10月31日

金市場

 NY金の電子取引は、FRBによる利下げ発表を受けて、今朝3時頃から一時1983ドルまで13ドルほど急落する場面もありましたが、今朝4時半後頃には利下げ発表前の水準より2ドルほど高い水準まで上昇し、その後は小動きを続けております。

本日早朝のFOMCでは、大方の予想通りに政策金利の0.25%引き下げが発表されました。その後のパウエルFRB議長声明では、これまでの「適切に行動する」という文言が削除され、利下げを今後休止する可能性があることを示唆しました。さすがに政策金利が1.5~1.75%にまで引き下げたので、ここからはよほど深刻な景気後退とならない限りは追加利下げには応じないのかもしれません。利下げを実施すれば、「マネーの過剰流動」が進むことで金融市場全体が活性化し、株式市場を押し上げることが出来ます。しかし、政策金利が低ければ、不況に陥った時の「利下げによる緩和政策」の効果が限定的となるので、利下げは現在の金融市場からは好まれても、将来の金融市場の不況からの回復力を低下させることになる「諸刃の剣」といえます。

米10年債価格は、今朝の利下げ発表を受けて0.3ドルほど急落しかしたが、その後すぐに0.5%ほど上昇して一時129.7ドル付近まで上昇し、今朝のNY金と同じような値動きとなりました。しかし、現在の米10年債価格は、129.5ドル付近まで失速しております。この米10年債価格が129ドル台を割り込むことになれば、NY金が「三角保合い」から下放れとなる可能性も高まります。

FRBが7月から3度にわたる利下げを実施し、利下げ観測の高まりを受けてNY金が6月頃から大きく上昇しました。しかし、「今回の利下げでしばらくは利下げが打ち止めとなる」との観測が高まってきましたので、金利低下が好感される金相場のトレンドが転換する可能性も出てきました。特に11月になって米中通商交渉の部分合意が調印されることになれば、金相場が下落トレンド入りとなる可能性も高まります。

NY金は、「三角保合い」を形成しております。そして、ここにきて「右肩下がりの上値抵抗線」と「右肩下がりの下値抵抗線」が交わる寸前となってきましたので、そろそろ「三角保合いからの下放れ」に警戒する必要もありそうです。
NY金の日足

 

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