1月20日

白金市場パート2

 中国や欧州、米国、インドで排ガス基準が引き上げられることを受けて、パラジウムやロジウムの高騰が続いております。中国では、7月1日から買いガス基準が引き上げられ、それに伴って自動車触媒のパラジウム使用量が1台当たり30%増加することが予想されております。

中国全土では、7月1日から正式に「国6(ユーロ6に相当)」の排ガス基準が導入され、国5以下の排ガス基準の触媒を搭載した自動車の販売が出来なくなります。それに先立って上海や北京など中国の複数の主要都市では、昨年7月より排ガス基準が国5から国6に引き上げられました。

インド全土では、自動車やバイクの排ガス基準が現状のバートラ4から、4月よりバートラ5を飛び越えてバーラト6へと引き上げられます。それに先立ってデリーでは、2018年4月より排ガス基準がバートラ6に引き上げられました。バートラ4からバートラ6に引き上げることにより、従来のバートラ4に比べてCO(一酸化炭素)を約30%、NOx(窒素酸化物)を約85%減らすという厳しい規制となります。

 欧州の排ガス規制は、乗用車の95%分に対して1キロ走行当たりのCO2排出量を2020年までに現行の120.5グラムから95グラムに削減するよう定めています。更に、2021年には全ての新しい乗用車が基準への適合を義務付けられ、厳格なEU規制に適合できなかった場合、数100万ユーロ単位という巨額の罰金を科されることになります。

 米カリフォルニア州は昨年11月18日、独自の排ガス基準を設定する同州の権限を取り消そうとしているトランプ政権の方針を支持する自動車メーカーからの新車購入を、2020年初めから全面的に停止することを発表しました。対象はゼネラル・モーターズやトヨタ自動車、フィアット・クライスラー、日産自動車です。そして、カリフォルニア州は2020年1月以降、州の排ガス基準設定権限を認めているメーカーのみの新車販売を認める方針です。それにより昨年7月に新たな排ガス基準の適用に関して同州と合意したフォードやホンダ、BMW,フォルクス・ワーゲンの4社は、カリフォルニアでの自動車販売が2020年1月以降も続けられます。

「オバマ大統領の残した遺産」として、「2026年までに1ガロンあたり46.7マイルの燃費(1リットル当たり20.3キロ)を実現できない車は新車として販売出来ない」という規制が残されています。それに対してトランプ政権は、「これでは経済成長に対する不利益が強く、投資を呼べない」として、これを37マイル(1リットル当たり16.1キロ)のレベルにまで落とすことを提案しています。それでも将来的に「1リットル当たり16.1キロ」以下の燃費の自動車販売が出来なくなることは大きな問題です。

上記のように米国や欧州、中国、インドで排ガス基準が引き上げられることを受けて、今後もパラジウムやロジウムの需給ひっ迫は続きそうです。そうした中でも、「世界全体の2割の自動車販売台数」を誇る中国の排ガス規制の引き上げが今年最大のポイントとなりそうです。それにより、7月に向けてパラジウムやロジウムが更に上昇し、それを受けて「自動車触媒におけるパラジウムの代替銘柄としての白金」への注目が7月頃に向けて更に高まりそうです。そうしたことを受けて、7月頃に向けて東京白金に対する強気な見方も一考かもしれません。