9月17日

原油市場パート2

 サウジアラビアの国営石油会社であるサウジアラムコの石油施設2カ所がイエメンによるドローン攻撃を受け、原油市場が週明けから高騰しました。その攻撃により、サウジアラビアの原油生産の半分ほどにあたる日量570万バレルの原油生産が停止しており、世界の原油生産の5%ほどが減少しました。攻撃を受けたアブカイク石油施設の回復にどれぐらいの期間が必要かという事が原油市場の注目点となっております。

ドローン攻撃を受けたサウジアラムコは、「施設の状態や補修が必要な範囲をなお調査中だが、現時点では、早急に回復可能な生産能力は50%弱にとどまる。」と伝えております。攻撃を受けたアブカイク石油施設の原油生産が50%を回復するまで数週間ないし数カ月かかる見通しだとの関係者からのコメントが伝えられております。

 ゴールドマン・サックスは、「稼働停止期間が1週間程度と短期間の場合、原油価格の上昇幅は1バレル当たり3~5ドルにとどまるが、停止期間が2~6週間になった場合は5~14ドル上昇する。3カ月以上にわたり差し引きで日量400万バレル規模の影響が出た場合、1バレル=75ドルを超える水準に上昇し、シェールオイルに対する需要が大幅に押し上げられると同時に、シェールオイルの供給も大きく増加する。」と指摘しております。

コンサルティング会社エナジー・アスペクツのチーフ石油アナリストは、「生産停止分の日量570万バレルの最大50%はかなり早期に回復可能とわれわれはみているが、全面復旧には数週間ないし数カ月を要する可能性がある.」と述べております。

今年前半の世界の原油需給が日量90万バレルの供給過剰となり、今年後半も供給過剰が続くとの見通しでした。しかし、サウジアラムコの石油施設2カ所がドローン攻撃を受けたことを受けて、今年の世界の原油需給が供給過剰のままか、供給不足に転じるのかの予想が難しくなってきました。ただ、今回の価格高騰を受けて増産に転じる産油国は相当増えそうです。しかも、トランプ大統領が石油戦力備蓄の放出を承認したことも注目でしょう。