2月27日

天然ゴム市場

昨日時点での中国タイヤ製造企業の稼働率が38%まで上昇し、大手タイヤメーカーの稼働再開の流れが始まっております。現在の上海天然ゴム倉庫在庫が近年最低水準付近まで減少しているだけに、これから中国タイヤメーカーの買い付けが活発化することになりそうです。

 タイ・バンコクのRSS3現物価格は、先週末に50.4バーツまで上昇し、今週25日と26日が共に年初来高値となる51.2バーツとなりました。今週になって東京ゴムや上海ゴムが大きく下落しましたが、それに反して産地現物価格が「昨年7月以来の高値水準」にまで上昇していることは注目でしょう。タイの天然ゴム生産が今月より「減産期入り」となった事を受けて、産地があまり安売りしなくなりました。特にタイでは、4分の1の県がすでに干ばつ宣言を発令しており、5月に向けて干ばつ被害が更に拡大する見通しなだけに、今後も安売りは望めそうにありません。

 現在のタイ・バンコクのRSS3現物価格がキロ当たり51.2バーツ(約177円)であり、キロ当たりの輸入諸経費を8円で計算すれば、輸入採算価格が約185円となります。東京ゴムRSS3の先限は、少し前まで輸入採算価格を15円ほど上回るほど投機プレミアムが上昇しておりましたが、今では輸入採算価格を5円ほど下回るほど売り込まれている状態です。じり高基調を続けている産地現物価格に反して急落した東京ゴムRSS3に対して、買い出動も一考かも入れません。

中国本土における中国湖北省以外での新型コロナウイルスによる感染者数は、23日が11人増、24日が9人増、25日が5人増となり、湖北省以外の地域での感染者数の増加傾向が沈静化しましたので、これから中国タイヤメーカーの多くが稼働再開を本格化します。それにより中国タイヤメーカーによる天然ゴムの買い付けがこれから1カ月半ぶりに本格化することも予想されますので、今後も産地現物価格が堅調地合いを続けそうです。特に「中国産天然ゴム」の出回りが5月以降となるだけに、それまでの中国タイヤメーカーは、「外国産天然ゴム」に依存することになります。タイの気象庁は、「過去10年間で最悪の干ばつとなる可能性がある」と指摘しているだけに、昨年より続くインド洋ダイポールモード現象による東南アジア周辺地域での干ばつ懸念に再び注目する必要もありそうです。


2月27日

天然ゴム市場パート2

イタリアでの新型ウイルスによる死者数が前日比4人増の11人となり、リスクオフの流れが強まりました。26日に確認された死者4名の内、80歳代が3名、76才が1名です。CDC国立予防接種・呼吸器疾患センターのメソニエ所長は、「他国での感染拡大に関する過去の週間データを受け、われわれの懸念は深まり、米国で地域感染が発生するという観測が高まった。」と述べております。

一方、中国における湖北省以外の地域での感染者数は、23日が11人増、24日が9人増、25日が5人増、26日が24人増となっており、中国における湖北省以外の地域での感染拡大傾向はかなり沈静化しております。

本日の上海総合株価指数は0.6%高で前場を終えました。上海総合株価指数は、2月3日に大幅下落となりましたが、その後はじり高基調を2月21日まで続けました。そして、2月24日から2日連続で小幅安となりましたが、2月26日から2日連続で小幅高となっております。

中国政府は25日、中小企業と民間セクターに的を絞った減税と低利貸し付けを含む一連の対策を発表しました。中小企業と農業セクター向け融資を促す目的で、再貸付・再割引資金5000億元(約7兆8500億円)を市中銀行に供給することになりました。そうした景気テコ入れ策を受けて上海総合株価指数が昨日より小幅高となっております。

タイ・バンコクのRSS3現物価格は、2月25日と26日が51.2バーツとなり、年初来高値を更新すると共に昨年7月以来の高値水準となりました。そして、本日は更に上昇して51.65バーツとなりました。今月からタイの天然ゴム生産が減産期入りしたことや、タイの4分の1の県がすでに干ばつ宣言を発令しており、干ばつ被害が5月頃に向けて更に拡大するとの観測が産地現物価格の上昇力となっているようです。そして、中国タイヤメーカーの多くがこれから本格的に稼働再開となることを受けて、「中国タイヤメーカーの天然ゴム買い付けが1カ月半ぶりに活発化する」との観測も産地現物価格の上昇力となっております。今週になってNYダウやNY原油、東京ゴム、上海ゴムなどが大きく下落しましたが、それでも上値追いが止まらない天然ゴムの産地現物価格の堅調さには注目でしょう。


2月27日

天然ゴム市場パート3

タイ・バンコクのRSS3現物価格は、2月4日時点で46.5バーツまで下落して年初来安値を記録しましたが、その後はじり高基調を続けており、本日は、前日比0.45バーツ高(約1.6円高)の51.65バーツ(約179円)となり、年初来高値を更新すると共に昨年7月以来の高値水準まで上昇しました。 キロ当たりの輸入諸経費を8円で計算すると、輸入採算価格が約187円となります。それに対して東京ゴム先限が7円ほど下回っております。東京ゴムRSS3は、少し前まで輸入採算価格を15円ほど上回っておりましたが、今では輸入採算価格を7円ほど下回っている状態ですから、東京ゴムRSS3かなり投機的に売り込まれている状態となっているようです。

今週になって東京ゴムRSS3が10円ほど下落しましたが、それに反してタイ・バンコクのRSS3現物価格が今週になって1.25バーツ(約4.3円)も上昇して年初来高値を更新したことは特に注目でしょう。添付しているタイ・バンコクのRSS3現物価格のグラフを見ると、いかに産地現物価格が堅調地合いを続けているかがよく解ります。


タイ・バンコクのRSS3現物価格