松永総研

北浜の虎と呼ばれた男

エネルギー

原油市場

10月3日

原油市場

 昨夜のNYダウが494ドル安の2万6042ドルとなり、2日間で837ドル安となりました。ブレント原油は、昨日16時頃から2ドルほど下落しました。昨夜の原油市場では、米原油在庫増やOPEC関連、ノルウェーファンド関連、WTO関連、ドイツのGDP成長率見通しなど複数の弱気ファクターが圧迫しました。

 昨夜発表されたEIA週間石油在庫統計では、原油在庫が310万バレル増となり、昨日早朝に発表されたAPI週間石油在庫統計での592万バレル減から大きく変化しました。9月28日時点での米製油所稼働率は、前週比3.4%低下の86.4%となり、3週間で8.7%も大幅低下しました。米製油所稼働率は、エネルギー需要の最盛期に97%前後まで上昇し、不需要期のピークに86%前後まで低下します。不需要期のピークとなる10月を前にして9月28時時点で早くも製油所稼働率が86.4%まで低下したことは、原油市場の圧迫要因となりました。

 OPEC加盟国のエクアドルは1日、来年1月にOPECを脱退することを発表しました。エクアドルのぺレス・エネルギー相は、「わが国が必要とするものを生産し続ける。OPECの決定は強制的なものでないことを忘れてはいけない。」と述べております。そして、エクアドルの産油量は、OPECの協調減産合意で定められた上限を年初から上回り続けております。

 エクアドルの産油量はOPEC加盟国の中で最低クラスとなっているので、同国の増産が原油価格に及ぼす影響は小さいのですが、OPECを脱退して増産を続けるという姿勢が他のOPEC加盟国に影響を与える可能性もあり、原油価格の圧迫要因となりました。

 世界貿易機関(WTO)は、米国が75億ドル相当のEU製品に報復関税を課すことを認めました。承認された報復関税の規模はWTO史上最大であり、「米中の貿易摩擦」に続いて「欧米の貿易摩擦」まで高まりそうな見通しとなってきたことは、原油価格の圧迫要因となりました。

 運用資産1兆ドルのノルウェーの政府系ファンド(SWF)は、59億ドル相当の石油・天然ガス株を売却する承認を得ました。大手政府系ファンドが石油・天然ガス株投資からの撤退を始めたことは、原油市場の圧迫要因となりました。

 ドイツの5大経済研究所は昨日、ドイツの2020年のGDP成長率見通しを1.1%とし、4月発表値の1.8%から大幅下方修正しました。それに対して5大経済研究所からは、「主要市場における資本財の需要低下が特に響き、昨年半ばから製造業の生産は縮小が続いている。」と指摘しております。EU諸国で最大の経済規模を誇るドイツのGDP成長率見通しが大幅下方修正されたことは、原油市場の圧迫要因となりました。

 昨夜の原油市場は、米原油在庫増や、OPEC関連、ノルウェーファンド関連、WTO関連、ドイツのGDP成長率見通しなど複数の弱気ファクターが圧迫となっただけに、原油市場はしばらく軟調地合いを続けそうです。あとは、来週末の「米中通商協議の結果」に注目といったところかもしれません。
米製油所稼働率と米原油在庫

 

 

原油市場パート2

10月1日

原油市場パート2

 サウジアラビアの産油量は、9月14日時点で通常の50%まで低下しましたが、9月25日時点で完全回復となりました。それにより、サウジアラビアの9月の原油生産は、前月比で日量70万バレル減となる日量905万バレルとなりました。ドローン攻撃や巡航ミサイル攻撃を受けた9月14日時点では、サウジアラビアの産油量が日量570万バレルも減少したと伝えられ、復旧に通うカ月間かかるとも伝えられましたが、攻撃を受けてから11日間で産油量が完全回復したことには驚きます。

 ブレント原油は、ドローン攻撃を受けた翌営業日となった9月17日に前日比11.75ドル高の71.95ドルまで高騰し、同日の東京ドバイ原油が前日比4470円高の4万1310円まで高騰しました。しかし、本日13時半時点で2月限が3万6930円まで下落しており、17日の高値から4380円も下落しました。これで東京ドバイ原油がロドーン攻撃前の水準まで戻りましたので、ここからの原油市場の方向性は難しそうです。

原油市場

10月1日

原油市場

 ブレント原油が9時間ほど前から60ドル台を割り込み、サウジアラビアの石油施設がドローン攻撃や巡航ミサイル攻撃を受ける前の水準を割り込んできました。ブレント原油は、ドローン攻撃や巡航ミサイル攻撃を受けて9月17日朝に、前日比11.75ドル高の71.95ドルまで急騰しましたが、本日10時半時点で59.7ドルです。

 トランプ米政権は昨夜、中国金融市場への投資制限検討に関する報道の一部を否定しました。また、中国政府は昨夜、国有・民間の大豆圧搾業者に対して米国産大豆を報復関税なしに200万トン購入することを新たに認めました。それを受けて来週の行われる閣僚級の米中通商協議が暫定合意に達する可能性も高まり、それを受けてリスクオンの流れが少し強まり、リスクヘッジ志向のNY金が昨夜のNY市場で大幅下落となりました。それでも大きく下落した昨夜のNY原油やブレント原油からは、地合いの割さが感じられます。

 サウジアラムコの貿易子会社のアルブアイナインCEOは昨夜、「サウジアラムコの産油量は9月25日時点で、攻撃前の水準まで回復した。25日時点での産油量は、攻撃前と同等か、それよりもやや多い。」と述べました。サウジアラビアの産油量が攻撃を受けた直後は半分ほどにまで激減しましたが、それが完全回復となれば、攻撃を受ける前の水準までブレント原油やNY原油が下落してもおかしくはないのかもしれません。

原油市場パート2

9月25日

原油市場パート2

 サウジアラビア国営石油会社であるサウジアラムコのナセルCEOとアブドルアジズ・エネルギー省は共に、「サウジアラムコの石油生産は、今月末までに完全回復する。」と述べております。サウジアラビアでは、ドローンや巡航ミサイルによる14日の攻撃で、自国の原油生産が50%付近まで低下しました。しかし、現時点ですでに原油生産量が75%まで回復しており、今月末までに完全回復する見通しとなってきました。そして、サウジアラコムは、現在の石油生産の不足分を補う為にUAEやクウェートから原油を購入していることも伝えられております。

 UAEやクウェートなどのOPEC加盟国は、2017年1月から協調減産を続けているので、そうした2年9カ月にわたる協調減産によって積み上げられた原油在庫をサウジアラビアに販売して有効利用しているようです。そうしたことを考慮すれば、原油価格の更なる下落も考えられます。サウジアラビアが今回のドローン攻撃を受けた前日のブレント原油が60.2ドル付近であり、現在のブレント原油が62.7ドル付近で推移しているので、ブレント原油の目先の下値目標は、サウジアラムコがドローン攻撃を受ける前日の60.2ドル付近かもしれません。

原油市場

9月25日

原油市場

 昨夜のブレント原油は、サウジアラビアの原油生産の回復観測やトランプ大統領に対する弾劾の動き、米中関係悪化などが圧迫材料となり、昨日夕方から2ドルほど下落し、本日9時時点で62.3ドルです。これでブレント原油は、サウジアラビアへのドローン攻撃前の水準まであと2ドルに迫りました。

 ペロシ米下院議長は24日、米下院がトランプ大統領の正式な弾劾調査を開始することを発表しました。それにより6つの委員会がトランプ大統領の就任後の行動に関して調査を開始することになりました。ペシロ米下院議長は、これまでトランプ大統領への弾効を抑える姿勢を続けていましたが、トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領に対して、民主党の米大統領候補争いでトップに立っているバイデン前副大統領に関する調査を求めたとの疑惑を受けて立場を変えました。

 米議会は「ねじれ国会状態」にあるので、下院で弾効を求めることが可決したとしても、共和党が過半数議席を占める上院では弾効が否決されることになりそうです。それでも政治的不透明感の高まりが昨夜の米国市場でリスクオフの流れを強めました。

 トランプ大統領は昨夜の国連総会の演説で、「改革を実施するとした確約を反故にしただけでなく、大規模な市場障壁、手厚い政府補助、為替操作、強制的な技術移転、知的財産権の侵害などに依存する経済モデルを構築した。」と述べ、中国の通商問題を巡る慣行を改めて非難し、米中通商協議で望ましくない合意は容認しないとの考えを示しました。この発言により10月上旬の閣僚級の米中通商交渉で暫定合意となる可能性が後退しました。

 サウジアラビア国営石油会社であるサウジアラムコのナセルCEOとアブドルアジズ・エネルギー省は共に、「サウジアラムコの石油生産は、今月末までに完全回復する。」と述べております。サウジアラビアでは、ドローンや巡航ミサイルによる14日の攻撃で自国の原油生産が一時50%付近まで低下しましたが、現時点ですでに75%まで回復しており、今月末までに原油生産が完全回復する見通しとなってきました。

 サウジアラビアへの14日の攻撃を受けてブレント原油が60.2ドル付近から一時71.95ドルまで11.75ドルも大幅上昇したことを受けて、売り方の玉整理が大きく進んだ反面、高値での大量の買い建ても発生しました。そうした高値での大量の買い玉が「因果玉」となり、今後の原油市場の上値を重くすることは十分考えられます。そして、世界の原油需給が今年前半で「日量90万バレルの供給過剰」となり、今年後半も供給過剰が続く見通しであることや、9~10月が北半球でのエネルギーの不需要期であることなどを考慮すると、原油市場に対してしばらくは「戻り売り」の姿勢を続けるべきかもしれません。

原油市場

下記のコメントは、メール情報会員に昨日朝方に配信しましたコメントです。参考にどうぞ。



9月24日

原油市場

 サウジアラビア国営石油会社であるサウジアラムコのナセルCEOとアブドルアジズ・エネルギー省は共に、「サウジアラムコの石油生産は、今月末までに完全回復する。」と述べております。サウジアラビアでは、ドローンや巡航ミサイルによる14日の攻撃で、自国の原油生産が50%付近まで低下しました。しかし、現時点ですでに原油生産量が75%まで回復しており、今月末までに完全回復する見通しとなってきました。現時点でクライスの石油施設が日量130万バレル以上、アブカイクの石油施設が日量300万バレルにまで回復しているそうです。攻撃を受けた当時は、「完全回復に数ヶ月かかる」との見通しもありましたが、今月末までに完全回復する見通しとなりましたので、原油価格が更に下落する可能性も高まってきました。

 9月13日のブレント原油が60.22ドルで取引を終えており、翌営業日となった9月16日に一時71・95ドルまで上昇し、本日10時時点で64.6ドルです。攻撃を受けたサウジアラビアの原油生産が今月末までに完全回復する見通しとなりましたので、攻撃を受ける前の水準まで現在のブレント原油が4ドルほど下落する可能性が出てきました。


ブレント原油の日足

 

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原油市場パート4

9月17日

原油市場パート4

 本日のブレント原油は、68ドル付近で今朝から小動きです。ブレント原油は、今週になって8ドルほど大幅上昇しました。

イエメンのフーシ派は、14日のドローン攻撃を行ったとの声明を出しております。しかし、アラブ連合や米国は、アブカイク石油施設を攻撃したドローンはイエメン方面から飛来したのではなく、イラクかイランから飛来したとの見方を強めております。それによりアラブ連合と米国は、イランの関与を疑っているようです。サウジアラビア最大の石油施設が攻撃され、合計19カ所の着弾点が確認されており、ドローンと巡航ミサイルを使用した可能性が高いそうです。

来週の国連会議に合わせて米国とイランとの首脳会談が計画されておりましたが、今回のドローン攻撃により来週の米国とイランとの会合は難しくなりました。トランプ政権は、対イラン強硬派で知られるボルトン大統領補佐官を「意見の相違」を理由に解任してまでイランへの経済制裁の緩和に対して米国政府内で協議していたのですが、今回のドローン攻撃を受けてトランプ大統領は昨夜、「14日のドローン攻撃の背後にイランがいると見られる」と述べており、来週予定されていたイラン政府と米国政府の会合に対して、「予定はない」と述べております。それにより、「米国によるイランへの経済制裁の緩和」がかなり難しくなってきました。NATOのストルテンベルグ事務総長は16日、今回のドローン攻撃についてイランを責めております。

 イエメンでは、2015年より内戦が続いており、ハーディー大統領勢力と、ムハンマド・アリ・アル・フーシ氏を大統領と考えているフーシ派反政府組織との対立が続いております。ハーディー大統領の暫定政府は首都を追われて南部アデンに避難し、首都はフーシ派が支配しております。アラビア半島の先端がイエメンであり、その隣国がサウジアラビアですから、イエメンがイスラム教シーア派の一派であるフーシ派が統治することになれば、イスラム教スンニ派国家のサウジアラビアとしては、のど元にナイフを突きつけられているような状態となります。だから、サウジアラビアを中心としたイスラム教スンニ派国家で形成されたアラブ連合が3年前からフーシ派への空爆を続けております。イエメンでの内戦は、イスラム教スンニ派国家であるサウジアラビアとイスラム教シーア派国家であるイランによる代理戦争と見られております。フーシ派は、過去3年間で250発強の弾道ミサイルをサウジアラビアに向けて発射しており、今年になって何度もサウジアラビアへのドローン攻撃を行ってきました。しかし、今回のサウジラビアの原油生産に対する被害は甚大であり、これまでにないほどの被害拡大となりました。

原油市場パート2

9月17日

原油市場パート2

 サウジアラビアの国営石油会社であるサウジアラムコの石油施設2カ所がイエメンによるドローン攻撃を受け、原油市場が週明けから高騰しました。その攻撃により、サウジアラビアの原油生産の半分ほどにあたる日量570万バレルの原油生産が停止しており、世界の原油生産の5%ほどが減少しました。攻撃を受けたアブカイク石油施設の回復にどれぐらいの期間が必要かという事が原油市場の注目点となっております。

ドローン攻撃を受けたサウジアラムコは、「施設の状態や補修が必要な範囲をなお調査中だが、現時点では、早急に回復可能な生産能力は50%弱にとどまる。」と伝えております。攻撃を受けたアブカイク石油施設の原油生産が50%を回復するまで数週間ないし数カ月かかる見通しだとの関係者からのコメントが伝えられております。

 ゴールドマン・サックスは、「稼働停止期間が1週間程度と短期間の場合、原油価格の上昇幅は1バレル当たり3~5ドルにとどまるが、停止期間が2~6週間になった場合は5~14ドル上昇する。3カ月以上にわたり差し引きで日量400万バレル規模の影響が出た場合、1バレル=75ドルを超える水準に上昇し、シェールオイルに対する需要が大幅に押し上げられると同時に、シェールオイルの供給も大きく増加する。」と指摘しております。

コンサルティング会社エナジー・アスペクツのチーフ石油アナリストは、「生産停止分の日量570万バレルの最大50%はかなり早期に回復可能とわれわれはみているが、全面復旧には数週間ないし数カ月を要する可能性がある.」と述べております。

今年前半の世界の原油需給が日量90万バレルの供給過剰となり、今年後半も供給過剰が続くとの見通しでした。しかし、サウジアラムコの石油施設2カ所がドローン攻撃を受けたことを受けて、今年の世界の原油需給が供給過剰のままか、供給不足に転じるのかの予想が難しくなってきました。ただ、今回の価格高騰を受けて増産に転じる産油国は相当増えそうです。しかも、トランプ大統領が石油戦力備蓄の放出を承認したことも注目でしょう。

みんコモコラムアワード2015
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