1月30日

後場市況1「原油&天然ゴム」

 NYダウ先物は、今朝9時頃は40ドル安付近で推移しておりましたが、15時点で160ドル安まで下落しております。ドル円も今朝6時頃から15銭ほど円高に進みました。NY原油の電子取引は、今朝6時頃から30セントほど下落しました。今朝のパウエルFRB議長発言で、「新型コロナウイルスによる中国経済に対する影響」が指摘されたことで、リスクオフの流れが強まりました。

今回の新型コロナウイルスによる中国での感染者数が7711人に達し、死者数が170人を超えました。そして、最近のテレビ番組では、新型コロナウイルスに関する報道がかなり多くなっており、極めて深刻な状況であると指摘する専門家が増えてきました。そうしたことにマーケットも大きく反応しているようです。

新型コロナウイルスによって「7711人が感染し、170以上が死亡」という数字だけを見れば、今回の新型コロナウイルスの感染拡大がかなり深刻な状態に陥っているように感じられます。しかし、コロナウイルスはカゼウイルスの1種であり、インフルエンザによる被害とはスケールが違いすぎます。季節性インフルエンザの感染者数は、全世界で毎年300万~500万人に達し、死者数も多い年で65万人に達します。日本でのインフルエンザによる死者数だけでも2017年が2569人、2018年が3325人であり、多い年は6000人に達することもあります。しかし、「冬場のインフルエンザの流行」は毎年の事なので、インフルエンザの感染者数や死者数に注目するメディアは少ないのかもしれません。そして、インフルエンザが流行しても、今回の中国・武漢市のように交通機関を止めて流行地域を封鎖&隔離することもありません。今回の「新型ウイルスによる未知の可能性」はインパクトも大きく、多くのメディアで取り上げられましたので、そうした「新型ウイルスに対する脅威」が国民の不安心理を助長させているようです。

「7711人が感染し、170以上が死亡」の約95%が湖北省東部の武漢市とその周辺地域で発生しました。武漢市は1000万人都市であり、交通封鎖前に2~3割の武漢市民が武漢市を離れたので、武漢の交通封鎖で隔離されている武漢市民は700万人程度だそうです。そして、武漢市での感染者が7000人だと計算すれば、武漢市民の1000人に1人が感染したことになります。そして、今回の新型コロナウイルスによる死亡率が約2%なので、武漢市では、「5万人に1人」が新型コロナウイルスによって死亡した計算となります。「1000人に1人程度の感染」であれば、インフルエンザの感染力とは比べ物になりません。それでも「未知の新型ウイルス」というインパクトがメディアを騒がせたようです。

 東京ドバイ原油や東京ゴムRSS3や多くの非鉄金属銘柄などが昨年10月上旬から安定した上昇相場を続けてきましたが、ここにきて一斉に暴落しており、「新型コロナウイルスへの恐怖」がいかに先行したかがわかります。それだけに、原油やゴム、非鉄金属などが一気に急反騰に転じる可能性もあります。ここは、東京ドバイ原油や東京ゴムRSS3の強気な方に注目することも一考かもしれません。