が今回の労使交渉を難航させております。「マリカナの悲劇の7回忌」となる本日16日に開催されるAMCUの会合でストライキ入りが決定される可能性もあるだけに、東京白金に対する強気な見方も一考ではないでしょうか。