9月4日

金市場&原油市場

 米中貿易摩擦の高まりを受けて昨夜のNYダウが285ドル安となり、リスクオフの流れが強まりました。それを受けてリスクヘッジ志向のNY金が上昇し、リスク志向のNY原油が下落しました。

 米中両国の通商交渉当局者が、「今月行う予定の米中通商交渉の日程を設定できていない。」と述べ、リスクオフの流れが強まりました。トランプ大統領は昨夜、「中国との交渉は非常にうまくいっている。」と述べた一方で、「交渉が現在の任期中に決着せず、自身が再選されることになれば妥結はずっと困難になるだろう。中国のサプライチェーンは崩壊し、企業や雇用、資金が奪われることになる。」と述べており、中国に早期妥結を迫る発言を行っております。

 一方、中国の習近平国家主席は昨夜、「安全保障上の懸念から金融リスクに至るまで多岐にわたる問題の克服に向けて闘争の精神を示すことが必要だ。われわれが直面している闘争は短期的なものではなく、長期間続く。」と述べ、中華人民共和国建国100周年を迎える2049年まで続くと述べております。

 トランプ大統領が米中通商交渉の短期決着を促す反面、習近平国家主席は米中貿易戦争の長期化の構えを示しているようです。昨日発表された8月の米製造業指数は49.1ポイントとなり、前月の51.2ポイントから大きく低下すると共に、景気分岐点とされる50ポイントを3年ぶりに割り込みました。米国や中国、欧州、日本などの製造業PMIが景気分岐点とされる50ポイントを割り込んで製造業活動の縮小が示されており、米中貿易戦争の影響が世界経済を蝕み始めているようです。

 昨夜のNYダウが大きく下落し、先週末の上昇分を帳消しとしました。本日のNYダウ先物は、9:15時点で5ドル安と小動きです。ドル円は、昨日15:15比で40銭ほど円高に進みました。世界的な経済鈍化が世界的な石油需要の減少に繋がるだけに、米中貿易戦争の長期化が原油市場を圧迫し続けそうです。

昨夜のNYダウが大きく下落しましたが、それでもNYダウは、1カ月ほど続くボックス圏相場の中心的水準より少し上の水準で推移しております。世界経済成長がかなり鈍化してきましたが、それによる利下げなどの経済刺激策の必要性が高まっていることは、株価の下支え要因となっているようです。米国経済成長が弱まったとしても、ゴルディロックス的な状況を保つ限りは米国株も堅調地合いを続けそうです。そして、NY金は、この3週間で19ドル程度しか高値更新が出来ておらず、上値の重さが気になります。昨夜のNY金(9月限)は1545ドルまで上昇して取引を終えましたが、それでも8月26日の高値(1555ドル)や8月28日の高値(1546ドル)や8月29日の高値(1549ドル)を下回っており、上値の重さが気になります。