2016年09月
今回の産油国会合では、OPEC諸国やロシアの各国の生産上限を決定して増産凍結合意するには至りませんでした。また、OPECは減産を暫定合意したものの、正式合意とはいかなかったようです。しかし、11月のOPEC定例会合で減産の正式合意が行われるとの見方が有望視されるようになってきました。11月のOPEC定例総会に向けて原油市場の堅調地合いが続きそうです。そして、原油価格の上昇により、しばらく資源価格の上昇も続くと考えるべきかもしれません。
米農務省が9月12日に発表した需給報告では、米国産のトウモロコシと大豆が過去最高の生産高見通しと発表されました。今年の米穀倉地帯は天候に恵まれ、トウモロコシや大豆、小麦、コメなど穀物全体が豊作見通しとなっております。9月12日の需給報告発表後からシカゴコーンとシカゴ小麦、シカゴ米は上昇に転じました。しかし、シカゴ大豆は、9月12日以降も下落しました。この原因は、内部要因によるところが大きいようです。
9月上旬のシカゴコーンのファンドポジションは、売り越し枚数が6万枚付近まで膨らんでおりました。また、9月上旬のシカゴ小麦のファンドポジションは、売り越し枚数が11万枚付近まで膨らんでおりました。しかし、9月上旬のシカゴ大豆のファンドポジションは、買い越し枚数が13万枚付近でした。こうして9月上旬のファンドポジションを比べても、売り越し枚数が膨らんでいたシカゴコーンとシカゴ小麦に対して、シカゴ大豆は買い越し枚数が膨らんでいたのです。それにより、9月12日の需給報告発表後からは、売られ過ぎていたシカゴコーンやシカゴ小麦が上昇基調に転じ、買われ過ぎていたシカゴ大豆が下落することになったようです。
9月20日時点でのファンドポジションは、シカゴコーンは3万5026枚の売り越し、シカゴ大豆は12万5216枚の買い越しです。シカゴ大豆のファンドの買い越し枚数は今でも12万5216枚も残っていることから、今後もポジション整理による手じまい売りにより上値の重い展開が予想されます。一方、シカゴコーンのファンドの売り越し枚数は今でも3万5026枚も残っていることから、今後もポジション整理による手じまいの買戻しで上値追いを続ける展開が予想されます。
シカゴコーンの日足
シカゴ小麦の日足
シカゴ大豆の日足
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シカゴコーンのファンドの買い越し枚数が29~34万枚付近まで増加すると、シカゴコーンが天井圏となる傾向もあります。過去2年半でファンドの買い越し枚数が29~34万枚付近まで増加したことは4回あり、4回ともシカゴコーンが天井圏となりました。最近では、ファンドの買い越し枚数が6月14日に36万2525枚まで増加し、シカゴコーンが4.4ドル付近まで上昇して年初来高値を記録しました。
シカゴコーンのファンドの売り越し枚数が6~11万枚に達すると、シカゴコーンが底値圏となる傾向もあるようです。過去2年半でファンドの売り越し枚数が6~11万枚付近まで増加したことは4回あり、4回ともシカゴコーンが底値圏となりました。最近では、ファンドの売り越し枚数が9月6日に6万1230枚まで増加し、それと共にシカゴコーンが3ドル付近まで下落して年初来安値を記録しました。
米農務省が9月12日に発表した需給報告では、米国産のトウモロコシと大豆が共に過去最高となる生産高見通しを発表しました。しかも米国産のトウモロコシと大豆は、昨年まで2年連続で豊作となっております。「過去最高の豊作見通し」&「3年連続で農作となる見通し」となれば、投資家心理が総弱気となり、ファンドの売り越し枚数が急増することになりましたが、それでもシカゴコーンは、9月12日の需給報告発表後からじり高基調を続けております。
「千人が千人ながら弱き日には買え、万人強き日には売るべし」や「大衆は天井で強気し、底で弱気する」という相場格言もあり、投資家やファンドの大半が総弱気となるような場面では、ファンダメンタルズ的な材料に惑わされるよりも、内部要因を冷静に分析する方が良いのかもしれません。ここは、シカゴコーンのファンドポジションの変化に注目ではないでしょうか。
米国のオバマ大統領と中国の李首相は19日、国連総会の合間に会合を開き、中国の過剰生産能力問題の解決に向けた対策を話し合いました。そして、中国は、過剰生産能力問題の解決に協力する姿勢を示しました。それにより非鉄金属や天然ゴムなど資源価格の上昇が続いております。そうした資源価格の世界的な上昇を受けて資源メジャーであるグレンコアの今月の株価上昇率がユーロストック600指数構成銘柄の中で最大となりました。ちなみに、グレンコアの株価は、今月になって約21%上昇しております。中国当局は先週末、2016年の石炭生産の増産を認めないことも発表しており、過剰生産能力問題の解決に動き出している模様。今後の資源価格の上昇に注目でしょう。
タイ内務省は、26日時点で洪水が発生しているのは中部と北部で14県となったことを発表。タイ水利局は27日、中部のアユタヤ県バンバン郡では広範なエリアが冠水しており、水かさは1メートルほどに及んでいることを発表。更に、中部の主要ダムで放水を続ける必要性が高まり、中部平野で洪水被害が拡大することを警告しております。タイは、これから3か月間ほど多雨期を迎えます。多雨期にラニーニャ現象による洪水被害が重なれば、天然ゴムのタッピング障害を招く恐れもあります。現時点でのタイの洪水被害は、中部と北部で拡大しているものの、天然ゴムの主生産地となる南部では洪水被害は報告されておりません。今後、洪水被害が南部にまで拡大すれば、天然ゴム価格が大きく反応する可能性もあります。
リビアとナイジェリアは、反政府勢力による石油施設への攻撃によりこの1~2年間で石油生産を大幅に減少させました。そうした背景を無視してリビアとナイジェリアに増産凍結合意させることは、かなり無理があります。また、イランは、核開発問題による経済制裁が10年ほど続き、その間の同国石油生産と石油輸出が激減しました。しかし、昨年秋の先進6カ国とイランとの核協議が最終合意に達し、年初からイランへの経済制裁が解除されました。それによりイランの石油生産と石油輸出が増加傾向を続けております。そうした背景を無視してイランへ増産凍結合意させることもかなり無理があります。イランやリビア、ナイジェリアの3カ国を「例外」として、それら3カ国以外で増産凍結合意を執り行うこともいささか無理がありそうです。このあたりの問題が解決するまでは、増産凍結合意は難しそうです。
ゴールドマン・サックスは、10~12月期のWTI原油価格見通しを従来見通しの50ドルから43ドルに引き下げました。それに対してゴールドマン・サックスは、「主要産油国が増産凍結で合意する可能性が短期的な価格支援材料となっても、膨らむ余剰原油がこれを上回る。」と指摘しております。米国では、夏場のエネルギー需要の最盛期を終えて、エネルギー需要の不需要期に向かっております。米国のエネルギー需要の最盛期は7~8月と12月となり、その頃の米製油所稼働率は93~95%付近まで上昇します。その反面、エネルギー需要の不需要期は10月と2月であり、その頃の米製油所稼働率は86%付近まで低下します。これから米製油所稼働率が低下を続けるシーズンとなることから、米原油在庫の増加傾向に警戒する時期となるのかもしれません。
26日から始まった今回の産油国会合は、3日目となる本日が最終日となります。本日の会合で増産凍結合意に達することが出来なければ、原油市場で失望売りが進むことも考えられます。
サウジアラビアのファリハ・エネルギー相は27日、「現在行われている産油国会合は、諮問的なものだ。市場は正しい方向に進んでおり、ファンダメンタルズは正しい方向に向かっている。こうした観点から、市場には満足しており、リバランスされつつある。」と述べました。ファリハ・エネルギー相の発言からは、増産凍結合意の必要性を感じられません。今回の産油国会合で増産凍結合意に達する可能性がかなり低下してきたことにより、原油市場で嫌気売りが広がっている模様。しばらく原油市場は下値探しとなるのかもしれません。
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