松永総研

北浜の虎と呼ばれた男

2017年02月

ドル円の展望

 FF金利による米国の3月利上げ確率は、昨年11月28日に97%まで高まり、その時のドル円が1ドル=118円台にまで円安に進みました。その後、今年の2月5日に9%まで低下し、ドル円が111円台にまで円高に進みました。そして2月27日時点で50%にまで高まっております。意外と思われるかもしれませんが、3月15日のFOMCで利上げが実施される確率が、50%にまで高まってきたのです。3月利上げ確率は、24日から27日にかけてだけでも10%も上昇しました。トランプ大統領の議会演説で、米景気加速の期待が高まれば、3月利上げ確率が更に上昇することも十分考えられます。

最近のFF金利による米国の3月利上げ確率の上昇基調を考えれば、これからドル高&円安が進むことも考えられます。しかし、トランプ大統領による議会演説後に米国株への利益確定の売りが加速すれば、ドル安&円高が進むことも考えられます。現時点では、「ドル高&円安」と「ドル安&円高」の両パターンが共に考えられることから、ドル円は、トランプ大統領の議会演説後に米国株が下落しても、それほど大きくは動かない可能性もあります。
米国の利上げ確率

トランプ大統領の議会演説を睨んで

 昨年11月の米大統領選後からNYダウが3000ドルほど上昇し、米株式市場の時価総額が2兆8000億ドル(約314兆円)増えたとされております。そうしたトランプ政権に対するマーケットのこれまでの期待先行を満足させるほどの内容が、トランプ大統領による議会演説で示されるのかが注目されております。しかし、満足させる内容となったとしても、「噂で買って、事実で売れ」となる可能性もあります。日本時間で明日のAM11時過ぎから、トランプ大統領の議会演説が行われます。

 米国は、先進国の中でも利上げが実施できるほど好調な経済成長を続けております。NYダウが12営業日連続で最高値を更新するなど、株式市場も極めて好調であり、米国の不動産市場も好調が続いております。日本や欧州諸国と比べ物にならないほど好調な経済成長を続けている米国では、これ以上の好景気を求めること自体がかなり難しいことです。トランプ政権への期待の高まりは、「期待が先行し過ぎている」と考えるべきかもしれません。トランプ大統領がこれまでの歴代米国大統領にないタイプの人物であったことから、投資家の期待が先走りし過ぎたのもかもしれません。しかし、「相場は人気7分に材料3分」という相場格言もあり、「期待先行」自体がこれまでのマーケットの強材料であると考えるべきかもしれません。ですから、トランプ政権に対する期待が先行している間は、リスク銘柄の堅調地合いが続くとも考えられます。そして、議会演説でトランプ政権の政策が今まで以上に詳細に発表され、「ニュースは発表された瞬間に古臭いものとなる」という相場格言もあるように、「材料出尽くし」に備える必要もありそうです。

 「仕手につくのは最初だけ」や「人より先に提灯を消せ」という相場格言もあり、リスク銘柄を幅広く買い進んでいるファンドよりも先に、リスク銘柄に対して弱気な見方に変更する必要もありそうです。「馬は死ぬ前に売ってしまうことだ。人生のコツは、損失を次の人に回すこと」というウォール街の相場格言もあるように、これまで上昇を続けてきた米国株や資源銘柄、原油のようなリスク商品に対して、人より一歩先に弱気に転じる必要もありそうです。「恐怖の来るは青天の霹靂の如し」という相場格言もあるように、暴落は突然来るものです。しかし、「一葉落ちて天下の秋を知る」という相場格言もあるように、暴落前のわずかなシグナルを見逃さないということも必要でしょう。

「相場が安い時は、割安をねらって一部の人が買いにくる。相場が上がり始めると、ファンダメンタル的に良いとかチャート的に良いとかいってさらに多くの人が買いにくる。次の段階になると、上がるから買うということになる。そして最後に魔法の段階に到達する。人々はヒステリーのように買いたがる。相場は永遠に上がり続けると思うからだ。そして株価は合理的、論理的経済価値をはるかに超えてしまう。全く同じプロセスが下向きにも繰り返される。」というジム・ロジャース氏の名言もあります。NYダウは、12営業日連続で最高値更新となり、30年前の最高値更新記録に並びました。そして、14営業日連続で最高値更新となれば、120年前の最高値更新記録に並ぶことになります。今の米国株は、まさに、「相場は永遠に上がり続けると思う」という段階に達していると考えるべきかもしれません。

 「ウォール街がくしゃみをすれば、ロンドンは風邪をひく」という相場格言もあるように、米国株が崩れれば、リスク志向の原油市場や資源銘柄も崩れる可能性が高まります。それだけに、ここは、東京原油や東京ゴムに対しても急落に警戒するところかもしれません。

天然ゴム市場パート8

 タイ政府は、9万80000トンの第1回天然ゴム政府在庫放出を1月18日に実施しました。そして、9万6000トンの第2回天然ゴム政府在庫放出を2月14日に実施しました。更に、12万トンの第3回天然ゴム政府在庫放出が、3月7日に予定されていることも伝えられております。第1回~第3回の政府在庫放出は合計で約31万トンとなり、今回のタイ南部の洪水被害のほとんどを補うことが出来ます。

 タイ政府による第1回天然ゴム政府在庫放出後に上海ゴムが大きく下落しました。そして、第2回天然ゴム政府在庫放出後に上海ゴムが本格的な大幅下落となりました。添付している上海ゴムのチャート上に、タイ政府による第1回天然ゴム政府在庫放出と第2回天然ゴム政府在庫放出のタイミングを記載しております。これで3月7日に12万トンの第3回天然ゴム政府在庫放出が行われると、天然ゴム価格が更に大きく下落する可能性もあります。
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後場市況1

 ドル円は、今朝から小動きです。NY金やNY原油の電子取引も、今朝から小動きです。日本時間で明日11時過ぎからトランプ大統領の議会演説が始まることから、明日の11時過ぎからの国内市場は、大荒れの展開となる可能性もあります。

 NYダウの電子取引は、今朝から16ドルほど上昇し、今夜のNYダウが13営業日連続で最高値を更新する可能性が出てきました。13営業日連続で最高値を更新すると、30年前の記録に並びます。そして、120年前の1897年に記録された14営業日連続での最高値更新記録に迫ってきました。

今夜のNYダウが最高値を更新し、トランプ大統領の議会証言(日本時間で3月1日11時過ぎから)により、3月1日のNYダウも最高値を更新すれば、120年ぶりとなる「14営業日連続での最高値更新」となります。今夜のNYダウが13営業日連続での最高値更新となって30年前の記録に並んだり、明日のNYダウが14営業日連続で最高値更新となって120年前の記録に並んだりすれば、市場に記録達成感が広がり、利益確定の売りを誘う可能性も高まりそうです。

天然ゴム市場パート7「中国の天然ゴム在庫が急増」

 タイ南部で1月前半に発生した大規模洪水により、天然ゴムのひっ迫感が高まったものの、中国の青島天然ゴム在庫は、2月中旬時点で15万6600万トンとなり、1月中旬から28.56%も大幅増加しました。大規模洪水後からの1か月間で青島天然ゴム在庫が急増した理由は、主生産国による輸出削減策が昨年12月末で終了したことと、価格高騰などが挙げられます。

タイとインドネシア。マレーシアの3国は、昨年7月から12月まで天然ゴムの輸出削減策を実施し、輸出量を絞って価格テコ入れを行いました。しかし、6か月間続いた輸出削減策が昨年末に終了したことに加え、年初からの洪水被害を受けて天然ゴム価格が高騰し、産地からの売り圧力が高まったようです。「値は荷を呼ぶ」という商品相場特有の格言もあり、天然ゴム価格の高騰が中国の天然ゴム在庫を急増させたようです。「余り物に、値無し」という商品相場特有の格言もあり、今後の上海ゴムの下落に注意する必要もありそうです。

中国の天然ゴム生産コストは、最低が約1万2000元/トンと伝えられております。現在の上海ゴムの当月限は1万8420元です。中国の天然ゴムの最低生産コストを53%ほど上回る上海ゴム(当月限)価格を考えれば、今後の下げ幅は大きいと考えるべきかもしれません。

天然ゴム市場パート6

 上海ゴムは、12:25ごろに3.6%安の1万8160元まで下落し、1.5%安の1万525元で前場を終えました。それにより、24日の安値(1万8360元)を割り込んだことから、テクニカル的な次の下値のメドが1月9日の安値(1万7825元)となりそうです。東京ゴムも12:25ごろに8円安の262円まで下落し、24日の安値(262.5円)を割り込んだことから、テクニカル的な次の下値のメドが昨年12月27日の安値(257.4円)となりそうです。

 中国市場の前場は、上海ゴム1.5%安、上海亜鉛0.2%高、上海銅0.1%高、上海鉄筋0.2%高、大連鉄鉱石0.2%安、大連コークス0.2%高、大連粘結炭0.6%安で取引を終えました。中国の資源銘柄の多くは、11時半ごろから急落し、12時ごろからほとんどの銘柄がマイナス転換となったものの、前場のラスト10分間で上昇に転じ、プラス転換に戻す銘柄も出てきました。しかし、本日の中国の資源銘柄は、全体的に下ぶれ圧力が強まってきたように感じられます。そして、上海ゴムと東京ゴムが共に今月安値を更新したことで、テクニカルが更に悪化しました。
東京ゴムの日足

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天然ゴム市場パート4

 上海鉄筋や大連鉄鉱石、大連コークス、大連粘結炭がマイナス転換となってきました。それを受けて上海ゴムも、12時自伝で1.8%安にまで下落してきました。大連粘結炭などは、2%安付近まで急落しております。中国の資源銘柄全体が失速してきたようです。

天然ゴム市場パート3

 東京ゴムは、30円ほどの逆さやを形成しており、先限に対する割安感があります。しかも、この2週間で60円幅ほど急落したのですから、「大幅下落&大幅逆さや」により、先限への割安感がかなり高まっております。大幅逆さやを形成することで、現物市場がひっ迫しているという思惑も働きます。「逆さや売るべからず」という商品相場特有の相場格言もあります。しかし、シンガポールゴムや上海ゴムなどは順さやを形成しております。

 シンガポールゴムRSS3号は、3月限より8月限が2ドルほど高い順さやを形成しております。上海ゴムは、3月限より8月限が700元ほど高い順さやを形成しております。こうした背景を考えると、東京ゴムは、いずれ大幅逆さやが解消されるのも時間の問題と考えるべきかもしれません。世界の天然ゴムの需要がひっ迫しているのであれば、世界消費の約35%を占める中国市場で、上海ゴムが逆さやを形成するはずではないでしょうか。

 本日の東京ゴムの値動きを見ても、期近2本の限月の下げ幅が目立ち、「逆さや解消」への動きが始まっているようです。一方、大連鉄鋼石や大連コークスがマイナス転換寸前にまで軟化してきました。

 上海ゴムの3月限は、1万8420元付近で推移しております。これから高率関税を差し引いて1kgあたりの円換算にすると、(1万8420元-900元)÷1000kg×16.374円=約287円換算となります。これから過去10年間の平均的なチャイナ・プレミアムの25円幅を差し引くと、約262円換算となります。こうして計算すると、上海ゴム3月限に比べて東京ゴム3月限がいかに割高換算となっているかが伺えます。

 上海ゴムの8月限は、1万9120元付近で推移しております。これから高率関税を差し引いて1kgあたりの円換算にすると、(1万9120元-900元)÷1000kg×16.374円=約298円換算となります。これから過去10年間の平均的なチャイナ・プレミアムの25円幅を差し引くと、約273円換算となります。こうして計算すると、上海ゴム8月限に対して、東京ゴム8月限がほぼ適正水準にあることが伺えます。こうした計算からも、東京ゴムの大幅逆さやによる先限への割安感を持つことは、危険な事かもしれません。

みんコモコラムアワード2015
ColumnAward 2015特別賞

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