10月30日
天然ゴム市場
東京ゴムRSS3におけるファンドポジションは、10月16日時点で5406枚でしたが、昨日時点で3154枚にまで減少しており、価格上昇と共に「手仕舞いの買戻し」を進めております。
東京ゴムRSS3における投資家ポジションは、東京ゴムRSS3が166円付近まで下落した8月6日から買い越しポジションとなり、158円付近まで下落した10月9日時点で買い越し枚数が2079枚まで増加しました。その後は価格上昇と共に買い越し枚数が減少し、昨日から売り越しポジションに転じました。東京ゴムRSS3が今月初めの安値から15円幅ほど上昇したことを受けて、値ごろ感を重視する投資家ポジションが買い越しに転じました。今後の投資家ポジションは、価格上昇と共に売り越し枚数は増加することが予想されます。
一方、東京ゴムRSS3における当業者ポジションは、昨日時点で「2914枚の買い越し」となり、3日間で買い越し枚数が486枚ほど増加しました。しかし、8月下旬から買い越し枚数はほとんど変化しておりません。
ファンドの多くがトレンドフォローのテクニカルを重視し、投資家の多くが値ごろ感を重視する傾向があるので、今月上旬からの東京ゴムRSS3の上昇基調を受けて、ファンドや投資家の多くがポジション縮小に動いているようです。しかし、通常はヘッジ売りに専念するはずのヘッジャーである当業者が一貫して買い越しポジションを崩さないという事の意味を考えるべきかもしれません。現在の東京ゴムの価格水準は、「ヘッジャーである当業者が買い越しポジションを崩さないほどの価格水準」と考えるべきかもしれません。しかも、世界の天然ゴム需給が1~6月で「108万トンの供給不足」となったので、なおさら当業者の多が一貫して買い越しポジションを継続しているようです。
世界の天然ゴム需給が1~6月で108万トンの供給不足となったということは、6カ月間での供給不足量が年間生産量の1割の規模になったという事です。
原油市場で例えると、サウジアラビアと米国が原油生産を6カ月間停止してゼロとすると、世界の原油需給が「6カ月間での供給不足量が年間生産量の1割の規模」となる計算です。更に、現在は日量120万バレルの協調減産を行っているOPECプラスが、「日量2200万バレルの協調減産」を6カ月間続ければ、「6カ月間での供給不足量が年間生産量の1割の規模」となる計算です。こうして原油市場に置き換えて考えると、現在の世界の天然ゴム市場の需給がいいかに深刻な供給不足となっているかが伺えます。