下記のコメントは、先週25日にメール情報会員に配信しました過去記事です。参考にどうぞ。
9月25日
トウモロコシ市場
米農務省が昨夜発表しました中間作柄・育成進展では、米国産トウモロコシの優と良の占める割合は、1%上昇の69%となり、前年同期を8%上回りました。収穫率は、前週比8%上昇の18%となり、過去5年平均の11%を上回りました。米国産大豆の優と良の占める割合は、前週比1%上昇の68%となり、前年同期を8%上回りました。収穫率は、前週比8%上昇の14%となり、過去5年平均の8%を上回りました。
この時期になると、「ハーベスト・プレッシャー(収穫による荷余り)」などのコメントも目立つ時期となります。しかし、意外に知られていないことですが、豊作の年は、ハーベスト・プレッシャーで秋安相場となることはほとんどありません。昨年まで4年連続で豊作となりましたが、4年連続で「秋高の現物呼び出し相場」となりました。豊作の年は、8月下旬~9月上旬頃までに豊作を織り込んだ価格形成が行われるので、8月下旬~9月上旬頃は生産コストを大幅に割り込んだ価格形成が行われることも多いようです。それにより、収穫を終えた農家の多くは、生産コストを大幅に下回ったことを嫌気して現物の売り渋りを強めるので、市場では方策に反して現物が「有りがすれ状態」となり、秋高の現物呼び出し相場に発展することが多いようです。
その反面、不作となった年は、ハーベスト・プレッシャーにより高確率で9 ̄10月に急落します。米国産トウモロコシが2008年と2011年、2012年が不作となり、8月下旬~9月上旬頃にシカゴコーンが8ドル台にまで高騰しました。しかし、それらの年は、9~10月頃に暴落しております。不作となった2008年と2011年、2012年は、8月下旬~9月上旬頃にシカゴコーンが8ドル台まで高騰し、生産コストを3ドルほど上回りました。それにより収穫を終えた農家が現物を売り急ぎ、不作に関わらず現物市場が一時的に荷余りを起こしてハーベスト・プレッシャーが強まりました。
豊作の年は、9~10月頃にハーベスト・プレッシャーが強まることはほとんどなく、不作となった年ほど9~10月頃にハーベスト・プレッシャーが強まる傾向は、意外と知らない方も多いかと思われます。しかし、豊作の年は、秋高の現物呼び出し相場により農家の売りつなぎが十分行われると、その後はハーベスト・プレッシャーが強まってシカゴコーンが安値追いする傾向もあります。
今年の米国産トウモロコシの1エーカー当たりの維持コストを683.88ドルで計算すると、米国産トウモロコシの1ブッシェル当たりの生産コストは、683.88ドル÷181.3ブッシェル(今月の需給報告の発表値)=約377セントとなります。それに対して現在のシカゴコーンが358ドル付近で推移しておりますので、380セント付近を上回ると、生産農家の売りつなぎが急増することも考えられます。今年の米国産トウモロコシは過去最高の単収見通しですから、生産コストも例年よりかなり安くなります。それにより今年の「秋高の現物呼び出し相場」は、過去4年間の「秋高の現物呼び出し相場」よりスケールがかなり小さくなることも予想されます。