松永総研

北浜の虎と呼ばれた男

2017年10月

原油市場

10月31日

原油市場

 ブレント原油は、今月28日夜に60ドル台まで上昇し、その後は60~60.6ドル付近での小動きを続けております。中東の地政学的リスクの高まりや、ロシアやサウジアラビア、OPECなどの協調減産延長に関する要人発言に原油価格が大きく反応してきました。

 イラク中央政府軍とクルド自治政府の対立によりイラク北部のキルクーク油田や北西部のフィッシュカブル油田で緊張が高まりました。しかし、それに対してイラクのルアイビ石油相は29日、南部湾岸から日量90万バレルも原油輸出能力を増加させたことを発表しました。キルクーク油田は、通常生産でも日量60万バレル程度です。イラクに関する地政学的リスクの高まりで原油価格が大きく上昇しましたが、結局は、「イラクの原油輸出が増加した」となったのですから、これまでの原油価格の上昇に対して「興ざめ」と感じ始める投資家が増えそうです。

 ブレント原油は、6月21日に44.3ドルまで下落しましたが、それから4か月間も安定した上昇基調を続け、16ドル幅も上昇しました。しかし、ここにきて60ドル台乗せとなって2年ぶりの高値を記録したことで、これまでの上昇に対する達成感も高まってきました。しかも、協調減産延長に関する度重なる要人発言により、「協調減産延長」自体をかなりの部分で織り込んだようです。しかも、イラク問題で緊張が高まったものの、イラクの原油輸出の大幅増加はいただけません。それにより、「原油価格が上限に達した」となる可能性も高そうです。
ブレント原油の週足

 

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下記のコメントは、昨日製作したコメントです。

10月30日

原油市場パート2

 イラク中央政府軍とクルド自治政府の対立によりイラク北部のキルクーク油田や北西部のフィッシュカブル油田で緊張が高まりました。しかし、それに対してイラクのルアイビ石油相は29日、南部湾岸から日量90万バレルも原油輸出能力を増加させたことを発表しました。それにより9月からは日量136万バレルの増加となります。ちなみにキルクーク油田は、通常生産でも日量60万バレル程度です。イラク情勢の緊張で中東の地政学的リスクが上昇しましたが、それに反してイラクの石油輸出能力が大幅に増加したのですから、原油価格のこれまでの上昇に対する反動安に注目する局面にきているのかもしれません。

米石油メジャーのエクソン・モービルは本日、2018年末までにパーミヤン地区のオイルリグ数を現在の20基から30基にまで増やし、パーミヤン地区の原油生産量を年間45%増加させる計画を発表しました。そして2017年末までにパーミヤン地区のシェール油田の掘削を横方向に4.8km伸ばし、2018年の資本予算を約250億ドルにすると発表しました。そして、最近の石油プロジェクトの成功を考慮して、ガイアナプロジェクトの2つのフェーズを開始する考えを示しました。

 良好な米国企業の7~9月期決算発表を受けてNYダウが今月上旬ごろから大きく上昇しました。そして、エクソン・モービルのように原油価格の上昇を受けて良好な決算発表となった石油メジャーからの増産計画がこれから増加することは十分考えられます。OPEC加盟国とロシアが協調減産を2018年末まで延長する可能性も高まっており、ブレント原油が2年ぶりの高値まで上昇していることを考えると、今回の4半期決算の結果を受けて増産計画を発表する石油メジャーは相当増えそうです。これまでも原油価格が大きく上昇した時の四半期決算では、多くの石油メジャーから増産計画が発表されております。


天然ゴム市場パート6

10月31日

天然ゴム市場パート6

 上海ゴムは、0.5%安で取引を終えました。これで昨日からの2日間で計1%の下落となりました。東京ゴムの2日連続での大幅下落に対して、上海ゴムがほとんど下落してないことにより、上海ゴムの地合いの強さが感じられます。本日の中国の製造業PMI(10月)の発表を受けてもプラス転換となった上海総合株価指数の地合いの強さも注目でしょう。

中国国家統計局発表による製造業PMIは、9月発表値が予想に反して「前月比+0.7ポイント」となっただけに、本日発表値が「前月比-0.6ポイント」となってもそれほど中国市場を圧迫する要因とはならなかったようです。

タイ災害対策機関は本日、今月10日から29日にかけての大雨による洪水被害は、北部~中部~東部において23県78郡で12万5716世帯に及んだことを発表しました。ラニーニャ現象の兆候により東南アジア側の西太平洋熱帯域の海面温度が2カ月前よりかなり上昇しているので、今回の北部~中部~東部の雨季に洪水被害が多発したようです。しかし、中部の雨期明けが本日発表されたので、それらの被害は沈静化に向かいそうです。

その反面、天然ゴムの主生産地であるタイ南部は10~12月が雨季であり、特に雨季後半となる11~12月の降水量が増える傾向もあります。そして、気象庁は、これから11~12月にかけて東南アジア側の西太平洋熱帯域の海面温度が更に上昇する見通しを発表しているので、タイ南部では、例年以上の洪水被害が発生する可能性も高まってきました。

ラニーニャ現象が強まれば、ペルー沖の海面温度が低下し、その反面、東南アジア側の西太平洋熱帯域の海面温度が上昇します。そうなれば、東南アジア周辺で積乱雲の発生が増え、洪水被害も多発します。

タイ気象局は30日、南部のチュムポン県やスラタニ県、ソンクラー県、プーケット県、パンガー県、クラビ県などで31日から11月3日にかけの大雨警戒を呼びかけております。これからがタイ南部の雨季の本番であり、南アジア側の西太平洋熱帯域の海面温度も更に上昇する見通しですから、これからの天然ゴム市場は、タイ南部の洪水被害が多発して急上昇する場面が増える可能性もあります。

天然ゴム市場パート5

10月31日

天然ゴム市場パート5

 上海鉄筋は、朝方に1.5%安まで下落しましたが、現在は1.3%高付近まで上昇しており、後場から上げ足を強めました。上海熱延鋼板は、朝方はマイナスサイドで推移しておりましたが、現在は2.4%高付近まで急騰しております。そして上海ゴムは、14:50時点で前日比変わらず近で推移しており、昨日より2日間での下げ幅が0.5%でしかありません。それに対して東京ゴムが4.3%ほど下落しております。

東京ゴムにおけるファンド・ポジションは、9月21日から売り越しに転じ、昨日時点で売り越し枚数が6519枚ですが、ファンドの売り玉総数は1万2453枚です。東京ゴムの総取組高が2万4604枚ですから、「東京ゴム市場の売り玉の半分がファンドの売り」となります。東京ゴム市場におけるファンドの売り玉総数の割合が大きすぎるので、上海ゴムと東京ゴムの温度差が大きくなっているようです。

東京ゴムにおけるファンドの売り越し枚数は、昨日時点で6519枚となり、年初来で2番目の多さとなりました。ファンドの売り越し枚数があと211枚以上増えれば、年初来最高の売り越し枚数となります。本日の東京ゴムは、大きく下落して大商いを記録していることから、ファンドの売り越し枚数が年初来最高を大幅に更新している可能性は高そうです。それによりファンドの大量の売り玉が、上昇トレンドに転じた時の「急騰のエネルギー源」となる可能性も高まりそうです。

天然ゴム市場パート4

10月31日

天然ゴム市場パート4

上海ゴムは、寄付き直後に0.7%安まで下落しましたが、0.2%安まで戻して前場を終えました。上海ゴムが昨日からの2日間で0.7%ほど下落しましたが、それに対して東京ゴムは、2日間で4.2%ほど下落しました。両市場の温度差が大きくなっているようですが、圧倒的な市場規模の違いにより、東京ゴムが上海ゴムの値動きに歩み寄るのも時間の問題かもしれません。

中国の商品先物市場で最大の売買高を誇る上海鉄筋は、寄付き直後に1.5%安まで下落しましたが、0.4%高まで上昇して前場を終えました。上海熱延鋼板も寄り付き直後に0.4%安まで下落しましたが、1.1%高まで上昇して前場を終えました。上海アルミや上海亜鉛、上海銅などもプラス転換して前場を終えました。

本日の中国の資源銘柄は、朝方の製造業PMI(10月)の発表を受けて寄り付き直後に大半の銘柄が下落しましたが、それでも大半の銘柄がプラス転換して前場を終えており、「弱材料に反して上昇する」という地合いの強さが感じられます。また、東京ゴムが昨日から2日連続で大きく下落しましたが、それでもほとんど下落しない上海ゴムの値動きからも、地合いの強さが感じられました。中国の資源銘柄全体の前場の値動きを見ると、後場からの上昇に期待するところかもしれません。

中国国家統計局から本日発表された製造業PMI(10月)は、かなり悪い内容でしたが、それでも資源銘柄の多くが上昇に転じたことは、注目すべきシグナルでしょう。世界的なファンドマネージャーであるスチュアート・ウォールトン氏は、「ファンダメンタルズ的な要素は25%、テクニカル的な要因は25%、マクロのニュースや個別材料などの異なる情報に株価がどう反応するかが25%、相対的な市場動向に対する私の直感が25%。」と述べております。弱材料に反して上昇する時などは、「マーケットからのメッセージ」と考える必要があるのかもしれません。

天然ゴム市場パート1~3

10月31日

天然ゴム市場

 上海ゴムは、昨日の日中取引を45元安(0.5%安)の1万3285元で終え、その後の夜間取引を1万3305元で終えました。それに対して東京ゴムは、昨日の日中取引を4.9円安(2.4%安)で終え、現在は1.6円安付近で推移しており、2日間で3.2%ほど下落しております。上海ゴムがほとんど動いていないのですが、それに対して東京ゴムが大幅下落となっております。

 上海ゴム1月限(1万3305元)から高率関税を差し引いてキロ当たりの円換算にすると、(1万3305元-900元)÷1000kg×17.0円=約211円となります。それに対して東京ゴム1月限は191円付近で推移しており、1月限同士のキロ当たりの価格差が20円にまで拡大しております。

昨日のタイ・ハジャイのRSS3号現物価格は、今月18日以来の入電となり、49.5バーツでした。東京ゴムが150円付近まで下落した昨年2月に50バーツを割り込むことがありましたが、それ以来では、今月12日の49.2バーツと昨日の49.5バーツだけです。さすがに産地現物価格が生産コスト割れとなると、産地現物価格が下限に達したと考えるべきかもしれません。

東京ゴムにおける昨日のファンドの売り越し枚数は、前日比243枚増の6519枚となり、6月22日に記録した年初来最高の売り越し枚数(6730枚)まであと211枚にまで迫りました。これで年初よりファンドの売り越し枚数が6千枚を超えたのは、東京ゴムが180円付近まで下落した6月の4回と、先週からの3回となります。さすがにファンドの売り越し枚数が年初来最高付近にまで膨らむと、下値警戒を高める必要があります。

東京ゴムが9月に230円台にまで上昇した時は、ファンドの買い越し枚数が3322枚にまで膨らみました。ファンドは上がれば上がるほど買い進み、下がれば下がるほど売り進む傾向もあることから、ファンドの買い越し枚数や売り越し枚数のピークが天井圏や底値圏のシグナルとなる傾向もあります。そうした意味では、東京ゴムが今年6月以来の底値圏に達したと考えるべきかもしれません。
東京ゴムのファンドポジション

10月31日

天然ゴム市場パート2

 上海ゴムは、10:10時点で0.5%安と小幅安です。これで上海ゴムは、昨日からの2日間で1%の下落となりました。それに対して東京ゴムは、昨日の日中取引で4.9円安、本日10:10時点で4.1円安となり、2日間で4.3%ほどの下落となりました。さすがにこれは、東京ゴムの下げ過ぎといえそうです。

 中国国家統計局から先ほど発表された中国の製造業PMI(10月)は、52ポイント予想に対して51.6ポイントとなり、前月発表値の52.4ポイントを大きく下回りました。9月の発表値が前月を0.7ポイントも上回る年初来最高値を記録していただけに、その反動となったようです。それでも景気分岐点とされる50ポイントを15カ月連続で上回りました。

 先ほど発表された中国の製造業PMI(10月)を少し嫌気して上海ゴムが小幅安で推移しております。10:10時点では、上海アルミ0.2%安、上海亜鉛0.5%高、上海銅0.2%高、上海鉄筋1.5%安です。鉄鋼関連銘柄が下落しておりますが、非鉄金属銘柄で上昇している銘柄も多いようです。


中国の製造業PMI

10月31日

天然ゴム市場パート3

 上海ゴムは、寄付き直後に0.7%安まで下落しましたが、10:20時点で0.2%安となり、プラス転換寸前となってきました。これで昨日からの下げ幅が、2日間で0.7%です。

中国国家統計局から発表された製造業PMI(10月)が市場予想や前月発表値を大きく下回りましたが、それでも本日の上海ゴムがほとんど下落していないことは注目でしょう。上海ゴムは、下げ材料に反応出来ないほどの下限に達していると考えるべきかもしれません。


天然ゴム市場パート4

10月30日

天然ゴム市場パート4

 先月よりタイの北部や中部、東部での洪水被害が頻発しております。タイ中部の雨季は6~10月ですから、雨季後半となる9~10月頃は中部で洪水被害が多発する傾向があります。それに対して天然ゴムの主生産地であるタイ版部の雨季は10~12月であり、11~12月に洪水が多発する傾向があります。

タイ気象局は10月29日、中部南側および南部の10県が数日のうちに暴風雨に見舞われる恐れがあるとの予報を発表し、災害発生に備えるよう住民に呼びかけましした。活発な低気圧が10月30日から11月3日にかけて南シナ海からタイ湾、アンダマン海へと移動し、プラチュアプキリカン、チュムポン、スラタニ、ナコンシータマラート、パタルン、ソンクラ、ラノン、パンガ、プーケット、クラビの10県で暴風雨による被害が懸念されているそうです。

ようやくタイ南部の洪水警戒が必要な時期となってきたようです。気象庁は、今月の発表で「エルニーニョ監視海域の海面水温が基準値より低くなるなど、ラニーニャ現象時の特徴が明瞭になりつつある。」との見通しを発表しております。今年は、昨年同様に11~12月頃にラニーニャ現象の兆候が強まる見通しですから、タイ南部で昨年12月上旬や今年の1月上旬の大洪水を彷彿させる被害が生じる可能性も出てきました。今週は、10月30日から11月3日にかけてのタイ南部の洪水情報に注目かもしれません。

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トルコリラ

10月27日

トルコリラ

 トルコリラ円は、先月下旬から下落基調を強めており、週明けから下げ足を速めました。そして、先ほど1トルコリラ=29.7円付近まで下落しました。

在イスタンブール米総領事館のトルコ人職員が2016年のクーデター未遂に関与したとしてトルコ当局に今月4日に逮捕されたことを理由に米国がトルコへのビザ発給業務を停止しました。その数時間後には、トルコも米国へのビザ発給業務を停止しました。それを受けてトルコリラ売りが進みました。その後、今月21日付けのトルコ紙ハベルチュルクでは、銀行関係者の話として国内6行が対イラン制裁違反で米国から多額の制裁金を科せられる恐れがあると報道により、再びトルコリラ売りが進みました。また、19日に開催されたEU首脳会議では、トルコのEU加盟に関連したトルコの資金援助の削減を検討することで合意しており、昨年のクーデター未遂事件後からのトルコの非人道的対応にEU諸国の怒りが高まっているようです。そうしたこともトルコリラ売りを加速させました。そして、トルコ中銀が昨日、主要政策金利の据え置きを発表したこともトルコリラ売りを誘いました。

トルコの9月のコアインフレ率が前年比10.98%まで上昇しており、13年7か月ぶりの高水準となりました。ここまでコアインフレ率が高ければ、普通に考えればトルコ中銀が利上げを実施するべきです。しかも、米国とトルコが互いにビザ発行停止を決定してからトルコリラ売りが大きく進んだ直後ですから、自国通貨防衛のためにも利上げが必要なところです。それに対してエルドアン大統領の首席経済顧問のエルテム氏は今月19日、「トルコは金利を引き下げる余地がある」と述べ、トルコ中銀の利上げをけん制する発言を行っておりました。エルドアン大統領が利下げ賛成派ですから、トルコ中銀は、利上げしたくても出来ない環境にあるようです。そうしたこともトルコリラ売り要因となっております。

イラクのアバディ首相とトルコのエルドアン大統領が25日に会合を開き、クルド自治政府が住民投票を航行した問題に対して、領土の一体開示で一致しました。その会合後にエルドアン大統領は、「クルド労働者党との戦いでもイランと共闘する用意がある」と述べております。米国とイランとの関係が悪化している時にトルコが、「イランと共闘する用意がある」と述べたのですから、米国とトルコの関係が更に悪化したようです。そして、トルコの国内6行が対イラン制裁違反で米国から多額の制裁金を科せられる可能性も高まりました。これらの背景を考えれば、しばらくはトルコリラ売りが続くと考えるべきかもしれません。

 

 

 

下記の記事は、今月10日と11日、24日に制作した過去記事です。参考にどうぞ。

10月10日

トルコリラ

米国とトルコが互いにビザ発給業務を停止したことにより、トルコリラは対ドルで大きく下落しました。在イスタンブール米総領事館のトルコ人職員が2016年のクーデター未遂に関与したとしてトルコ当局に今月4日に逮捕されたことを理由に米国がトルコへのビザ発給業務を停止しました。その数時間後には、トルコも米国へのビザ発給業務を停止しました。

米国の駐トルコ大使は声明で、「ビザ発給停止の期間は総領事館職員の拘束理由を巡る両国の協議や、トルコ政府が同国内の米国の外交使節の安全を保護する姿勢次第となる。」と述べております。一方、トルコ当局は、「逮捕した米総領事館職員は、同国がクーデター未遂事件の首謀者と断定した在米イスラム指導者のギュレン師と関係がある。」と述べております。

トルコのエルドアン大統領は首都アンカラでの講演で5日、イラク北部のクルド自治政府が独立の是非を問う住民投票を強行したことを受けて、「イラクとの空域と国境をまもなく閉鎖する。」と述べました。クルド人の半分近くがトルコ内で暮らしているだけに、トルコにとって「クルド自治政府の独立問題」は大きな問題です。

 

10月11日

トルコリラ

 日本の個人投資家のトルコリラの買い越し枚数は、10月3日時点で過去最大に達しました。しかし、米国とトルコが互いにビザ発給業務を停止したことにより、トルコリラは対ドルで大きく下落しました。在イスタンブール米総領事館のトルコ人職員が2016年のクーデター未遂に関与したとしてトルコ当局に今月4日に逮捕されたことを理由に米国がトルコへのビザ発給業務を停止しました。その数時間後には、トルコも米国へのビザ発給業務を停止しました。

 昨夜のマーケットでは、ホワイトハウスが米国の駐トルコ大使によるビザ発給業務停止の決定を支持したことで再びトルコリラが売られました。また、トルコの裁判所が紙ウォールストリート・ジャーナルの記者に対して本人不在のまま有罪判決を下したこともトルコリラ売り要因となりました。

 ゴールドマン・サックスは、7月時点ではトルコリラ買いを推奨しておりました。しかし、8月になると、「最大のアンダーウェートはトルコとマレーシア、チェコ」との見方に変更しました。格付け会社のフィッチは、今年1月にトルコのソブリン格付けを投資適格級で最も低いBBBマイナスから投資不適格級のBBプラスに引き下げました。フィッチは3カ月前に、「クーデター未遂後の当局による取り締まりが今も続いており、5万人が逮捕され、15万人の公務員が解雇または停職処分されたことを受けて、経済活動が依然勢いを欠いている。」と指摘しております。トルコのソブリン格付けが投資不適格級と評価されているだけに、トルコの債券や通貨への弱気な見方を継続させるべきかもしれません。

 

10月24日

トルコリラ

昨日のトルコのイスタンブール株式市場で銀行株指数が1.57%下落し、トルコリラが対ドルで1%ほど急落しました。21日付けのトルコ紙ハベルチュルクでは、銀行関係者の話として国内6行が対イラン制裁違反で米国から多額の制裁金を科せられる恐れがあると報道しました。その内の1行は50憶ドル以上の制裁金が課せられる可能性があると報道されました。それを受けてトルコの銀行株が急落し、トルコリラ売りが加速しました。

それに対してトルコ銀行当局は、この報道を「噂」と否定し、「文章や事実に基ずく報道ではない」との声明を出しました。しかし、「火の無いところに煙はたたない」という格言もあるように、米国とトルコが互いにビザ発行を停止するほど関係悪化しており、トルコとイランの最近の急接近を考えると、「可能性の高い噂」考えるべきかもしれません。

19日に開催されたEU首脳会議では、トルコのEU加盟に関連したトルコの資金援助の削減を検討することで合意しました。その会議でドイツのメルケル首相は、「トルコの人権問題は受け入れがたい状況にある」と述べておりました。昨年のクーデター未遂事件後からのトルコの非人道的対応にEU諸国の怒りが高まっているようです。トルコは、EU諸国から距離を置かれており、米国ともビザ発行停止状態にあることから、しばらくトルコリラ売りが続くと考えるべきかもしれません。

みんコモコラムアワード2015
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