松永総研

北浜の虎と呼ばれた男

2015年07月

トウモロコシ市場パート3

シカゴコーンのファンドなど大口投資家によるポジションは、6月23日時点で約4.6万枚の売り越しでしたが、6月30日時点で約11.0万枚の買い越し→7月7日時点で約20.8万枚の買い越し→7月14日時点で約25.8万枚の買い越し→7月21日時点で約32.3万枚の買い越しとなりました。特に、7月16日から21日にかけてシカゴコーンが36セントほど下落しても買い越し枚数を増加させたことは注目です。しかし、今夜発表される「7月28日時点のポジション」では、2~3割程度の買い越し枚数の減少も仕方がないところかもしれません。

 東京とうもろこし市場のファンド系機関店とされるN社のポジションは、6月17日時点で6224枚の売り越し→7月21日時点で2127枚の買い越しとなり、本日で1396枚の買い越しです。ですからファンド系機関店とされるN社は、6月17日から7月21日にかけての東京とうもろこしの3900円ほどの上昇期間に「合計8351枚の差引き買い注文」を出したことになります。しかし、7月21日から31日にかけての2800円ほどの下落期間に「合計731枚の差引き売り注文」しか出しておりません。こうしたファンドの「上昇期に多くの買い玉を仕込み、下落期に手仕舞いを最小限に留める。」という動きを見せていることは注目でしょう。この1ヶ月間のシカゴコーン市場や東京とうもろこし市場でのファンドの動きは、「下値が限定的と考えており、再度上昇に転じる。」と考えているからではないでしょうか。

トルコリラパート2

 USドル・トルコリラは、終わり値ベースで前日に最高値を更新し、本日は更に上昇しております。7月20日のトルコ・シュリュジュで起きた爆弾テロを境に上昇し続けております。トルコ軍は、24日からイラクやシリアのイスラム国(IS)とクルディスタン労働者党(PKK)の拠点への空爆を続けております。昨日もPKKの拠点に対してF16戦闘機30機による空爆を実施しました。空爆の大半がPKKに対して実施されております。トルコのエルドアン大統領が28日に「PKKと平和交渉を継続することは不可能だ。」と述べ、トルコとPKKとの平和交渉が決裂した模様。トルコがイラクやシリアのISとPKKの拠点への空爆を同時に開始する「二正面作戦」を開始したことは、リスクの高い作戦と受け止められているようです。そうした背景が最近のトルコリラの続落要因となっているようです。

先月のトルコ総選挙で得票率を13%まで上昇させる躍進を遂げてエルドアン大統領率いる与党・公正発展党の得票率を過半数割れに追いやったとされるクルド政党である人民民主主義党の党首は30日、「トルコのPKK空爆の主たる目的は、シリア内でクルド領域の広がりを防ぐためで、ISに対するものではない。」と非難しております。PKK(クルディスタン労働者党またはクルド労働者党)への空爆に対してトルコのクルド政党である人民民主主義党が怒りをあらわにすることは当然のことでしょう。これでは、トルコ国内のクルド人とトルコ政府との対立も招きかねません。そうしたトルコの不安定さが、連日の「主要通貨に対するトルコリラ売り」に現れております。このままでは、USドル・トルコリラが終わり値ベースで「2日連続での最高値更新」となりそうです。

後場市況2

 NYダウの電子取引は今朝から小動きです。日経平均株価も今朝から小動きを続けましたが、引け際で少し上昇して62円高で取引を終えました。ドル円は、午後から30銭ほど円安に進み、15時半頃から上げ足が早まりました。上海総合株価指数は、今朝から1%安付近で小動きを続けました。上海ゴムは、1%安で取引を終えました。NY原油の電子取引が今朝から60セントほど下落し、NY金の電子取引が今朝から6ドルほど下落しました。シカゴコーンの電子取引は、今朝から1セントほど上昇。

USドル・トルコリラは、終わり値ベースで前日に最高値を更新し、本日は更に上昇しております。7月20日のトルコ・シュリュジュで起きた爆弾テロを境に上昇し続けております。

後場市況1

 上海総合株価指数は、今朝から1%安付近で小動きです。日経平均株価やNYダウの電子取引も今朝から小動きです。ドル円も今朝から小動きです。上海ゴムも今朝から小動きです。今朝からの電子取引では、NY原油が25セントほど下落し、NY金も4ドルほど下落。シカゴコーンの電子取引は、今朝から2ドルほど上昇。13:50時点で、東京金18円安、東京白金12円安、東京バージガソリン330円安、東京ゴム3.5円安、東京とうもろこし230円高です。

 中国株が今朝から小幅安付近で小動きとなり、最近の乱高下する値動きから一変して落ち着いてきたことから、マーケット全体も様子見というところでしょうか。

トウモロコシ市場パート2

7月31日

トウモロコシ市場パート2

オーストラリア気象庁は31日、太平洋でのエルニーニョ現象の発生やインド洋での海面温度上昇を踏まえて、南東部で乾燥した状態が続き、西部で降水量増加が警戒されるとの予報を発表。この発表を受けて、同国小麦生産への影響が懸念されております。エルニーニョ現象が発生すれば、オーストラリア東海岸での気温上昇と乾燥気候により、同国の広い範囲で小麦生産が打撃を受ける傾向もあります。シカゴ小麦は、6月下旬からのシカゴ穀物市場の連騰を牽引していた銘柄であり、今月上旬からの急落により先月下旬からの上昇幅の約9割を吐き出した直後です。

6月下旬頃からの上げ幅と、7月高値からの下げ幅は、

シカゴ小麦が132セント上昇(27%上昇)→114セント下落(上げ幅の86%下落)。

シカゴコーンが88セント上昇(25%上昇)→68セント下落(上げ幅の77%下落)。

シカゴ大豆が130セント上昇(13%上昇)→101セント下落(上げ幅の78%下落)。

特に注目は、シカゴ小麦が6月22日からの7営業日で27%の上昇となったことです。シカゴコーンは、6月22日から18営業日で25%上昇していることから、6月下旬からのシカゴ穀物市場の連騰をいかにシカゴ小麦がリードしていたかに注目でしょう。そしてオーストラリアの小麦生産が、エルニーニョ現象による高温&乾燥気候の影響を受ける可能性も高まったことから、再びシカゴ小麦がシカゴ穀物市場の上昇をリードする可能性もあります。

本日のオーストラリア気象庁の発表も注目されますが、インドネシア国家防災庁は今週28日、「同国が7~11月に穏やかなエルニーニョ現象に伴う気象状況に直面し、スマトラから同国東部の各州で影響が出る。エルニーニョ現象に伴う気象状況は、11月に勢いが強まる可能性がある。雨季入りは例年であれば10月だが、12月までなさそうだ。」との見通しを発表しました。ここに来てオーストラリア気象庁とインドネシア国家防災庁がほぼ同時期にエルニーニョ現象に対する警戒を指摘していることに注目でしょう。


シカゴ小麦の日足
シカゴ小麦の日足

シカゴコーンの日足
シカゴコーンの日足

シカゴ大豆の日足
シカゴ大豆の日足
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トウモロコシ市場

 シカゴコーンは、7月16日に438セントまで上昇しましたが、天候予報の改善を背景に364セント付近まで急落しました。結局、シカゴコーンは、6月30日の米農務省発表時以前の水準まで下落しました。米農務省から6月30日に発表された作付面積と四半期在庫が大方の増加予想に反して減少したことで、シカゴコーンの連騰が始まりました。天候が少し改善しようとも、作付面積が増える訳ではありません。それを考えると、突っ込み警戒を高め、再び買い場探しも一考かもしれません。


(米中西部におけるトウモロコシの育成カレンダー)

7月中旬~8月上旬=シルキング

タッセリング初期からさらに5~6週間後、とうもろこしの種実部の先端から細長い絹のような糸が出てくる。これをシルキングといいます。

    ↓

7月中旬~8月上旬=受粉

雄穂(タッセル)から放出された数百万個の花粉が、6~15メートル以内にあるめしべ(シルク)に付着して受粉する。この時期は適切な湿度が必要であり、摂氏38度以上の高温になると受粉障害が発生し、受粉率が低下する。

    ↓

8月中旬~下旬=ミルクステージ

受粉から2~3週間経過すると、穀粒がミルクのような状態になる。この時期に澱粉や蛋白を形成する。

   ↓ 

8月下旬~9月中旬=ドウステージ

ミルク状の中身が徐々に柔らかい固まりになってゆく過程です。この時期に早霜に襲われると次の生育段階に進まなくなり、ソフトコーンになってしまう。

    ↓

9月中旬~10月上旬=デントステージ

ドウステージから約3週間たつと実に窪みができる段階に入る。デントステージもドウステージ同様に固まっていく過程ですので、基本的には乾燥した天候が望ましい。この段階までくれば霜の被害は軽微です。

    ↓

10月上旬~11月上旬=成熟期

デントステージから約2週間でとうもろこしの成熟は完了します。ただし、成熟しても穀粒の中の水分はまだ高く20%以上です。

    ↓

10月中旬~11月中旬=収穫期

天候を見ながら収穫のタイミングを図ることになります。

以上が米とうもろこしの育成カレンダーです。


現在は、シルキングの後半であり、受粉期の真っ只中です(米中西部が広大であることから、地域により受粉期も違ってきます)。それにより「米中西部穀倉地帯の天候」に注目が集まっております。そして9月11日の米農務省による需給報告の発表に向けて「米中西部穀倉地帯の天候」への注目が続きます。しかし、9月の需給報告発表を過ぎると、9月中旬頃からシカゴコーンが需給相場の様相へと変化します。収穫は10月中旬からとなりますが、相場は1歩~2歩先を見越して動きます。

エルニーニョ現象が来年の春先頃まで続く可能性も高いことや、EUのトウモロコシ生産が熱波や干ばつの影響を受けていること、中国気象局も同国トウモロコシ生産がエルニーニョ現象の影響を受ける可能性の高いことを伝えていることなどから、需給相場に突入してからのシカゴコーンが上昇力を強める可能性もあります。どうしても天候相場中のシカゴコーンは、「米中西部穀倉地帯の天候」にばかり注目が集まります。しかし、需給相場に突入すると、米国産トウモロコシの輸出状況に注目が集まります。EUや中国、東南アジアなどがエルニーニョ現象の影響でトウモロコシの生産量を落とすことになれば、それらの国が米国産トウモロコシの購入量を増加させることになり、需給相場でシカゴコーンの上げ足が強まる可能性もあります。また、年末に向けてエルニーニョ現象の勢力が高まることも予想されていることから、ここからの「シカゴコーンの天候相場後半戦」も注目でしょう。現在の米中西部穀倉地帯の天候予報が「比較的良好」となっているだけに、それがいつまでも続くとは限りません。

 

 

トルコリラ「解散総選挙に向けて」

 トルコは、7月24日よりイラクやシリアのイスラム国(IS)とクルド人組織(クルディスタン労働者党)の拠点への空爆を開始しました。この、「二正面作戦」による空爆では、そのほとんどが「クルド人組織(クルディスタン労働者党)」の拠点への空爆となっており、エルドアン大統領率いる与党・公正発展党の解散総選挙への行動との意見も多く聞かれるようになってきました。解散総選挙により与党・公正発展党が再び単独与党に返り咲き、エルドアン大統領の目指す「実権型大統領制」が実現すれば、エルドアン独裁政権を嫌気してトルコリラが再び売られ続ける可能性もあります。

先月のトルコ総選挙では、エルドアン大統領率いる与党・公正発展党は、クルド人組織(クルディスタン労働者党)とつながりのあるクルド政党の人民民主主義党に躍進を許し、過半数を割る結果となりました。それにより連立政権を余儀なくされ、エルドアン大統領が目指していた「実権型大統領制」も頓挫し、報道の自由や汚職摘発などに対して譲歩する必要性もでてきました。エルドアン大統領が所属する公正発展党の規則では、首相の4選を禁止していることから、3選目を向かえたエルドアン首相がトルコ初の直接選挙で昨年秋に大統領となった経緯があります。トルコでは、大統領より首相の方がより政治的発言権が大きいとされております。その為、エルドアン大統領は、首相より大統領のほうがより政治的発言権が大きくなる「実権型大統領制」への憲法改正を目指しておりました。しかし、先月の総選挙で過半数を割る結果となり、「憲法改正による実権型大統領制の実現」の計画が頓挫しました。しかし、エルドアン大統領率いる与党・公正発展党は、先月の総選挙から得票率が2%以上増加すれば、解散総選挙を実施して得票率が過半数を上回り、再び単独与党に返り咲くことも可能となります。先月の総選挙で与党・公正発展党が過半数割れとなった主な原因は、それまで与党・公正発展党を支持し続けてきたクルド人の多くがクルド労働者党に鞍替えし、クルド労働者党の得票率が13%に達する大躍進を遂げたことです。今回、トルコ軍がISよりクルド人組織(クルディスタン労働者党)の拠点を中心として空爆していることも、先月の総選挙の結果が影響していると見られております。

 7月20日にトルコのシュリュジュで起きた爆弾テロを実行したのはISとみられ、32人が死亡しました。それをきっかけにトルコ内でテロに対するデモが拡大し、トルコ政府もISへの攻撃参加を余儀なくされた経緯があります。トルコ内でクルド人組織によるテロも発生していたことから、トルコ政府が「テロ撲滅」を目指して、ISとクルド人組織(クルディスタン労働者党)の拠点への空爆を7月24日から開始しました。しかし、その空爆のほとんどがクルド人組織(クルディスタン労働者党)の拠点に実施されております。それにより、トルコ国内で、「テロ撲滅=クルド人組織はトルコの敵」という刷り込みがトルコ国民に促されると、先月の総選挙から得票率が2%以上与党・公正発展党に動き、解散総選挙が実施される可能性も高まります。最近のトルコ内でのテロの多くがISによるものとされておりますが、トルコ政府は、24日から実施した空爆のほとんどをISではなくクルド人組織(クルディスタン労働者党)の拠点に集中しております。こうした動きを感じ取ってUSドル・トルコリラは、7月30日に引け値ベースで過去最高値を記録したようです。7月7日の総選挙後から下落基調にあったUSドル・トルコリラは、7月20日のトルコ・シュリュジュで起きた爆弾テロを境に上昇基調に転じました。シュリュジュでの爆弾テロをきっかけにトルコ内でテロに対するデモが拡大し、ISがトルコ国境付近まで勢力を拡大させていたこともあり、「トルコとISの戦闘は避けられない。」という思惑がトルコリラ売りの要因となりました。有志連合によるISへの戦闘も1年が経過し、そうした「泥沼の戦い」にトルコが加わったことも、今後のトルコリラ売り要因となりそうです。そして、トルコの解散総選挙の可能性が高まったこともトルコリラ売り要因となりそうです。これで、総選挙を経てエルドアン大統領が目指す「実権型大統領制」が実現すれば、「エルドアン独裁政権の復活」を嫌気してトルコリラ売りが更に進む可能性もあります。昨日のUSドル・トルコリラが終わり値ベースで最高値を更新しており、「記録破れば高峠」という相場格言もあるように、「新たな展開に突入」と考える必要もありそうです。トルコリラは、とてもスワップ金利が高い通貨ですが、最近のトルコを取り巻く環境を考えると、「トルコリラ売り」も一考かもしれません

後場市況2

 NY原油やシカゴコーンの電子取引は、今朝から小動きです。NY金の電子取引は、今朝から13ドルほど下落しました。米ゴールドマン・サックス・グループの商品調査責任者は21日、金相場について、「まだ最悪期に入っておらず2009年以来の1オンス=1000ドル割れとなる可能性がある。」との見解を示しました。そして、同商品調査責任者は29日、「金価格が1050ドルまで落ち込む可能性がある。」との見解を示し、向こう3ヶ月が1180ドル、6ヶ月が1150ドル、12ヶ月が1050ドルとなる金価格見通しを発表しました。そうした大手金融機関の価格見通しに今朝からのNY金の電子取引が圧迫された模様。

上海総合株価指数は、15時頃に1.4%まで上昇しましたが、ラスト40分間でマイナス転換となり、2.4%安で取引を終えました。昨日がラスト1時間でプラス転換し、3.4%高まで急騰して取引を終えていただけに、昨日と反対のパターンとなりました。中国株のボラティリティーの高さは、比較的新しい市場であることや個人投資家の占める割合の大きさが影響しているとされております。中国株の売買高の約85%が個人投資家によるものです。それにより、市場の雰囲気の変化に大衆心理が過敏に反応し、行き過ぎた値動きを引き起こすとされております。上海ゴムは0.4%安で取引を終え、今朝から小動きでした。上海非鉄金属銘柄は、全体的に小幅安でした。

みんコモコラムアワード2015
ColumnAward 2015特別賞

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