4月1日

白金市場

 世界の白金生産の7割を占める南アフリカで3月26日より「21日間のロックダウン」が実施され、それと共に南ア白金鉱山も稼働停止しました。それを受けて南ア3大白金鉱山会社であるジバニエ・スティルウォーターとアングロ・プラチナとインパラ・プラチナがそろって不可抗力宣言を発令しました。そして南アランドが対ドルで最安値を記録し、ムーディーズが南アフリカの各下げを発表しました。

 南アフリカでは、3月5日時点で初めて新型コロナウイルスの感染者が報告され、最初の感染者はイタリア旅行から帰国した38歳の男性でした。そして、3月28日時点で感染者数が1187人となり、死者数が130人を超えました。

世界保健機関(WHO)は、アフリカでの新型コロナウイルスの感染拡大について、「他地域より遅れながらも感染拡大が見られ始め、人口規模の大きさや医療の未整備、貧困による栄養状態を考慮すると今後感染爆発が起きる恐れがある。」と指摘しております。また、複数の専門家からは、「域内の感染者報告数が他地域に比べて少ない背景には、医療・検査態勢の問題や、政治的な影響により公表されていない可能性がある。」といったコメントも伝わっております。

南アフリカの失業率は約30%に上り、経済的に貧しい地域では、自宅に水道設備がない家も少なくないそうです。しかも、ルステンバーグ地区やマリカナ地区などの白金鉱山が密集している地域では、鉱山労働者の住居もかなり密集しており、感染拡大がいつ加速してもおかしくない状況です。そして、南アフリカの金や白金鉱山の採掘現場が地下1500~2500メートルととても深く、地価の密閉された空間に大量の鉱山度労働者が働いている状態では、感染拡大を加速させる要因となります。

南アフリカでの最初の感染報告が3月5日時点ですから、中国の武漢市から感染拡大が始まったとされる新型コロナウイルスは、比較的遅い段階で南アフリカに侵入しました。それでも南アフリカ政府は、3月26日より、他国からの入国を禁止すると共に外出禁止令を発令しました。南アフリカでの3月28日時点での新型コロナウイルスによる感染者数が1187人と報告されておりますが、感染検査キットがかなり不足している南アフリカ情勢を考慮すれば、感染者数が報告人数を遙かに上回ることも予想されます。現在の南アフリカのロックダウンは「4月16日までの21日間」となっておりますが、これが延長されて南ア白金鉱山の稼働停止が更に長期化される可能性もあります。しかも、南アフリカで新型ウイルスの感染が更に拡大したとしても、欧米など先進諸国からの医療品や医療器具の援助はほとんど望めそうもありません。南アフリカは、感染拡大に対してイタリアよりはるかに脆弱だといえそうです。それにより、南ア白金鉱山の閉山が長期化する可能性に注目して、東京白金に対する強気な見方も一考かもしれません。