1月8日

金市場&原油市場パート4

 イラク駐留米軍基地であるアルアサド空軍基地とエルビルの基地が、イランからの10発以上の弾道ミサイル攻撃を受けました。それを受けて今朝8:00からNY金とNY原油の電子取引が急騰しました。

 米国の無人機による空爆で殺害されたソレイマニ司令官の遺体が5日、イラン南西部アフワズに到着し、数千人が葬儀の進行に参加したそうです。首都テヘランで6日に行われた葬儀では、葬儀に集まった人数を「数百万人」とイラン国営企業が伝えております。そうした葬儀に参加した群衆の多くが「アメリカに死を」と叫んでいたそうです。これでイラン最高指導者のハメイネ師率いるイラン革命防衛隊が米国への報復行動をとらなければ、イラン国内でのハメイネ師の支持率が大きく低下することも予想されていただけに、今朝のイラク駐留米軍基地へのミサイル攻撃は、イランの国民感情の高まりを考えれば、ハメイネ師としても避けられない選択だったのかもしれません。

 NY原油の電子取引は、9時半ごろに一時65.65ドルまで上昇しましたが、11時時点で63.9ドルまで失速しており、今朝から2.7ドルほど急伸したものの、9時半ごろの高値から早くも1.6ドルほど下落しました。一方、ブレント原油は、9月16日の高値(71.95ドル)と今朝の高値(71.28ドル)でダブルトップを形成する可能性も出てきました。

米石油大手のシェブロンのワースCEOは、石油需給は基本的に裕司前の状況を保っている。地政学的リスクはあるが、供給は十分であり、それが引き続き一般的な見方だ。」と述べております。

今回のイラク駐留米軍基地へのミサイル攻撃により中東の地政学的リスクは急上昇しましたが、それでも原油生産への影響はほとんどないようです。それよりも、NY原油がこの3カ月間で51ドル付近から65ドル付近まで14ドルほど大幅上昇したことを受けて、米国やOPEC非加盟国の原油生産量が増加することも考えられます。特に、油田開発から生産まで短ければ3週間ほどしか必要のない米国のシェール油田の増産ペースが加速する可能性は高まりました。

NY金の電子取引は、今朝8時頃から9時頃にかけて65ドルほど大幅上昇しましたが、9時頃の高値から早くも24ドルほど下落しました。

今朝のイラク駐留米軍基地へのミサイル攻撃を受けて米国は、これまで以上にイランに対する経済制裁を強めることが考えられます。また、トランプ大統領が前日に、「もしイランがアメリカ人やアメリカの施設を攻撃したら、彼らへそうしない事を忠告するが、我々は彼らが過去受けたことのないほどの強烈な攻撃をするだろう。」と述べていただけに、イラク駐留米軍基地の被害状況とトランプ大統領の今後の判断が注目されております。