12月25日

原油市場

 昨夜のNY原油は、米原油在庫の減少予想が支援材料となり、61.11ドルまで戻して2日続伸となり、12月20日の下落幅を2日間で取り戻しました。それでも12月19日の高値(61.47ドル)には届きませんでした。

 今朝発表されたAPI週間石油在庫統計は、原油が183万バレル減予想に対して790万バレル減、ガソリンが200万バレル増予想に対して56万バレル増、ディスティレートが33万バレル減予想に対して168万バレル増となり、クッシング原油が220万バレル減でした。製油所の原油処理量は、日量51万バレル減でした。

 米原油在庫が予想以上の減少となった事が好感されましたが、冬場のエネルギー需要がピークに達するこの時期に製油所の原油処理量が減少したことは嫌気要因となりました。現在の米石油所稼働率が前年を4.8%下回る90.6%となっているだけに、冬場のエネルギー需要の盛り上がりがいまいちのようです。

 昨夜のNYダウが36ドル安(0.13%安)、S&P500種株価指数が0.63ポイント安(0.02%安)、ナスダック総合株価指数が0.08%高と小動きでした。NYダウやS&P500種株価指数は、3日連続で「ほぼ同水準で推移」となりました。今年は、年明け早々にFRBが方向転換を示し、マーケット全体が「ゴルディロックス」の状態となった事を受けて、リスク志向の米国株や原油市場が上昇し、リスクオフ志向の債券市場や金市場まで上昇する1年となりました。年初来上昇率で見ると、米S&P500種株価指数は28%、世界の株式相場を示す指数は22.9%、世界のクレジット指数は10%、新興国市場のドル建てソブリン債指数は12%、米国債7%、ゴールド15%となり、今年は世界の主要な資産クラスが全体的に上昇しました。そうした中でもWTI原油の34%やS&P500種株価指数の28%、ワールドストック(世界の株価指数)の22.9%などの上げ幅が特に目立ちました。そうした「マーケット全体の上昇」が今も続いているようです。このような状況は、2009~2011年委も発生しました。

 しかし、NYダウやS&P500種株価指数が「2019年から続く右肩上がりの上値抵抗線」に2年ぶりに触れており、米国株に対するテクニカル的な高値警戒感も過去2年間で最高となってきました。それにより投資家の多くが利益確定のタイミングを探しているように感じられます。1年半も続いた米中貿易戦争が前進を示し、第1段階の合意の調印が来月早々にも行われる流れとなっているだけに、来月早々のそのタイミングで「材料出尽くし」となり、マーケット全体が「噂で買って、事実で売れ」というパターンとなる可能性は高そうです。それだけに、今回の年末年始は、株式市場や原油市場といったリスク志向の市場に対する弱気な見方に注目する局面となるのかもしれません。