松永総研

北浜の虎と呼ばれた男

2015年06月

トウモロコシ市場パート4

 本日の東京トウモロコシの日中取引は、外電換算値の80円安に対して390円安まで下落して取引を終えました。今夜発表される四半期在庫や作付面積に対する警戒や、ゴールドマン・サックスなどによる穀物の上昇終了見通しに圧迫されて東京トウモロコシが外電換算値以上の下落となりました。

 大手金融機関のソシエテ・ジェネラルとゴールドマン・サックスは、「農作物の大半について、豊作により年内の相場は現時点の水準を下回る。供給が潤沢なため農産物価格の6月の予想外の上昇は終了する。」との見通しを発表しました。ゴールドマン・サックスからかなりインパクトのある見通しが発表されました。

ゴールドマン・サックスは、「豊作により」と指摘しており、豊作を前提とした価格見通しであることは注目でしょう。米穀倉地帯のとうもろこしは、発芽が一巡したばかりであり、大豆はまだ発芽が一巡していない時点で、今年の米農産物生産に対して「豊作」を前提にすることに無理があるように感じられます。しかも、本日早朝に米農務省から発表された育成進度報告では、6月28日終了週での大豆とトウモロコシにおける優と良の占める割合が前年同期を共に9%も下回っており、現時点の作柄で「豊作」を前提にすることに無理があります。そして、6月の穀物価格の上昇に対してゴールドマン・サックスが「農産物価格の6月の予想外の上昇」と表現していることも注目でしょう。6月の農産物価格を強気しておれば、「農産物価格の6月の予想外の上昇」と表現することもないはずです。ゴールドマン・サックスがブレント原油に対する見通しを今年2月に30ドルも一気に引き下げ、シティ・グループがWTI原油の20ドルまでの下落予想を発表し、両大手金融機関が最も弱気に傾いたところが原油価格の今年の安値となりました。相場は、誰にも先がわからないから面白いのです。

ゴム市場パート4「中国株暴騰」

 上海総合株価指数は、本日11時半頃に5%安付近まで急落し、6月12日の高値から25.7%の下落となりました。しかし、午後からプラス転換し、現在は4.5%高付近まで急騰しております。昼頃の安値から9.5%ほど暴騰したことになります。中国政府が年金・保険基金への株式市場に対する投資割合を純資産額の最大30%にまで引き上げる草案を発表し、「年金・保険基金のリターン水準を引き上げることが目的。」と指摘したことで、「中国政府が中国株の上昇を見込んでいる。」との思惑が広がっているようです。それにより上海ゴムの反発が注目されるところでしょうか。

トウモロコシ市場パート3

 今夜は、米農務省から作付面積と四半期在庫が発表されます。作付けが終了しているトウモロコシは、実勢をかなり反映した発表内容となります。市場では、3月末の作付け意向面積が過小評価されていたとの見方から、今回は、前回から増加するとの見方が多いようです。ただ、5月下旬~6月上旬の雨がちな天候により、作業ペースがそれほど増加しなかったとの意見も少数ですがあります。作付面積は、3月末の作付け意向面積の8919万9000エーカーに対してロイターが実施したアナリスト予想平均が8929万2000エーカーとなっており、微増が予想されております。四半期在庫に関しては、低調な需給を反映し、在庫が増加するとの見方が多いようです。ブルームバーグ・ニュースのアナリスト27人を対象に実施した調査によるアナリスト予想平均は、1日時点の米国トウモロコシ在庫が前年比18%増の45億5700万ブッシェルとなり、28年ぶりの高水準在庫が見込まれております。

今年のシカゴコーンは、大豊作となった昨年を上回るペースで作付けが進み、それにより早くも豊作観測が広がり、今月15日に年初来安値を記録しました。昨年12月29日に記録した417セントから6ヶ月間も下落を続けることになりました。しかし、天候悪化を背景に今月22日からシカゴコーンが急反発しており、「6ヶ月間の下落トレンドで、弱材料を織り込んだ。」ということではないでしょうか。ここで注目は、今夜発表される作付面積や四半期在庫が共に増加予想であることから、既に作付面積や四半期在庫のある程度の増加を現在値が織り込んでいるということではないでしょうか。そして、「上げ相場の悪材料は買い」という相場格言もあるように、これからは買い場探しとなるのかもしれません。


シカゴコーンの日足
東京トウモロコシの日足

シカゴコーンの週足
東京トウモロコシの週足

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ゴム市場パート3

 中国政府は、年金基金の「基本養老保険基金」に株式市場への投資を認める草案を発表。草案によると、「同基金は本土の債券や株式ファンド、プライベートエクイティ(PE、未公開株)、株価指数・国債先物への投資も認められる。株式とファンド、株式関連年金商品への投資の割合は純資産価値の30%が上限になる。」という内容でした。中国政府は、草案発表に対して、「純資産額の最大30%までの証券投資を容認することで、年金・保険基金のリターン水準を引き上げることが目的。」と説明しております。

2週間ほど前に中国人民銀行が金融システムから若干の資金をひそかに吸収したことにより、「中国政府が過熱する株式市場を冷やすために動いた。」との思惑が広がり、中国株が急落を続けることになりました。しかし、ここで中国政府が年金・保険基金への株式市場に対する投資割合を引き上げて「年金・保険基金のリターン水準を引き上げることが目的。」と指摘したことにより、「中国政府は、中国株の今後の上昇を容認している。」との思惑が広がり、中国株が反発に転じる可能性もあります。上海総合株価指数がこの3週間で25.7%下落しており、ここは、中国株の影響を受ける銘柄に対する強気な見方を実施するところではないでしょうか。そうした意味では、ここからの上海ゴムや東京ゴムの反発に注目するところかもしれません。

ゴム市場パート2

 上海総合株価指数が11時半頃に一時5%安付近まで急落して前日の安値を更新したものの、12時ごろから急反発し、前日比変わらず付近まで戻して午前の取引を終えました。それにより上海ゴムは、一時5.8%安付近まで下落したものの、4%安まで戻して前場の取引を終えました。

中国政府は、年金基金の「基本養老保険基金」に株式市場への投資を認める草案を発表。草案によると、「同基金は本土の債券や株式ファンド、プライベートエクイティ(PE、未公開株)、株価指数・国債先物への投資も認められる。株式とファンド、株式関連年金商品への投資の割合は純資産価値の30%が上限になる。」という内容でした。

中国人民銀行が27日に政策金利と預金準備金比率を同時に引き下げるという異例の発表を行い、中国政府が年金基金に対する株式市場への投資を認める草案を発表するなど、中国政府と中国人民銀行が色々な手法を実施して株式市場急落へのテコ入れを行っている模様。こうした中国政府と中国人民銀行の本気な姿勢に、今後の中国株が急反発し、それに触発されて上海ゴムも急反発する可能性に注目ではないでしょうか。

トウモロコシ市場パート2

 シカゴコーンの電子取引は、9時ごろに3セント高で始まり、現在は2セント高付近で推移。シカゴ小麦の電子取引が4セント高付近、シカゴ大豆の電子取引が5セント安付近で推移。12時50分時点での東京トウモロコシの外電換算値は60円安です。それに対して東京とうもろこしが240円安付近で推移しております。

北朝鮮や韓国では、過去100年で最悪といわれる干ばつ被害を被っており、国連人権高等弁務官事務所は27日、北朝鮮が非常に深刻な飢餓に直面しつつあるとして国際社会に対し支援を呼び掛けました。タイ中部の穀倉地帯では、30年ぶりとも50年ぶりとも言われる干ばつ被害に陥っており、中部穀倉地帯に農業・生活用水を供給する4つの主要ダムの貯水量がすでに30日分を割り込んでおります。それにより米の2期作中止を呼びかけており、農家に救援金を支給する措置を講じているものの、農家からの反発が続いております。パキスタンでは、20日からの熱波被害による死者が1100人を超えたことも報告されております。インドでは、5月下旬から6月上旬にかけての熱波被害による死者が2300人を超えたことも報告されております。オーストラリアでは、西オーストラリア州で猛暑、南オーストラリア州で干ばつ被害が発生しております。衛星写真では、10日ほど前から東南アジア周辺の熱帯収束帯(赤道海面上に帯状に広がる雲)がはっきりと確認されるようになり、赤道付近である程度の降水量を確保出来るようになりましたが、今週になり熱帯収束帯がかなり縮小しており、再びオーストラリアや東南アジア周辺の干ばつ警戒が高まってきました。

エルニーニョ現象は、東南アジア側で干ばつ被害を招き、南米側で洪水被害を招くとされております。気象庁が今月10日に発表したエルニーニョ監視速報は、「5月の太平洋赤道域の海面水温は、日付変更線付近から南米沿岸にかけて平年よりかなり高かった。エルニーニョ現象時の特徴を前月より明瞭に示しており、エルニーニョ現象が強まりつつある。今後、冬にかけてエルニーニョ現象が続く可能性が高い。東南アジアの高温・少雨と米国西部の低温がエルニーニョ現象時の天候の特徴と一致していた。」と指摘しております。最近のシカゴ穀物市場では、米中西部穀倉地帯の天気ばかりが注目されておりますが、今後は、東南アジアやオセアニアの穀倉地帯の天候が材料視される可能性も高そうです。世界的な異常気象の広がりにより、2011~2012年の再来で「世界の食糧危機」が騒がれる可能性もあります。

ゴム市場

 上海ゴムは、昨日の夜間取引で3%安付近まで下落し、現在は5%安付近で推移。上海ゴムの急落を受けて本日の東京ゴムがサーキット・ブレーカーを交えて急落しました。

 先週末の上海総合株価指数が年初来高値から20%の下落となったことを受けて、中国株の弱気相場入りを警戒した中国人民銀行が27日に預金準備金比率の一部引き下げと政策金利の引き下げを同時に発表しました。それでも上海総合株価指数の下落が止まりませんでした。今回の中国株の下落の引き金となったのは、2週間ほど前に中国人民銀行が金融システムから若干の資金をひそかに吸収したことです。中国人民銀行の資金吸収の狙いが「過熱する株式市場を冷やすため」と受け止められ、中国株が下落に転じました。今回の中国人民銀行による異例とも言える利下げと預金準備金比率の同時引き下げは、「中国人民銀行がそれだけ追い込まれた」と受け止める投資家も多かったようです。

 中国の投機資金は、以前であれば不動産市場に向っておりました。しかし、中国不動産市場が低迷し、中国政府による株式規制緩和や経済に対する緩和政策により、投機資金が中国株に向うことになりました。しかし、上海総合株価指数が1年間で2.5倍にまで跳ね上がったことから、ここに来て中国人金銀行が、「株価上昇に対するブレーキを少し踏むと、株価が予想以上に急落した。」というところでしょうか。

 上海総合株価指数は、6月12日の5178ポイントから29日の3875ポイントまで25%も下落しており、弱気相場入りの定義とされる「高値から20%以上の下落」を大きく上回りました。3週間で株価が25%も下落するのは、「オーバースピード気味」といえます。現在の上海総株価指数が2%安付近で推移しており、昨日安値まで2%ほどに迫っております。東京ゴムは7.5円安付近で推移しております。中国株が弱気相場入りと騒がれたことで上海ゴム売りが加速しましたが、ここは中国株の「オーバースピード気味」の下落による反発に警戒するところでしょう。また、東京ゴムの反発に注目するところではないでしょうか。


東京ゴムの日足
東京ゴムの日足

シンガポールゴムRSS3号の日足
シンガポールゴムRSS3号の日足

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前場市況1「ギリシャ問題」

 昨夜のNYダウは、ギリシャ問題によるリスクオフの流れから大幅安で始まり、350ドル安となりました。NYダウ先物が昨日5時半時点で1万7550ドル付近まで下落しており、現在も同水準で推移しております。ユーロドルは、29日の日本時間早朝に急落しましたが、昨日6時ごろからじり高を続け、先週末を少し上回る水準まで上昇しました。ドル円は、29日早朝に急落し、その後は小動きで推移しており、先週末より1円30銭ほど円高です。日経平均株価は80円高付近で推移しており、昨日の大幅安の反動といったところでしょうか。

 格付け会社のS&Pは、ギリシャの格付けを引き下げ、ギリシャのユーロ圏離脱の可能性が50%になったとの認識を示しました。ギリシャ政府は、7月5日の国民投票で緊縮策を実施するとの決定を国民が行えば尊重するとしました。これにより30日に迫る国際通貨基金(IMF)融資16億ユーロの返済期限までの返済が不可能となりました。欧州中央銀行(ECB)のクーレ専務理事は29日、ギリシャがユーロ圏を離脱する可能性はいまや存在するとの考えを示しました。今回の一連のギリシャ政府の行動に対して、欧州要人からかなり厳しい意見が多いようです。目先の注目は、7月5日の国民投票の結果となりそうです。

 ギリシャリスクの高まりにより、週明けのユーロ圏総合株価指数が下落しましたが、それでも6月18日の安値を割り込んでおらず、ユーロ圏株のギリシャリスクに対する耐性を感じさせます。ギリシャ問題は、リーマンショック後から何度も騒がれてきた問題ですから、それなりの耐性が付いてきたのかもしれません。ギリシャの銀行が休業に追い込まれたことも、ATMの1日の引き出し制限が行われたことも今回で初めてという訳ではありません。ただ、S&Pがギリシャのユーロ圏離脱の可能性を「50%」と示したように、ギリシャ離脱の可能性がこれまでで最も高まっているようです。ギリシャ国民は、緊縮政策に対する反対からチプラス氏を首相に選任したのですが、それでもユーロ圏離脱に反対の国民は多いようです。ギリシャ国民は、「緊縮政策は嫌だが、ユーロ圏から離脱もしたくない」との意見も多く、7月5日の国民選挙でギリシャ国民が厳しい選択に迫られることになりそうです。

みんコモコラムアワード2015
ColumnAward 2015特別賞

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