松永総研

北浜の虎と呼ばれた男

2014年08月

後場市況1

 NYダウの電子取引は、今朝から小動きです。日経平均は30円安付近で推移。ドル円が今朝から15銭ほど円安に向かい、103円85銭付近で推移。ユーロドルは、やや弱含みです。NY原油とブレント原油の電子取引が今朝から25セントほど上昇し、東京ガソリンも今朝の寄り付き後から400円ほど上昇。14:30時点、東京金7円高、東京白金8円高、東京ガソリン300円高、東京ゴム1.0円安です。

今週26日のロシアとウクライナとの首脳会合により、会合直後はウクライナ情勢の改善が期待されたものの、その後も情勢悪化が続いております。ウクライナのポロシェンコ大統領は28日、ロシア軍部隊がウクライナ領内に侵入したとして激しく非難しております。NATO高官からは、1000人以上のロシア兵がウクライナ領内で活動しているとの見解を発表。ウクライナ政府は28日、国境近くの港湾都市ノボアゾフスクと周辺の村をロシア軍が制圧したと発表しております。ウクライナ情勢は、今週26日の首脳会合以前より悪化しているように感じられます。ドイツのメルケル首相は28日、EUがロシアに対する経済制裁の強化を話し合う予定だと述べております。ロシアとウクライナとの首脳会合でも情勢が改善されなかったことから、来週は、ロシアに対する経済制裁に注目が集まりそうです。商品市場では、原油やパラジウム、白金といったロシアからの輸出製品銘柄への警戒が必要かもしれません。

ゴム市場分析パート2「エボラ出血熱感染者が2万人に達する可能性」

 最近、エボラ出血熱の感染拡大により、マレーシアなどのゴム手袋メーカーの株価急騰が少し話題となっております。株価急騰の原因は、感染拡大を防ぐために、医師や多くのゴム手袋が必要とされているからです。また、東京株式市場では、デング熱感染が1名確認されたことから今週27日のフマキラー社株が急騰し、感染者数がさらに2名確認されると翌28日の同社株がストップ高を交えて高騰しました。デング熱は、蚊が媒介して感染することから、フマキラー社の株価が高騰したようです。しかし、今回の国内でのデング熱感染と西アフリカのエボラ出血熱感染とでは、感染拡大のスケールが違います。

世界保健機構(WHO)は昨日、エボラ出血熱の感染者数が今後9ヶ月以内に2万人に達する可能性があるとの見通しを発表しました。エボラ出血熱の感染による死亡率が7割ほどとされていることから、感染者数が2万人達することになれば、死者数が1万4千人に達する可能性もあります。また、WHOは、感染拡大を阻止するために約5億ドル(約520億円)の資金が必要になるとの見解を発表しました。WHOは昨日、アフリカ西部のギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネの4カ国で、昨年12月から今週28日までの感染者数を3069人と発表しました。8月21日時点でのWHOによる感染者数の発表が2475人ですから、この1週間ほどで感染者数が594名も増加しました。WHO発表による死者数の発表は、8月6時点の932人から、8月28日時点で1552人にまで増加し、この3週間ほどで死者数が620人増加したことになります。西アフリカにおけるエボラ出血熱の感染拡大は、昨年12月から始まりましたが、今月になって感染ペースが加速しております。そしてWHOは、「感染の激しい地域では、感染者数は現在報告されている数字の4倍に達している可能性がある」との見解を示しております。現地では、医師・ゴム手袋・ワクチンが不足しているために、感染拡大が止められない状態が続いております。

ゴム手袋が天然ゴムから生成されることから、エボラ出血熱の感染拡大により、天然ゴム需要の拡大も予想されます。前回、マレーシアのゴム手袋業界が特需に沸いたのは、WHOが2009年4月に鳥インフルエンザの緊急事態を宣言した時であり、その時は、天然ゴム価格も上昇傾向を続けました。今回のWHOの感染見通しを見る限り、以前の鳥インフルエンザのときを上回るゴム手袋業界の特需が起こる可能性があります。過去には、エイズが世界的に騒がれ始めた時にコンドーム業界の特需が起こり、日本のコンドームメーカーである岡本理研ゴムの株価が高騰するとともに、天然ゴムが上昇を続けた事を記憶している方も多いのではないでしょうか。エボラ出血熱の感染拡大は、アフリカ西部のギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネに集中しているものの、それ以外の複数のアフリカ諸国で感染が報告されております。

供給過剰を背景に下落を続けている産地現物価格ですが、記録的な価格にまで下落したことで、生産高見通しがここに来て大きく変化し始めております。国際ゴム研究会(IRSG)は今月13日、今年の天然ゴムの世界需給が、5月発表時での71万4000トンの供給過剰予想から37万1000トンの供給過剰予想へと、大幅に下方修正して発表しました。たった3ヶ月間でここまで生産高見通しが下方修正された原因は、5月ごろからの安値が原因とされております。IRSGは、来年度分の供給過剰予想を、今年より46%減少して20万2000トンと発表しました。世界の天然ゴム生産高が2012年時点で1138万トンですから、15年度に対して20万トン程度の供給過剰予想なら、需給がほぼ均等しているとみるべきでしょう。産地現物価格が今後も現在の低価格を続けることになれば、生産高見通しがさらに下方修正されて供給不足に転じる可能性もあります。それにエボラ出血熱の感染拡大に伴うゴム手袋の需要増加が加われば、ゴム価格が急騰する可能性もあります。それだけに、今後の東京ゴムは注目ではないでしょうか。

ゴム市場分析

 今週の東京ゴムは、タイ政府が25日に20万トンの天然ゴムの国家備蓄売却を承認したことから、翌26日の東京ゴムがサーキット・ブレーカーを交えての急落となり、同日の上海ゴムも大きく下落しました。それでも産地現物市場の下落が限定的であったことが印象的でした。タイ・ハジャイのRSS3号は、先週22日が55.61バーツであり、28日時点でも55.06バーツを保っております。また、シンガポールゴムのRSS3号は、22日の180.0セントに対し、28日時点でも179.5セントですから、1週間前とほぼ同じ水準です。しかし、タイ輸出業者の8~9月積み・FOBオファー価格(RSS3号)は、22日のキロ=180セントから175セントにまで下落しました。このオファー価格を円換算すると、181.7円となります。これに輸入諸経費を加えると、輸入採算価格が約191円となります。東京ゴムの当月限が186円付近で推移していることから、輸入採算価格を5円ほど下回っております。タイ政府が備蓄在庫売却を承認したことが伝わった時は、インパクトが大きく感じたものの、年初から何度か売却の可能性が取りざたされていたことから、それほど新鮮味がなかったのかも知れません。

1年半ほど前に、価格てこ入れ政策の一環としてタイ政府が農家から天然ゴムを買い上げたときの価格が106バーツであり、現在は52バーツ付近で推移しております。当時は、100バーツ付近にまで価格が下落して農家の生活を苦しめているとしてタイ政府が農家から天然ゴムの買い上げに動きました。また、昨年8月3日からタイのゴム農家による大規模デモが行われたことに対してタイ政府が昨年9月6日に、農家からキロ=90バーツで天然ゴムを買い取る事で合意し、大規模デモが一時的に静化されました。しかし、その数日後にタイ政府が一度決定した農家との合意案を一方的に破棄し、農家への補助金を当初計画の2倍に引き上げることで埋め合わせました。それに生産者が反発して大規模デモを実施し、同月16日にゴム農家約1000人と警察隊300名が衝突する事態に陥ったことは、記憶に新しいところでしょうか。その後、首都バンコクにもゴム農家によるデモが拡大しました。それと時を同じくして、民主党のステープ元副首相が大規模な反政府デモを起こし、のちにインラック政権を崩壊に導くことになりました。その反政府デモのリーダーであるステープ元副首相の支持基盤がタイ南部であることから、ゴムの価格てこ入れを訴えてデモを行っていたタイ南部のゴム農家がそのままステープ元副首相率いる反政府デモに合流し、インラック政権を崩壊に導きました。そうした意味でも、タイ南部のゴム生産者は、インラック政権崩壊の立役者的存在でもありました。しかし、軍部による新政権が政府備蓄売却を承認したことから、現地では、「何のためにデモに参加して前政権を倒したのか?」という生産者の苦悩の意見が多く伝わっております。下記のチャートは、シンガポールゴムと東京ゴムのチャートですが、東京ゴムのチャートが下げ止まりの様相を呈している反面、シンガポールゴムのチャートは、いまだ下落が止まらないように見えます。アベノミクスによる円安進行の流れが両チャートの形の違いの原因となっております。

これまでのタイ政府と生産者を振り返ると、「産地現物価格が100バーツ付近まで下落したときに、タイ政府が農家から天然ゴムを買い上げて価格てこ入れ策を実施。→90バーツにまで下落したときに生産者による大規模デモが発生→反政府でデモの拡大により、事実上の無政府状態に突入→軍部がクーデターを起こし、軍部による政権が誕生→現在の産地現物価格が52バーツ付近で推移」となり、天然ゴム生産者の苦悩が感じられます。タイ南部では、天然ゴムとパームヤシが主生産物とされております。パームヤシは、価格上昇により大手農家の増益がこのところ伝えられております。それだけに、天然ゴム農家への支援が求められているようです。今年5月にタイで軍事クーデターが発生し、軍部がタイ国王軍政権の成立を宣言したものの、これまで無政府状態が続いておりました。しかし、今月21日に軍政トップのプラユット陸軍司令官が第29代首相に指名され、新たな首相が誕生し、9月に新政権人事が発表される予定です。新たに始動するタイ新政権がどのような方針を打ち出すかが、今後の天然ゴム市場にとって重要となりそうです。産地現物価格が記録的な安値に沈んでおり、東京ゴムが輸入採算コストを割り込んでいることから、東京ゴム市場への注目も一考ではないでしょうか。


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海外市況

 NYダウは、中盤で1万7000ドル付近まで失速する場面もありましたが、42ドル安の1万7079ドルで取引を終えました。ドル円は小動きとなり、ユーロドルは下落しました。S&P500は1996.74ポイントで取引を終え、大台の攻防が続いている模様。米第2四半期GDP(改定値)が市場予想の3.9%を上回る4.2%となり、速報値の4.0%を上回りました。米国株は、GDPや週間新規失業保険申請件数などの経済指標を好感したものの、ウクライナ情勢の緊張に圧迫された模様。ウクライナのポロシェンコ大統領は28日、親ロシア派を支援するため、ロシア軍部隊がウクライナ領内に進入したとして激しく非難しました。NATOからは、1000人以上のロシア兵がウクライナ領内で活動しているとの見解を発表しております。ロシアとウクライナの首脳会談を終えたばかりですが、再びウクライナ情勢の緊張が高まりました。こうしたウクライナ情勢の緊張にNY金やNY原油も反応。

NY金は、ウクライナ情勢の緊張に反応してNY市場の取引開始前に一時1297ドル付近まで上昇しましたが、その後、対ユーロでのドル高が進み、ドル高圧力により失速し、現在の電子取引では昨日15時半比2ドル高の1291ドル付近で推移。

原油市場では、NY原油が上昇した反面、ブレント原油が小幅下落しました。NY原油は、米GDPの改善やウクライナ情勢に反応して上昇。一方、ブレント原油は、ウクライナ情勢の緊張が好感されたものの、冴えないユーロ圏経済指標に圧迫されたようです。

本日の注目は、ユーロ圏消費者物価指数(8月)の発表となりそうです。ジャクソンホールでのドラギECB総裁の演説でユーロ圏の追加緩和期待が高まったものの、今週になり、ロイター通信からの報道で追加緩和期待が後退する動きがありました。今週27日にロイター通信から、「29日発表の8月のインフレ率によってユーロ圏がデフレに向かって進んでいることが示されない限り、ECBは来週の政策委員会で新たな措置を打ち出す公算は小さい」と報じられたことを受けて、追加緩和策期待が後退しただけに、今夜の発表が注目されております。特にドル相場の影響を受けやすいとされる金相場などは、今夜の発表が気になるところでしょうか。

金市場分析「方向性が乏しい金相場」

 近年の金相場は、12年12月に1784ドルにまで上昇し、その後7ヶ月間で600ドルほどの暴落を記録。昨年の6月と12月に1200ドル付近まで下落してダブルボトムを形成し、昨年8月と今年3月に1400ドル付近まで上昇してダブルトップも形成していることから、この1年間は、1200~1400ドル付近の範囲内でのボックス圏相場となっております。そして現在値が1284ドル付近で推移しており、過去1年間のボックス圏相場での中間的水準にあり、値ごろ的にも仕掛けにくく、最近の金相場のボラティリティーの低さからも、方向性が乏しい展開が続いております。

 ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が今週発表した第2四半期(4~6月期)の需給レポートでは、金需要全体の半分以上を占める宝飾品向け需要は前年同期比30%減の510トン。各国中央銀行による金購入は、前年同期比28%増の118トン。金地金およびコインの需要は前年同期比56%減の275トン。ETFからの流出量は40トンと、前年同期の10分の1に減少。需要合計は、前年同期比16%減の964トン。供給合計は、前年同期比10%増の1078トン。この需給報告に対してWGCのストラジテストは、「昨年は記録的な消費者の購入と投資家の売却を見た例外的な年でしたが、今四半期の需要は引き続き長期的トレンドへの回帰を示し、金市場特有のバランスの取れた性質を表しています。宝飾品を購入している消費者は2013年以降も引き続き宝飾品が求めやすい好機であると捉え、投資家も昨年の極端な状況から、バランスを取り戻しました。金市場全体としては、例外的な年となった2013年以降、安定化に向かっています。」と説明しております。

今回のWGCのレポートで特に気になった点は、今年第2四半期の金需要が前年同期より大きく落ち込んだのは、昨年第2四半期の需要が記録的に増加したためであり、長期需要トレンドは、安定していると伝えている点です。昨年前半で金相場が高値から600ドルほどの暴落を記録したことで、昨年第2四半期に記録的な金需要を呼び込みました。しかし、その後、金価格が上昇を始めると、旺盛な金需要も徐々に姿を消し、昨年8月に1400ドル付近で下落基調に転換しました。現在値は、昨年の第2四半期と同じような価格水準ですが、昨年のような旺盛な金需要はまったく感じられません。昨年第2四半期の記録的な金需要の伸びは、1200~1300ドル付近だからではなく、「半年間で600ドルほどの暴落によって発生した割安感」だったのでしょう。ここにきて米国株が最高値を更新し、金相場のボラテリィティーも低下していることから、このままでは、第2四半期以上に第3四半期(7~9月期)の金需要が低下する可能性も出てきました。最近では、インフレ懸念も一時より低下し、ウクライナや中東での地政学的リスクも新鮮味が薄れており、米国の早期利上げ懸念も根強いことから、金投資への魅力が低下しているようです。現在1284ドル付近で推移しているNY金が、この1年間での下値抵抗線となっている1200ドル付近まで下落すると、テクニカル的な買いも視野に入ってくるものの、1300ドル付近の水準では、値ごろ的な抵抗も期待できそうにありません。一方、最近の米国株の急上昇やユーロドルの急落、早期利上げ懸念の高まりなどでも、それほど下落に転じなかった金相場ですから、積極的に弱気するにも気が引けるところではないでしょうか。金相場は、仕掛けどころを待つ時期かもしれません。

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海外市況

 SP500は0.1ポイント高の2000.12ポイントとなり、大台乗せによる達成感から、前日までの上昇基調が感じられない値動きでした。良好な第2四半期決算や複数の経済指標を背景に前日まで上昇を続けていたものの、ここにきて更なる上昇に対するファクター不足というところでしょうか。ユーロドルがようやく上昇に転じました。ジャクソンホールでのドラギECB総裁の演説から、ECBの追加緩和策が意識されたことでユーロ売りに弾みがついたものの、ロイター通信から、「29日発表の8月のインフレ率によってユーロ圏がデフレに向かって進んでいることが示されない限り、ECBは来週の政策委員会で新たな措置を打ち出す公算は小さい」と報じられたことを受けて、追加緩和策期待が後退し、ユーロが買い戻される値動きとなりました。明日のユーロ圏の消費者物価指数(8月)が注目されそうです。8:50時点での外電換算は、東京金8円安、東京白金17円安、東京ガソリンはブレント原油で140円高、NY原油で140円安、東京とうもろこしは前日比変わらずです。本日は、米国の第2四半期GDPの発表が予定されております。

 NY金の電子取引は、昨日15:30比2ドル安付近で推移。ホットマネーが米国株式市場に集中していることから、対ユーロでのドルがやや下落に転じても金相場の上昇につながらなかった模様。原油市場が2ヶ月間で15ドルほど下落し、米穀物市場が3ヶ月ほど前から大きく下落したことにより、今月発表された米消費者物価指数が市場予想を下回る低調な伸びとなったことから、「インフレヘッジの金投資」の魅力が薄れているようです。現在の低調なインフレ率の伸びにより商品市場全体への魅力も低下しており、それに経済指標と決算発表が良好な内容とくれば、投資家の視線が米国株式市場に向いてしまうのは仕方がないことなのでしょう。米国株の上昇により、株式の時価総額が66兆ドルを突破して過去最高となっているものの、米国株が調整を入れることになれば、これまで株式市場に向かい続けたホットマネーが「リスクヘッジの金市場」へ流入することも考えられることから、金相場としても、今後の米国株式市場の動向が気になるところでしょうか。

 NY原油は、94.2ドル付近まで上昇したが、クッシング在庫の増加発表を受けて一時93.4ドル付近まで下落し、現在の電子取引では93.7ドル付近で推移。EIA週間石油統計では、原油在庫が予想されたほど減少せず、クッシング原油在庫が4週連続で増加となりました。

穀物市場「米中の豊作を織り込むのは?」

 今月12日の米農務省による需給統計では、トウモロコシの生産高が140億3200万ブッシェルとなり、事前予想の142億5300万ブッシェルを下回ったものの、総供給が1億7200万ブッシェル上方修正され、過去最高の152億4300万ブッシェルとされました。9月中旬ごろから収穫作業が始まる事から、この「収穫直前の需給統計」の発表により、マーケットは大豊作を織り込んだと見る向きもあるようです。マーケットの反応も、12日の需給統計の発表を境に上昇に転じております。シカゴコーンは、5月9日に5ドル19セントの高値を付けたものの、その直後から強力なダウントレンドを形成し、8月12日に3ドル47セントの安値を記録。しかし、同12日の米農務省による需給報告の発表直後から上昇基調に転じており、現在は3ドル65セント付近で推移。この値動きを見る限り、12日の需給報告で大豊作が織り込まれたかに感じられます。これまでも「8月の需給報告」でシカゴコーンがトレンドを反転させる傾向がありました。相場格言でいうところの「知ったらしまい」、「噂で買って、事実で売れ」、「豊作に売りなし」という事かもしれません。

 今年は、米国と中国の穀物が豊作見通しとなり、今後、収穫作業が進むにつれて、貯蔵サイロ不足に悩む農家も増えそうです。米国では、2年連続での豊作により、収穫が進むにつれて米中西部のあちこちでトウモロコシの山が出現するとの意見もあります。米農務省は、来年のトウモロコシ在庫が2006年以降最高の18億800万ブッシェルに達し、2年前の在庫水準の2倍以上に膨れ上がると予想しております。2年前の在庫が低水準過ぎたのですが、それでもこの2年間での在庫見通しの変化には驚かされます。一方、中国では、11年目の豊作が予想されており、国営メディアによると、政府は1億5000万トンの穀物を抱えると推測しております。中国政府が保有しているトウモロコシ在庫は、世界全体の在庫の4割ほどとされており、中国市場でのダブつきも気になるところでしょう。これから収穫作業が進むにつれて、米中での備蓄サイロ不足が深刻になり、あちこちでトウモロコシが山積みされるとの意見もあります。しかし、そうしたことが現時点で予想されていることから、すでに現在のトウモロコシ価格は、そうした状況を反映しているとの意見もあるようです。

 米国のトウモロコシ需要の3分の1は家畜用飼料、そしてエタノールも3分の1を占め、残り3分の1が輸出に向けられております。しかし、中国へ輸出された米国産トウモロコシに認められていない遺伝子組み替え作物が含まれているとの理由で、中国政府が米国からの引き取りを拒否したため、米国は最大輸出国である中国への今年上半期の輸出量が前年同期比86%減へと激減しました。このこともシカゴコーンを急落させる要因となりました。豊作予想と中国への輸出量激減のダブルパンチにより、シカゴコーンが5月中旬ごろから3か月間で33%下落しました。しかし注目は、12日の需給報告発表以降、緩やかですが上昇に転じている事かもしれません。米トウモロコシ価格が4年ぶりの水準にまで下落したことにより、米国でのトウモロコシ需要が増加し始めているようです。トウモロコシ価格が大きく下落したことにより、米国での家畜用飼料に対するトウモロコシの配合比率を引き上げ、その代わりに干し草やアルファルファなど割高な原材料の配合比率を引き下げる動きが報告されております。シカゴコーンが1年前の半値以下にまで下落したのですから、これからも世界的に家畜用飼料に対するトウモロコシの配合割合が増加する事が予想されます。 

これまでのシカゴコーン市場では、「どれだけ収穫できるのか?」という天候相場特有の思考が注目されてましたが、これからの需要相場では、「需要がどのように変化するのか?」という思考が注目されることになるのかもしれません。投資家としては、天候相場と需給相場とでは、注目する視点、考え方を切り替える必要があるのではないでしょうか。昨年、不作懸念を背景にシカゴコーンが8ドル40ドル付近まで上昇したものの、8月の農務省発表で不作が確定となり、その直後から暴落が続き、昨年末には4ドル付近まで下落する事となりました。2008年も、同じように4ドル付近から7ドル付近まで上昇を続けたものの、8月の需給報告で不作が織り込まれると、その年の年末には3ドル付近まで下落しました。08年や13年のように、不作でも年央から下落トレンドを形成した理由を思い返せば、今後の作戦に役立つのではないでしょうか。「知ったらしまい」、「噂で買って、事実で売れ」、「豊作に売りなし」ということわざがあり、天候相場と需給相場とでは、視点や考え方を切り替えることが必要かと思われます。


前場市況1

 NYダウの電子取引は、今朝から小動きです。日経平均は、7円高付近で推移。ドル円やユーロドルも今朝から比較的小動きで推移。マーケット全体が今朝から静かな立ち上がりです。ドル円は、昨夜から3度も104円15銭付近が上値抵抗となっております。この水準は、今年4月の高値水準でもある事から、テクニカル的な抵抗となっているようです。10:50時点、東京金8円高、東京白金9円高、東京ガソリン150円高、東京ゴム1.2円高、東京トウモロコシ40円安です。

 NY金やNY原油の電子取引も今朝から小動きで推移。株式市場も為替市場も今朝から比較的静かな値動きとなっておりますが、地政学的リスクの影響を受けやすい金相場や原油相場としては、昨夜のロシアとウクライナとの首脳会合の内容が気になるところでしょうか。しかし、昨日の首脳会合は非公式会合とされている事から、会合内容の明細は不明です。一方、首脳会合の開催国となったベラルーシのルカシェンコ大統領は、「26日の会合がどうだったかといえば、一つの成功だったと評価できる。適切な方向への第一歩になった」と述べております。このコメントからも、ウクライナ情勢が解決に向けて少し前進する内容となったようですが、抜本的解決とはいかなかったようです。そして同大統領は、「27日にも話し合いが行われる可能性がある」と述べており、本日も引き続き首脳会談が行われる可能性があることから、金相場や原油相場への警戒が必要かもしれません。プーチン大統領は、ウクライナがEUとの関係緊密化方針をさらに追求すれば、ウクライナとの貿易優遇措置の撤廃も辞さないとけん制しており、問題解決にはまだ時間がかかりそうですが、首脳会合のさらなる進展が待たれるところでしょうか。

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