松永総研

北浜の虎と呼ばれた男

2016年03月

天然ゴムの基礎知識

 世界最大の天然ゴム生産国は、タイとインドネシアです。この2国の天然ゴム生産量が世界生産の約6割を占めます。そして、天然ゴムの約9割が自動車などのタイヤに加工されます。また、主生産国のタイやインドネシアでは、雨季や乾季、暑期などの季節的要因により、天然ゴムの生産量が変化します。

 天然ゴムの主生産地となるタイ南部の季節的要因

5月頃からの雨季入りでゴムの木の新芽が出てその成育が早まり、タッピング(樹液の採取)が開始されます。

7月~10月頃は、雨季により比較的安定した生産が行われます。

10月~12月頃は、雨季の中でも多雨季となります。雨季や多雨季にラニーニャ現象が発生すれば、洪水被害が拡大して天然ゴムの生産障害を招くこともあります。しかし、昨年春ごろからのエルニーニョ現象の発達により、タイやインドネシアで干ばつ被害が続いております。

1月~3月は、乾季となり、増産期となります。

4~6月は、暑期となり、減産期となります。この時期は、ゴムの木の古い葉が落ち、落葉期ともいわれます。また、新芽の準備のため樹液の出が悪くなることと、ゴムの木の保護という観点から、生産者はタッピング(樹液の採取)を一時的に休止することもあります。

 日本の天然ゴム輸入(2012年)の約40%がタイ、約57%がインドネシアです。ここにきてインドネシア政府による価格てこ入れ策が浮上しており、これが実施されると、輸入量の半分強をインドネシアに頼る日本にとっては、かなり大きな問題となります。

 昨年春ごろから発生しているエルニーニョ現象は、エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差が+3℃まで上昇し、昨年12月に勢力が最も強まりました。その後は、勢力が弱まっております。気象庁が3月10日に発表したエルニーニョ監視速報では、エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差が6月頃からマイナスに転じる見通しです。そして、10月頃には、エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差が-1℃を下回ってラニーニャ現象が発生する見通しです。天然ゴムの主生産地となるタイやインドネシアでは、エルニーニョ現象の発生で干ばつ被害が多発し、ラニーニャ現象の発生で洪水被害が多発する傾向もあります。タイ商工会議所大学(UTCC)は今月、「今年は干ばつの被害拡大によって1190億バーツもの経済損失が予想され、これがタイ経済成長率を0.85%ほど引き下げる可能性がある。そして、5~6月頃までエルニーニョ現象による干ばつ被害が続く恐れがある。」という見通しを発表しております。これから天然ゴムの減産期が始まることから、「干ばつ&減産期」のダブルパンチで天然ゴム生産量が例年を下回る可能性も高まっております。

 

米国株式市場と資源関連銘柄

 昨夜のNYダウは、83ドル高の1万7716ドルとなり、年初来高値を更新しました。NYダウの3月の値動きは、これまで21営業日中19営業日で上昇しました。これで昨年11月上旬の高値まであと261ドルに迫りました。米国株に対する今後の注目は、4月1日の米雇用統計の発表や4月6日のFOMC議事録(3月15~16日開催分)の公開、4月11日のアルコア決算発表を皮切りに本格化する米国企業の2016年1~3月決算発表となりそうです。

米商務省が25日に発表した2015年10~12月期の米国企業による税引き後の総利益は、前年同期比15%減となりました。一方、調査会社のファクトセットが発表した2015年10~12月期のS&P500種指数構成企業の1株当たり利益は、前年同期比3.6%減でした。商務省の公表値は、中小企業を含む統計の為に大きく落ち込んだようです。

2015年10~12月期のNYダウは、1万7000~1万7900ドル付近で推移しておりました。しかし、2016年1~2月のNYダウは、1万5500ドル付近まで下落しました。それにより2016年1~3月期の米国企業の業績は、前期より悪化する見通しです。そうしたことを考えると、今回の2016年1~3月期決算の発表は、米国株に対するネガティブ・ファクターとなりそうです。

 年初から中国株が暴落し、世界的な株価急落を招きました。しかし、昨夜のNYダウは年初来高値を更新しております。2か月ほど前からの米国株の上昇に最も貢献したのが資源関連銘柄でした。昨年秋から株価暴落が何かと注目を集めた資源メジャーであるグレンコアの株価は、この2か月間で約2.2倍になりました。資源メジャーであるアングロ・アメリカの株価もこの2か月間で2.5倍になりました。今回の1~3月期決算でも資源関企業の更なる業績悪化が見込まれていることから、資源関連企業から設備投資や人員の大幅削減が実施され、それを受けて資源関連銘柄の上昇力が高まることも考えられます。


NYダウの日足
NYダウの日足

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原油市場

 昨夜発表されたEIA週間製油在庫統計は、原油230万バレル増、ガソリン250万バレル減、ディスティレート110万バレル減、クッシング原油27万バレル減となりました。製油所稼働率は、2%上昇の90.4%です。全米原油生産は、1万6000バレル減の日量902万2000バレルです。これらの発表では、製油所稼働率の大幅上昇が目立ちました。こうした製油所稼働率の急上昇を見ると、春の行楽シーズン(ドライブシーズン)に突入している実感も沸きます。ここまで製油所稼働率が上昇を続けてもガソリンやディスティレートの在庫が減少していることから、需要の好調さも感じます。

ロイターから昨夜発表された調査結果によると、OPEC加盟国による3月の産油量が日量3247万バレルとなり、前月を24万バレル上回りました。サウジアラビアは、前月比2万バレル減の日量1118万バレルですが、イランによる増産が目立ちました。国際エネルギー機関(IEA)が昨夜発表した見通しでは、イランの原油供給量は、今年1月の経済制裁解除から1年以内に日量50万バレル増加するというものでした。このIEAの見通しを参考にすると、イランの増産ペースは、今後かなり低下することになります。10年間ほど続いたイランへの経済制裁が年明けから解除されたのですから、制裁解除後の2~3か月間の大幅増産は当然の結果だったのかもしれません。しかし、イランの大幅増産が一巡すれば、市場の注目が米国の減産に向かうのかもしれません。

全米原油生産は、1月15日に日量923万5000バレルまで増加しましたが、3月25日時点で日量902万2000バレルまで21万バレルほど減少しております。近年最高となった2015年7月19日の日量960万4000バレルから見ると、全米原油生産が8か月間で58万バレルほど減少しました。イランの増産ペースがこれから低下する反面、米国の減産ペースがこれから加速する可能性もあります。

4月。。。。。。。。。。。。この続きは、会員の皆様に限定してメールにてお送りしております。
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全米原油生産と製油所稼働率
米原油在庫
米石油材品在庫

 

日本株と日本円の展望

 1月29日の日銀金融政策決定会合でマイナス金利が発表され、同日のドル円が1ドル=121円70銭付近まで円安に進みました。しかし、翌日からの9営業日でドル円が111円付近まで10円ほど円高に進みました。海外投資家の多くからは、日銀がマイナス金利を発表したことを受けて、「3年前から続く大規模量的緩和政策の選択肢がマイナス金利しかなくなったのか?」と受け止められて円買いが加速したようです。マイナス金利発表後からの強烈な円高進行を受けて、「3発目の黒田バズーカは不発に終わった。」という見方も増えました。また、IMM日本円におけるファンドポジションは、3年前のアベノミクスと称される経済政策の開始当時から一貫して「売り越しポジション」を続けましたが、今年の1月に買い越しに転じました。そうしたファンドポジションの変化は、ファンドの多くが「アベノミクスに対する不信感」を高めたためかもしれません。2月になると、複数の国内世論調査で、「アベノミクスに対する不支持」が50%に達したことも発表されました。今後の日本円や日本株の行方は、安倍政権から投入される経済対策の「次の一手」が握っているのかもしれません。

 日本政府は、2か月後の伊勢志摩サミットまでに新たな経済対策を投入する可能性が高そうです。一般会計総額が過去最大となる2016年度予算が参議院本会議で昨日可決し、成立しました。安倍政権は、この予算の成立を受けて新たな経済対策に向けて動き出すとみられております。特に5月26~27日の伊勢志摩サミットや夏場の参議院選挙を無事通過するためにも、ここでの安倍政権による経済対策の「次の一手」でアベノミクスに対する支持率を高める必要もあります。。。。。。。。。。。。この続きは、会員の皆様に限定してメールにてお送りしております。
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原油市場「エネルギーセクターの1~3月期決算発表を前にして」

 4月11日のアルコア決算発表を皮切りに2016年1~3月期の米国企業決算発表が本格化します。NY原油が1月と2月に一時26ドル付近まで下落して12年ぶりの安値を記録したことにより、米エネルギーセクターから今回発表される決算内容は、前期よりかなり悪化することが予想されます。それより、米エネルギーセクターから設備投資や人員の大幅削減計画の発表が続出することで、原油価格が押し上げられる可能性もあります。

 2015年10~12月期の米国企業決算発表に失望した投資家も多かったのではないでしょうか。調査会社のファクスセクトが1月中旬に発表したS&P500種指数構成企業の2015年10~12月期の決算見通しでは、「企業利益は、エネルギーセクターで68%減少し、エネルギーセクターを除いた企業利益は、前期から横ばいとなる。10~12月期の売上高は、エネルギーセクターで36%減少し、エネルギーセクターを除いた企業の売上高は、1.1%増となる。」という内容でした。エネルギーセクターと資源セクターの決算発表を除けば、S&P500種指数構成企業の2015年10~12月期決算発表は、かなり良好な内容でした。この2015年10~12月期決算発表が本格化すると、エネルギーセクターと資源セクターから設備投資や人員の大幅削減発表が急増し、それと共に原油価格や資源価格が上昇基調に転じ、NY原油が26ドル付近から35ドル付近まで急伸しました。しかし、NY原油は、翌月に再び26ドル付近まで下落しました。

 2015年10~12月期のNY原油は、35~50ドル付近で推移しておりました。それに対して2016年1~3月期のNY原油は、26~42ドル付近で推移しております。今回のエネルギーセクターの決算発表は、前期よりかなり悪化することも予想されます。そうなると、エネルギーセクターから設備投資や人員の大幅削減計画の発表が続出し、1年前を彷彿するような上昇力を示す可能性もあります。。。。。。。。。。。。この続きは、会員の皆様に限定してメールにてお送りしております。
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今週末の米雇用統計に向けて

 昨夜の米国市場では、イエレンFRB議長発言により米国の利上げ観測が少し後退したことを好感してNYダウが98ドル高の1万7633ドルとなり、終り値ベースで年初来高値を更新しました。しかし、高値ベースでは、年初来高値の更新まで7ドルほど届きませんでした。イエレンFRB議長は29日、「利上げを慎重に進めることが依然として適切。」と述べました。昨夜の米国市場でドル安が進んだものの、それでもユーロドルが3月17~18日の高値を更新出来ず、更なるドル安進行は難しいのかもしれません。

米民間調査機関のコンファレンスボードが昨夜発表した3月の米消費者信頼感指数は、94ポイント予想に対して96.2ポイントとなり、前月発表値(94ポイント)や速報値(92.2ポイント)を上回りました。NYダウが2月中旬から3月中旬にかけて2000ドルほど上昇したことで、消費者の米国経済成長に対する信頼感が市場予想を上回る改善となったようです。そうしたことを考えると、今週末に発表される米雇用統計も注目ではないでしょうか。

米雇用統計に対する市場予想平均は、非農業部門雇用者数が前月発表値の24万2000人増に対して20万8000人増予想となっております。年初からの世界的な株価暴落を受けて1月の非農業部門雇用者数が前月発表値の29万2000人増に対して15万1000人増となりました。しかし、NYダウが2月12日から上昇基調に転じたことも影響し、2月の非農業部門雇用者数は24万2000人増となりました。その後、NYダウが更に大きく上昇したことを受けて、3月の非農業部門雇用者数が前月発表値を上回る増加を示す可能性もあります。フィラデルフィアとニューヨーク、リッチモンド、カンザスシティー、ダラスの地区連銀による各管轄地域の製造業調査では、全て3月に改善が示されております。。。。。。。。。。。。この続きは、会員の皆様に限定してメールにてお送りしております。
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天然ゴム市場

 上海ゴムは、2015年10~11月と2016年1月に1万元の大台を少し割り込み、2008年12月以来の安値まで下落しました。そして、シンガポールゴムRSS3号も2016年1月に100セント付近まで下落し、2008年12月以来の安値まで下落しました。これにより、上海ゴムとシンガポールゴムRSS3号が共に今回の安値とリーマンショック時の安値で長期的なダブルボトムを形成する可能性が高まっております。

 東京ゴムは、2016年1~2月に144.5円まで下落しましたが、2009年12月の安値(99.8円)までの下落とはなりませんでした。その原因は、ドル円が大きく変化したことです。ドル円は、2008年12月に1ドル=90円付近まで円高が進みました。それに対して現在は、1ドル=112円付近で推移しております。年初からのドル円が2009年12月当時と同じ1ドル=90円付近で推移しておれば、東京ゴムの2016年1~2月の安値と2009年12月の安値がほぼ同水準となる計算です。

 東京ゴムは、月足ベースではダブルボトムを形成しませんでしたが、日足ベースでダブルボトムを形成しました。東京ゴムの2016年1月12日と2016年2月12日の安値が共に144.5円であり、現在が180円付近まで上昇しておりますので、かなり綺麗なダブルボトムを形成しております。


上海ゴムの月足

シンガポールゴムRSS3号の月足

東京ゴムの月足

ドル円の月足

東京ゴムの日足

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後場市況1

 NYダウの電子取引は、今朝から小動きを続け、10ドル高付近で推移。NY原油の電子取引は、今朝から40セントほど下落し、39ドル付近まで下落しております。ドル円は、今朝から25銭ほど円安に進み、現在は1ドル=113円65銭付近で推移。ドル円は、1か月ほど前から114円~114円50銭付近が上値抵抗となっており、今後の方向性に対しては、今週末に発表される米雇用統計が注目されるところでしょうか。

 上海総合株価指数は、1.3%安で取引を終え、2日続落となりました。中国企業の2015年10~12月期決算の発表が今週29~31日に集中しており、決算発表を嫌気して中国株の下げ足が午後から速まった模様。上海ゴムは、14時ごろから下げ足を速め、3.8%安で取引を終えました。上海銅が0.5%安、上海亜鉛が1%安で取引を終え、上海非鉄金属銘柄は全体的に小幅安でした。米国企業の2016年1~3月期決算の発表は、4月11日のアルコア決算発表を皮切りに本格化します。


ドル円の日足
ドル円の日足2
ドル円の240分足
ドル円の日足1

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みんコモコラムアワード2015
ColumnAward 2015特別賞

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