今朝発表されたAPI週間石油在庫統計は、原油が340万バレル増予想に対して710万バレル増となり、クッシング原油在庫が30万7000バレル増となりました。この発表を受けて朝方にNY原油の電子取引が65セントほど下落しました。それにより、今夜発表が予定されているEIA週間石油在庫統計では、「API週間石油在庫統計の原油が710万バレル増」を基準として判断されることも予想されます。先週発表された週間原油在庫が「API発表値の330万バレル減に対してEIA発表値の210万バレル増」となっていたことから、今朝発表されたAPI週間石油在庫統計で原油が大幅増加となったことは、「先週発表値の調整」とも考えられます。そして、先週発表されたEIA週間石油在庫統計で米製油所稼働率が大幅上昇を記録していることから、今夜EIAから発表される原油在庫は、予想外に減少している可能性もあります。
米製油所稼働率は、昨年11月27日に94.5%まで上昇しましたが、その後は低下傾向を続け、2月5日に86.1%まで低下して今年の最低値を記録しました。昨年も1月16日に85.5%まで低下して昨年最低値を記録しております。1~2月中旬頃は、年間で最も米製油所稼働率が低下する時期です。この時期は、冬の暖房用燃料需要のピークが過ぎ、春の行楽需要(ドライブシーズン)を前に製油所が保守点検を行うことから、米製油所稼働率が低下します。米製油所稼働率が大幅に低下すると、精製待ちの原油在庫が積み上がります。しかし、先週のEIA週間石油在庫統計発表では、米製油所稼働率が前週比2.2%上昇の88.3%となりました。先週の発表でいかに米製油所稼働率が大幅上昇となったかは、添付しているグラフが参考になります。
米製油所稼働率がようやく大幅上昇となり、これから春の行楽需要に向けて更なる米製油所稼働率の上昇も予想されます。日米欧のガソリンスタンドは、春の行楽需要に向けて備蓄在庫を積み上げる傾向もあることから、それに向けて製油所稼働率も上昇傾向を強めそうです。
米製油所稼働率は、「8月頃のエネルギー消費の最盛期」と「冬の暖房用燃料需要の最盛期」に95~96%程度まで上昇する傾向もあります。そして、「冬の暖房用燃料需要の最盛期」と「春の行楽需要」の端境期となる1~2月中旬頃に85~86%程度まで低下する傾向もあります。製油所稼働率が10%も違えば、原油在庫への影響も大きくなります。更に、昨年11~12月の米国が記録的な暖冬となって暖房用燃料需要の大幅減少を招き、米原油在庫を大幅に増加させました。昨年12月24日のニューヨークの最高気温が22℃を記録し、「Tシャツ1枚でもOK」というような温暖な気候も続きました。しかし、年初からの寒波の影響で平年並みの気候へと戻りました。ここに来てようやく米製油所稼働率が大幅上昇となったことから、これから春の行楽需要に向けて原油市場に注目ではないでしょうか。