松永総研

北浜の虎と呼ばれた男

エネルギー

原油市場

8月14日

原油市場

 昨夜のブレント原油は、24時頃からの3時間で72.9ドル付近から71.0ドルまで急落し、その後、再び72.9ドル付近まで戻しました。NY原油もその間に67.4ドル付近から65.7ドルまで下落し、その後、再び67.4ドルまで戻しました。

 昨夜の原油市場では、クッシング原油在庫の増加や新興国通貨全体の急落などが圧迫要因となりましたが、2月頃から続く下値抵抗線を少し割り込んだところでは、テクニカル的な値ごろ買いが活発化したようです。

 米週間石油在庫統計に対する市場予想平均は、原油270万バレル減、ガソリン80万バレル減、ディスティレート90万バレル増です。ジェンスケープの発表では、クッシング原油在庫が前週比170万バレル増となりました。

 OPECが昨夜発表した月報では、OPEC加盟国の7月の原油生産は、サウジアラビアが前月比で日量20万バレル減少したものの、サウジアラビア以外の加盟国で増加し、加盟国全体で前月比4万1000バレル増の日量3232万バレルとなりました。

 米エネルギー情報局(EIA)が昨夜発表した月報では、国内7カ所の主要シェール開発地区による9月の原油生産が前月比で日量9万3000バレル増の日量752万バレルになるとの見通しを発表しました。米国原油生産における割合は、従来型油田(自噴型油田)からが日量347万バレル、シェール油田からが日量752万バレルとなり、シェールオイルの割合が増加の一途を続けております。

 NY原油とブレント原油は、共に2月から続く右肩上がりの下値抵抗線を4営業日連続でわずかに割り込む場面もありましたが、割り込んだところはすぐにテクニカル的な値ごろ買いが活発化しました。

今回の4~6月期決算発表を終えて企業利益が大幅増加したシェールオイル開発企業による設備投資の大幅増加計画が相次ぎました。それだけに、昨年8月から続く原油市場の上昇トレンドもそろそろ力尽きるころかもしれません。しかも、8月はエネルギー需要の最盛期ですが、10月が不需要期のピークであることから、9月~10月の米原油在庫が増加傾向を強めることも予想されているだけに、NY原油やブレント原油が下値抵抗線を割り込むのも時間の問題と考えるべきかもしれません。

 

 
NY原油の日足
ブレント原油の日足

 

※チャートの情報提供元は(株)みんかぶです。チャートの著作権は、(株)みんかぶに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、株式会社みんかぶは一切の責任を負いません。

 

原油市場パート2&金市場

8月13日

原油市場パート2&金市場

 先週末の米国市場では、NYダウが196ドル安(0.8%安)となり、S&P500種株価指数も20ポイント安(0.7%安)となりました。それによりS&P500種株価指数は、1月に記録した最高値(2872ポイント)と8月7日の高値(2863ポイント)でダブルトップを形成する可能性も高まりました。

 米国の経済制裁を受けてトルコ・リラが主要通貨に対して最安値を更新しており、それを受けて新興国通貨の多くが急落しております。米国の経済制裁を受けてイランやロシアの自国通貨も急落しております。また、米中貿易摩擦の高まりで中国の自国通貨も下落を続け、中国株も2カ月ほど前から大きく下落しました。トランプ大統領による「アメリカ・ファースト」的な姿勢による経済制裁を受けて中国やロシア、トルコ、イラン、ベネズエラなどの経済が大きく圧迫されている反面、S&P500種株価指数は、先週7日から3日連続で最高値まであと9~10ポイント付近まで迫りました。トランプ大統領は、11月の米中間選挙に向けて「アメリカ・ファースト」的な姿勢を更に強めることも考えられます。それにより世界のマーケット全体でリスクオフの流れが更に強まると考えるべきかもしれません。

 米大統領選や米中間選挙などの米選挙前に米国株が下落し、米選挙後に米国株が上昇する傾があるようです。これは、選挙という不透明要因を前に米国株への利益確定の動きが強まり、選挙後は、勝利した政権への期待先行で米国株が買われる傾向があるようです。過去のパターンでは、米大統領選や米中間選挙の2~3ヶ月前から米国株が下落に転じる傾向もあるようです。そして、あと3カ月後に米中間選挙を迎えることから、そろそろ米国株も本格的に下落に転じる可能性があります。しかも、先週末からトルコ・リラの急落を中心として新興国通貨の多くが連鎖反応的に下落し始めているようです。上海総合株価指数も今朝から急落しております。ここにきてマーケット全体でリスクオフの流れが強まってきたように感じられるだけに、リスク志向の原油市場が軟調地合いとなり、リスクヘッジ志向の金相場が堅調地合いとなる可能性もあります。

S&P500種株価指数

 

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原油市場

8月13日

原油市場

 先週末の原油市場は、ペルシャ湾でのイランの軍事演習に反応して上昇しました。米政府高官は10日、イラン海軍がホルムズ海峡で先週実施した軍事演習で短距離対艦ミサイルを試験発射したことを明らかとしました。イラン海軍は、ホルムズ海峡を含むペルシャ湾で小型艦船数十隻以上が参加する大規模な海上軍事演習を行いました。

 米国の経済制裁に対してイランが海上軍事演習を行い、石油輸送の大動脈であるホルムズ海峡に関する地政学的リスクが高まったようです。それでも先週末のNY原油やブレント原油の上げ幅が限定的だったようにも感じられます。

NY原油やブレント原油が2月頃から続く右から上がりの下値抵抗線付近まで下落していたことを受けて、テクニカル的な買いも入ったようです。テクニカル的にもかなり重要な局面にきております。
NY原油の日足
ブレント原油の日足

 

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原油市場パート3

8月10日

原油市場パート3

NYダウ先物は、午前中は前日比変わらず付近で小動きを続けておりましたが、14時ごろから下落に転じ、16時時点で120ドル安付近まで下落しております。今夜の米国株も更に下落することになれば、S&P500種株価指数が1月に記録した最高値と今週の高値でダブルトップを形成した可能性も高まり、米国株に対してテクニカル的な売りが強まることも予想されます。

ブレント原油は、14時ごろから80セントほど下落し、16:20時点で71.40ドルまで下落し、今月安値(71.65ドル)を割り込み、先月安値(71.19ドル)まであと21セントに迫りました。それによりブレント原油は、今年2月頃から続く右肩上がりの下値抵抗線を割り込み始めました。

ブレント原油は、今週7日の大幅下落により、昨年8月頃から続く右肩上がりの下値抵抗線を割り込みました。翌9日には、今年の2月頃から続く右肩上がりの下値抵抗線上まで下落しました。そして、先ほどからの下落により、今年の2月頃から続く右肩上がりの下値抵抗線も割り込み始めました。それにより、1年間続いたブレント原油の上昇トレンドが終焉を迎えた可能性もあります。

 

ブレント原油の日足2

 

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原油市場パート2&金市場パート2

8月10日

原油市場パート2&金市場パート2

米国が340億ドル相当の中国製品に対する制裁感材を7月6日に発動させると、中国も同日に340億ドル相当の米国製品に対する報復関税を発動しました。その後、米国が160億ドル相当の中国製品に対する制裁関税を8月8日に発表すると、中国も同日に160億ドル相当の米国製品に対する報復関税を発表しました。これにより、米中貿易摩擦がかつてないほど高まってきたように感じられます。このような米中貿易摩擦の高まりは、米中両国の経済成長をも圧迫する可能性があります。

 米国の制裁関税に対する中国の報復関税など中国政府の行動に対して、中国内でも中国政府が米国に対してもっと低姿勢で臨むべきだとの批評も高まっているようです。それに対して共産党機関紙である人民日報は本日、「1世紀以上にわたる大変な努力を経て、中国は世界の舞台の中心に帰ってきた。中国と米国の貿易摩擦において、われわれが踏まえねばならない基本的な事実だ。象が苗木の後ろに隠れることができないように、中国の大きさや重さは控えめな姿勢では隠せない。」と反論しております。更に、「中国の発展が米国の優位性を損なっているように映る。このような敵に対しては、米国はまず敵の存在を利用し、米国を再び偉大にするため国民の支持を呼びかけ、その上で敵の優位性をあらゆるレベルで抑制するという2つの措置に出るのが必至だ。」とも指摘しております。このような産党機関紙である人民日報に本日掲載された社説は、中国政府の本音と受け止める必要もあるのかもしれません。

 一方、トランプ大統領は、11月の米中間選挙に向けて、支持率アップの為に「アメリカ・ファースト」的な姿勢を更に強めることも考えられます。それにより、米中貿易摩擦は、今後更に強まることも考えられます。現在のS&P500種株価指数が最高値付近まで上昇しているだけに、米中貿易摩擦の高まりに圧迫されて米国株が下落する可能性もあります。しかも11月の米中間選挙を前にして、選挙に向けた不透明感から、最高値付近にあるS&P500種株価指数に対して利益確定の動きが本格化する可能性もあります。これまでも米中間選挙の2~3か月前に米国株が下落するという傾向がありました。ここは、リスクオフの流れが強まることに警戒し、リスク志向の原油相場へ弱気し、リスクヘッジ志向の金相場に対して強気することも一考かもしれません。

原油市場&金市場

8月10日

原油市場&金市場

 ブレント原油は、昨日23時頃に一時72.9ドルまで上昇しましたが、その後は下落を続け、今朝9時頃に712.8ドルまで下落し、現在は72.1ドル付近で推移しております。ブレント原油は、昨年8月から続く右肩上がりの下値抵抗線を今週7日に割り込み、今年の2月から続く右肩上がりの下値抵抗線上付近まで下落しております。ブレント原油が71ドル付近まで下落すると、今年の2月から続く右肩上がりの下値抵抗線をかなり明確に割り込んだことになり、テクニカルが大幅に悪化します。

 S&P500種株価指数は、昨日23時頃に2862.48ポイントまで上昇し、現在は2853.50ポイント付近で推移しております。昨夜のS&P500種株価指数があと0.4%程度上昇すれば最高値更新となりましたが、3日連続で最高値まであと0.4%高程度の水準で足踏みをしております。

 現在の米中貿易摩擦の高まりや、トランプ大統領が11月の米中間選挙に向けて更に「アメリカ・ファースト」的な姿勢を強めることを考えると、S&P500種株価指数が最高値を更新して更に上昇基調を続けることは難しいと考えるべきかもしれません。

 添付しているS&P500種株価指数の週足には、米大統領選のタイミングを赤い丸印、米中間選挙のタイミングを青い丸印で示しております。米大統領選や米中間選挙などの「選挙前に米国株が下落し、選挙後に米国株が上昇する傾向」があるようです。これは、選挙という不透明要因を前に米国株への利益確定の動きが強まり、選挙後は、勝利した政権への期待先行で米国株が買われる傾向があるようです。しかも、現在のS&P500種株価指数が1月に記録した最高値とダブルトップを形成する可能性も高まっております。それにより、これからは、リスク志向の原油市場に対して弱気し、リスクヘッジ志向の金相場に対して強気するなど、今後の米国株の動向を予想したポジションが必要かもしれません。

S&P500種株価指数の週足
ブレント原油の日足

 

※チャートの情報提供元は(株)みんかぶです。チャートの著作権は、(株)みんかぶに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、株式会社みんかぶは一切の責任を負いません。


原油市場パート3「四半期決算と原油市場の関係」

8月9日

原油市場パート3「四半期決算と原油市場の関係」

 今回の4~6月期決算では、原油価格の高騰を受けて企業利益が大幅増加したエネルギー関連企業が続出しております。それを受けて、設備投資や生産目標の増加計画を発表するエネルギー関連企業が続出しております。それにより、1年間続いた原油市場の上昇トレンドが下落トレンドに転換する可能性が出てきました。

 今後の原油市場の動向は、今回のエネルギー関連企業の好決算と正反対となるNY原油が26ドル付近まで下落した2016年1月当時のエネルギー関連企業の決算発表が参考になりそうです。当時のエネルギー関連企業の決算内容は極めて悪く、設備投資や生産目標の大幅削減を発表する企業が続出しました。まさに今回のエネルギー企業の好決算と正反対の内容でした。下記の記事は、NY原油が26ドル付近まで下落した2016年1月に私が製作した過去記事です。参考にどうぞ。

 

2016年1月28日(過去記事)

原油市場パート4「来週に向けての注目点」

米国の大手シェールオイル企業3社は25日、市場予想を大幅に上回る設備投資の削減計画を発表しました。それによると今年の設備投資をヘスが40%、コンチネンタル・リソーシスが66%、ノーブル・エナジーが50%の削減をそれぞれ発表しました。この3社は、2年連続での設備投資の大幅削減となります。コンチネンタル・リソーシスのハムCEOは今週、「米シェールオイル企業が市場回復まで減産すれば、現在の原油過剰は年内に大幅に緩和される。米国の産油量は足元で減少しているが、多くの投資家が予期していたほど速いペースではない。しかし、そうした事態はもうすぐ終わる。残念ながら供給不足へと向かっている。今年後半には非常に懸念すべき事態になるだろう。」と述べており、原油価格が2016年末に60ドルまで上昇するという見通しを述べました。それでもコンチネンタル・リソーシスは、財政悪化により設備投資の大幅削減計画を発表するしかなかったのかもしれません。ホッジズ・キャピタル・マネジメントの石油企業アナリストは、「設備投資予算を60%削減すると、掘削する油田は40%減少し、石油生産量は大幅に減少することになる。」と述べております。

世界最大の資産運用会社であるブラックロックのフィンク会長は1月27日、「原油価格について、エネルギー関連企業が債務を履行するのに十分な水準でなく、400社もの企業が存続できない恐れがある。」と述べております。バーンスタイン・エナジーは、シェールオイル企業の今年の設備投資削減率を38%と予想しております。シェール油田の寿命は3年程度とされており、生産開始から1年半で生産当初の半分ほどに生産量が低下するといわれております。それに加えて今回の決算発表でシェールオイル企業の多くから設備投資や人員の大幅削減計画の発表が相次ぐことになれば、「米国の原油生産量は、時間経過と共に減少を続ける。」という見方が市場のコンセンサスとなるのかもしれません。

S&P500種指数構成企業の10~12月期の決算は、本日からの7営業日で約300社から発表される予定です。特に28~29日の2日間だけで120社ほどの決算発表が予定されております。来週にかけての大量な決算発表を手掛かりにNY原油が32ドル台付近の上値抵抗線を突破して上昇基調を強めることも考えられます。

 

上記のコメントは、2016年1月28日に発行しました私の過去記事です。原油価格の暴落を受けてエネルギー関連企業の多くが設備投資や生産目標の大幅削減計画を発表し、その後の原油価格が1年間ほど上昇トレンドを続けることになりました。それに対して今回の4~6月期決算では、好決算を受けて設備投資や生産目標の拡大計画を発表するエネルギー関連企業が続出しております。それにより今後の原油市場は、「2016年1月からの上昇トレンド」と正反対となる下落トレンドを形成する可能性も高そうです。

原油市場パート2

8月9日

原油市場パート2

パイオニア・ナチュラル・リソーシスやパースリー・エナジー、コンチネンタル・リソーシズなどの米大手シェールオイル開発企業は8日、設備投資の大幅増額や生産目標の大幅増加計画を相次いで発表しました。また、英石油大手のBPが発表した4~6月期決算では、企業利益が前年同期比で4倍にまで大幅増加しました。そして、石油大手の米エクソン・モービルの4~6月期の設備投資&調査支出は、前年同期比68.8%増の66億2700万ドルとなりました。更に、米石油大手のシェブロンの4~6月期決算は、純利益が前年同期の2.4倍となる34億900万ドル(約3800億円)となりました。

米大手シェールオイル開発企業の多くは、原油価格の高騰とシェールオイル生産コストの低下を受けて、4~6月期の企業利益が過去最高に達した企業が続出したようです。4~6月期のS&P500種採用企業の1株利益予想は、セクター全体の平均では20%増ですが、エネルギー・セクターは132%増であり、他のセクターを圧倒する増益見通しです。

NY原油が100ドル付近で推移していた2011~2013年当時のシェールオイルの1バレル当たりの生産コストは80ドル付近でした。それにより、生産高コストと製品価格差の差が20ドルほどありました。しかし、2014~2015年の原油価格の大暴落を受けて、シェールオイルの生産コストが大幅に低下しました。原油暴落によるシェールオイル開発企業の生き残り競争により、掘削技術が一新され、生産高コストが大幅低下しました。それにより、現在の1バレルあたりの生産コストが43ドル付近まで低下しているので、生産コストと製品価格との差が25~27ドルほどあるのですから、シェールオイル開発企業の多くが過去最高の企業利益となった事も納得できます。

米国の1バレルあたりの原油生産コストは、36.2ドル(2016年時点/EIA発表値)程度ですが、シェールオイルの現在の生産コストは1バレル当たりの43ドル付近です。米国の原油生産の6割強がシェールオイルであり、3割強が従来型油田(自噴型油田)から生産された原油です。ちなみに従来柄原油生産に依存するサウジアラビアの原油生産コストは9.9ドル、イラクは10.7ドルです。また、メキシコで29.1ドル、ノルウェーで36.1ドルです。ノルウェーの北海油田の1バレル当たりの生産コストが36.1ドル程度ですから、北海油田で原油生産をしている石油メジャーの企業利益もすさまじいものがありそうです。今回の4~6月期決算発表を受けて設備投資の大幅増額や生産目標の大幅増加計画を発表するエネルギー関連企業が急増しているだけに、1年間続いた原油市場の上昇トレンドが下落トレンドに転換する可能性も高まってきたように感じられます。
1株利益予想

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ColumnAward 2015特別賞

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