松永総研

北浜の虎と呼ばれた男

2015年03月

金市場パート2「4月1日から中国の金輸入急増か?」

 NY金における大口投資家の買いこし枚数が、1月27日終了週の18万8925枚から3月17日終了週の5万3093枚まで大幅な減少となりました。しかし、3月24日終了週が小幅増加に転じたことから、ファンドの手仕舞い売りが一巡した可能性もあります。過去1年間で大口投資家による買いこし枚数が5~6万枚にまで低下したことが4回ほどありますが、その時のNY金が底値形成となり、その後、1~2ヶ月ほどNY金が上昇基調に転じており、そろそろNY金が上昇基調に転じると考えるべきかもしれません。しかも、大口投資家による買いこし枚数が1月27日に18万枚台まで急増してから、「2ヶ月で13万枚強の買いこし枚数の減少」ですから、ここ数年で最も激しかったファンドの手仕舞い売りだったようです。

 中国人民銀行は今月19日、金と金製品の輸出入を一層多くの企業に認めることを発表し、金輸入に関する新制度が4月1日から実施されることとなりました。これまで指定銀行と一握りの企業だけに付与されてきた金貿易業務の免許を、中国国務院が認可した金取引所の会員や金トレーダーも取得できるようになりました。生産量、税額、環境など一定の基準を満たした資源大手や製油所も申請できるようです。中国は、インドと共に世界最大の金消費国ですから、金輸入に関する新制度の導入により、4月1日から中国の金輸入が急増する可能性もあります。

インドでは、4~5月と10~11月が婚礼シーズンとなります。また、4月19日のヒンズー教の祭りで金を交換する習慣があり、金を受け取った人に幸運をもたらすという信仰もあります。インドでは、4月からの婚礼シーズンとヒンズー教の祭りが重なって、この時期からの金需要が増加する傾向もあります。 

上海総合株価指数が連日の年初来高値を更新していることや、中国人民銀行と住宅・銀行規制当局が30日の共同声明で、住宅取引の緩和策を発表したことにより、中国市場全体の雰囲気がかなり好転してきました。そして、4月1日から実施される中国の金に対する輸入規制の緩和により、4月からの中国金輸入が急増する可能性もあります。そしてインドが金の需要期を迎えることも注目でしょう。それに加えてこの2ヶ月間でNY金市場におけるファンドなど大口投資家の手仕舞い売りが急増したことから、ここから金市場に対する強気な見方も一考ではないでしょうか。


NY金の建玉明細
NY金のCFTC2

NY金の週足
NY金の週足

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ゴム市場

 東京ゴムが1円安付近、上海ゴムが0.3%安付近で推移しております。昨日のタイのRSS3号オファー価格(船積み価格)がキロあたり1.77ドルですから、これを円換算すると1.77ドル×120円15銭(現在のドル円)=約212円60銭となります。これに輸入諸経費をキロあたり5円で計算すると、輸入採算価格が217円60銭となります。現在の東京ゴム先限が輸入採算価格を10円ほど下回っていることから、東京ゴムの大幅割安換算に注目する必要がありそうです。また、明日から4月入りとなり、天然ゴムの主生産地のタイ南部が減産期入りとなることから、今後の産地現物価格が堅調さを増すと考えるべきかもしれません。

中国の住宅取引への緩和策の発表を受けて、本日の上海総合株価指数が再び年初来高値を更新しました。中国人民銀行と住宅・銀行規制当局は30日の共同声明で、2軒目の住宅を購入する場合の最低頭金比率を従来の60%から40%に引き下げることを発表しました。また、不動産保有者が住宅を売却する場合、2年以上保有してからの売却に対して取引税が非課税となり、従来の5年以上から修正されました。更に、初回住宅購入者が積立基金から融資を受ける場合の最低頭金比率が従来の30%から20%に引き下げられました。

中国住宅市場の低迷が中国の株式市場や商品市場などの圧迫要因ともなっていただけに、ここに来て中国が住宅取引への緩和策を投入したことから、今後の中国市場全体が堅調さを取り戻す可能性もあります。昨夜のNY銅は、中国の景気刺激策期待により1週間ぶりの安値から反発しており、本日の上海銅や上海亜鉛なども上昇に転じております。銅相場は、よく「ドクターカッパー」と呼ばれ、景気に敏感な銘柄とされております。そうした景気に敏感な銘柄が反応し始めたことや、現在の東京ゴムが輸入採算価格を大幅に下回っていることから、ここから東京ゴムへの強気な見方も一考かもしれません。

東京ゴムの日足
東京ゴムの日足

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穀物市場「コーンの強気か、大豆の弱気?」

 米穀物市場では、今春の大豆作付面積が2年連続で過去最高を更新する一方、コーンの作付面積が3年連続で減少する可能性が高まっております。注目は、米農務省から本日発表される「作付面積動向」となります。ウォール・ストリート・ジャーナル調査によるアナリスト予想平均は、大豆の作付面積が前年比3%増の8590万エーカー、コーンが2%減の8870万エーカーとなっております。

 現在の農家の生産コストに対して、シカゴコーンが少し下回っており、シカゴ大豆が少し上回っていることから、コーンの作付け面積が減少し、大豆の作付面積が増加すると見られているようです。また、昨年からの原油の大暴落によりエタノール需要が低下するとの思惑もコーンの作付け面積の減少に繋がりそうです。一方、大豆油の生産コストが、種子価格の下落や肥料必要量の減少により低下していることから、大豆の作付け面積の増加に繋がると思われます。

 南米産大豆の生産が過去最高となる可能性も高まっており、それに今夜の米農務省発表で大豆の作付面積が増加する見通しとなれば、シカゴ大豆が大きく下落する可能性もあります。その一方で、コーンの作付け面積が減少する見通しとなれば、シカゴコーンが上昇に転じる可能性もあります。今年の天候相場を見据えるのであれば、シカゴコーンや東京とうもろこしの強気が有望かもしれません。一方、弱気な見方をするのであればシカゴ大豆や東京一般大豆といったところでしょうか。


東京とうもろこしの日足
東京とうもろこしの日足

東京一般大豆の日足
東京y一般大豆の日足

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原油市場「核協議の合意期限まで24時間を切りました」

  イランと欧米6カ国との核協議の合意期限まで24時間を切りました。合意すれば、イランへの経済制裁の緩和により同国石油輸出が増加するとの思惑が原油市場の弱材料となり、合意しなければ、これまで「核協議合意の可能性」で原油市場が売られてきた反動高となるだけに、原油市場にとって重要な局面となります。

複数の関係者によると、最新の交渉の後も合意への障壁が複数残っていることも伝えられており、核協議が難航しているようです。ロシア外務省の報道官は、「ラブロフ外相は、合意に向けた現実的な理解が得られれば交渉の場に戻る意向だ。」と述べており、難航する協議を背景に一旦協議から離席する模様。核協議が開催されているスイスと日本との時差が8時間ですから、合意期限は日本時間で4月1日AM8:00となります。明日朝の原油市場には注意が必要でしょう。

2006年から先進国によるイランへの経済制裁が始まりました。それによりイランの石油生産が日量250万バレルから日量100万バレルにまで減少しました。イランのこれまでの先進国に対する核協議での抵抗を考えると、ここで素直に先進国の要求を認める可能性は低そうです。過去10年間で何度もイランと欧州6カ国との核協議が行われましたが、全て協議が平行線でした。今回もイラン側の歩み寄りが見られずに核協議の合意が出来ないと考えるべきかもしれません。それにより原油市場が再び堅調さを取り戻すのではないでしょうか。


東京ガソリンの240分足
東京バージガソリンの240分足

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金市場パート2「ファンドの手仕舞い売り一巡か?」

 CFTCから先週末に発表されたNY金市場におけるファンドなど大口投資家の買いこし枚数は、前週比1188枚増の5万4281枚となりました。前週までの7週間で買いこし枚数が13万5832枚も大幅減少となっていただけに、ようやくファンドの手仕舞い売りが一巡したのかもしれません。特に注目は、大口投資家による買いこし枚数が3月17日終了週に5万3093枚まで減少し、昨年6月3日終了週以来の水準付近まで減少してから増加に転じたことではないでしょうか。

昨年6月に買いこし枚数が5万3000枚まで減少した時にNY金が1240ドル付近まで下落し、その1ヶ月後に1345ドル付近まで上昇しました。また、昨年9月に買いこし枚数が6万3000枚まで減少した時にNY金が1185ドル付近まで下落し、その1ヵ月後に1250ドル付近まで上昇したこともあります。そして、昨年11月に買いこし枚数が5万6043枚まで減少した時にNY金が1190ドル付近まで下落し、その2ヵ月後に1300ドル付近まで上昇した経緯があります。過去の経緯からも、これでファンドの手仕舞い売り一巡となれば、NY金が1~2ヶ月ほど上昇を続ける可能性もあります。



NY金の建玉明細
NY金建玉明細

NY金の週足
NY金の週足

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原油市場パート4「ファンドの大量手仕舞い売り後から原油が上昇」

 CFTCより先週末に発表された建玉明細で最も目立ったのが「NY原油市場におけるファンドなど大口投資家の手仕舞い売り」かもしれません。それによると、3月24日終了週時点での大口投資家による買いこし枚数が前週比3万6601枚減の20万6887枚となり、1週間での買いこし枚数の減少が昨年5月以来の大幅減少を記録しました。しかし、皮肉なことにサウジアラビア主導のアラブ10カ国によるイエメン空爆が先週26日から実施され、それと共にNY原油も大きく上昇しました。相場では、底値圏で買い方の手仕舞い売りが最も大きくなる傾向があるようです。

 添付しているグラフでは、NY原油市場におけるファンドなど大口投資家の買いこし枚数が3月24日までの2週間で大幅な減少となったことが示されております。昨年10月頃から原油価格が急落を続けたものの、大口投資家による買いこし枚数が26~28万枚付近で推移し、なかなかファンドなど大口投資家の手仕舞い売りが進まない状況が続きました。しかし、添付しているグラフでは、3月10日以降からファンドの手仕舞い売りが加速していることが示されております。ファンドなど大口投資家の手仕舞い売りが昨年5月以来の大きさとなっただけに、原油市場も弱気一色のような雰囲気に包まれました。相場では、最も強く感じられるところが天井となる傾向もあるように、最も弱く感じられるところが「底値」ではないでしょうか。昨年10月から今年1月の原油急落でもまとまった大口投資家の手仕舞い売りが出なかったものの、今月になって10ヶ月ぶりの大きさの手仕舞い売りが発生したことから、ここが原油市場のターニングポイントとなる可能性もあります。


NY原油の建玉明細
NY原油CFTC

NY原油の週足
NY原油の週足

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ゴム市場パート2

 本日は、上海ゴムの取引中心限月(9月限)が前場を0.9%安と小幅安で終えたが、それでも東京ゴムが一時4.6円安まで急落し、「上海ゴムの小幅安と東京ゴムの大幅安との綱引き」となりました。しかし、ここに来て上海ゴムの取引中心限月が前日比変わらずまで戻したことを受けて、東京ゴムが安値から戻し始めました。東京ゴムがサーキットブレーカー寸前まで下落しても上海ゴムがプラス転換寸前まで戻したことは注目でしょう。


東京ゴムの15分足
東京ゴムの15分足

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原油市場パート3

 サウジアラビアと湾岸諸国は、先週26日からイエメンのシーア派反政府勢力の「フーシ派」に対して空爆を開始しました。サウジアラビアを中心とする湾岸10カ国によるイエメンへの軍事介入は「決意の嵐」作戦と名付けられております。また、アラブ連盟は29日、地域の不安定化の拡大に対応するために合同軍の創設で原則的に合意しました。エジプトのシシ大統領は「アラブの安全保障のために必要な集団機構を発展させる」と述べており、中東のイスラム教スンニ派政権を中心とした足並みがそろっているように感じられます。

 イエメンでは、パキスタンやインド、中国などの人々の出国が始まった模様。中国の軍艦がイエメンのアデン港に入港し、引き上げを始めております。イエメン在住外国人の引き上げが一巡すると、本格的な戦闘となる可能性が高まります。これまで湾岸諸国連合軍は、「フーシ派」の戦略ミサイル、空軍基地及びその他の基地、武器弾薬庫などの空爆を行いました。サウジアラビアが真っ先に空爆したのは、弾道ミサイル基地だったようです。弾道ミサイルによる大気圏を経由してのミサイル攻撃は、サウジアラビアが最も警戒していたようです。これまで「テロや反政府勢力の武器」といえば、「AK72マシンガンと携帯便利なRPG対戦車ミサイル」といったところでしょうか。しかしシーア派反政府勢力の「フーシ派」は、イエメンの国土の大半を既に侵略していることから、イエメンの軍事基地の武器のほとんどを占領しております。このあたりはイスラム国勢力とよく似ております。イエメン在住外国人の引き上げが一巡すると、戦闘が本格化することにより、再び中東の地政学的リスクが高まる可能性もあります。また、イラクの核協議に対し、イラク政府関係者から合意に対する楽観的な発言が続くことから、「合意によるイランへの経済制裁の解除」でイランの原油輸出が増加するとの思惑も今の原油市場を圧迫しているようです。しかし、今回のイランと欧米6カ国との核協議は、あくまで「6月末の包括合意に向けた大枠の方針についての協議」ですから、そのあたりを勘違いしないことも必要かと思われます。米国の原油在庫の増加傾向が気になりますが、日本は中東からの原油輸入に依存しており、TOCOMで上場されているドバイ原油(旧名:東京原油)や東京バージガソリン(旧名:東京ガソリン)は、NY原油より中東の原油市場の影響をより大きく受けることを認識する必要もあります。そうした意味では、イエメン問題やイスラム国問題などこれから中東の地政学的リスクが更に高まる可能性もあるだけに、東京バージガソリンやドバイ原油などの急落後の安値は強気な見方も一考ではないでしょうか。


東京バージガソリン(旧名:東京ガソリン)の日足
東京バージガソリンの日足

ドバイ原油(旧名:東京原油)の日足
東京バージガソリンの日足

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