松永総研

北浜の虎と呼ばれた男

エネルギー

原油市場パート1~2

メール情報会員に本日配信しましたコメントの一部をご紹介します。参考にどうぞ。

3月23日

原油市場

 NY原油の安値は、3月18日が20.06ドル、19日が21.36ドル、20日が19.46ドルとなり、20日は22.48ドルで取引を終えました。それにより3日連続で20ドル付近が下値抵抗線となっております。

 NY原油の電子取引は、トランプ米大統領がサウジアラビアとロシアの価格競争に対して適切な時期に介入する可能性を示唆したことを受けて、先週末20日18時ごろに一時28.48ドルまで上昇しましたが、今朝一時20.81ドルまで下落し、本日10:15時点で22.8ドルです。

 米ウォール・ストリート・ジャーナルでは、「米国がサウジアラビアとロシアの原油価格競争への介入を検討している。また、テキサスの監督当局が原油を抑制する可能性がある。」と報道しております。それを受けてゴールドマン・サックスは19日付けのレポートで、「OPECの主要加盟国が原油供給を抑制すれば、4~6月期のブレント原油が30ドル付近まで押し上げられる。更に米国が供給管理策などの下支え策を導入すると、目先の相場の下支え要因となる。」との見方を示しました。一方、テキサス州の原油・天然ガス規制当局の選出メンバーであるライアン・シットン氏は、「原油価格の安定に向けてテキサス州は産油制限の設定を検討する必要がある。」と述べました。米国政府が産油量制限を決定すれば、原油市場にとってインパクトのあるサプライズ材料となります。トランプ大統領としては、自身の支持基盤である米国の中部~南部での支持率確保のためにも、原油価格のてこ入れは急務かもしれません。

3月23日

原油市場パート2

 ロシアのペロソウフ第1副首相は20日、「OPECとの協調減産体制の終了や原油価格の急落は、ロシアが求めたわけではない。原油市場の危機的状況を招いた責任は湾岸アラブ諸国にある。」と述べております。しかし、インタファックス通信は22日、「ロシアのノバク・エネルギー相は、産油国に23日の会合開催を呼び掛けた。」と伝えております。そして、ロシア最大手国営石油会社であるロスチネフのセチンCEOは、「ロシアとサウジアラビアは対話を維持しるべきだ。ロシアとサウジアラビアは2大原油生産国であり、協力し、情報交換することが必要だ。両国の協議がなければ、石油価格戦争を分けられない。」と述べております。

 トランプ米大統領がサウジアラビアとロシアの価格競争に対して適切な時期に介入する可能性を示唆したことを受けて、ロシアとサウジアラビアとの産油国会合が復活する可能性が高まってきました。特に協調減産に対してこれまで反対姿勢を示し続けてきたロシア最大手国営石油会社であるロスチネフのセチンCEOまでサウジアラビアとの協議の必要性を述べていることは注目でしょう。更に、テキサス州の原油・天然ガス規制当局の選出メンバーであるライアン・シットン氏は、「原油価格の安定に向けてテキサス州は産油制限の設定を検討する必要がある。」と述べていることも注目でしょう。そして、ここで、ロシアとサウジアラビアの産油国会合が復活すれば、今月末に期限切れとなる「OPECプラスによる協調減産」が延長される可能性も高まります。ここにきてトランプ大統領が「ロシアとサウジアラビアとの仲渡し」に動き出す可能性も高まってきましたので、原油市場に対する強気な見方も一考かもしれません。


 


原油市場

本日午前に配信しましたコメントの一部をご紹介します。参考にどうぞ。

3月19日

原油市場

今年のNY原油は、年初は60ドル付近で推移していましたが、昨日は一時20ドルまで急落し、現在の時間外取引で23ドル付近まで戻しております。これも、VIX指数がリーマンショック時のピーク付近まで上昇するほど投資家の不安心理が高まりましたので、原油市場でも「パニック売り」が発生したようです。

東京ドバイ原油は、今朝3時頃に一時2000円安まで下落しましたが、本日の日中取引は100円高で寄り付きました。東京京金も、今朝3時頃に一時66円安まで下落しましたが、本日の日中取引は7円高で寄り付きました。

投資家心理の変化を示すとされるシカゴVIXは、昨夜一時85.47ポイントまで上昇し、それと共にNY原油も20ドル付近まで急落しました。しかし、シカゴVIX指数が76.45ポイントまで下落して取引を終えたことを受けて、NY原油の電子取引が今朝から急伸したようです。そして、リーマンショックのピーク時でも、シカゴVIXが2日連続で80ポイント台を記録しところが同指数の上限でした。

リーマンショックの時は、2008年10月にVIX指数が2日連続で80ポイント台にまで上昇しましたが、その6営業日後に53ポイントまで下落しております。また、2008年11月にも2日連続で80ポイント台まで上昇しましたが、その時も4営業日後に56ポイントまで下落しております。今回のシカゴVIX指数は、16日から3日連続で80ポイント台を記録しましたが、昨夜は76.45ポイントまで下落して取引を終えました。そうしたところからも、投資家の恐怖心の高まりが今週になってピークに達した可能性もあります。

現在の原油価格では、原油依存度の高い中東産油国の多くが財政破たんしかねない水準であり、米国シェール油田のほぼすべてがコスト割れとなる水準なので、長続きする価格水準とは思えません。また、シカゴVIX指数が今週になって「リーマンショック時のピーク」付近まで上昇しましたので、「投資家の不安心理がピークに達した」と考えるのであれば、ここで原油市場に対する買い出動も一考かもしれません。

VIX指数(2008~2020年)
VIX指数(2008年9~12月)
VIX指数(2020年2~3月)

マーケット全体の展望「原油と白金とゴムの買いも一考か」

3月18日

マーケット全体の展望「原油と白金とゴムの買いも一考か」

 16日のNYダウが1987年以降で最大の下げ幅となる2997ドル安(12.93%安)となりましたが、翌17日は1048ドル高(5.2%高)となりました。米国政府が政策対応を強化したことを受けて「株高&債券安」が進みました。ドル円は、昨日15:15比で1円10銭の円安です。

 FRBは、15日に政策金利の1%の利下げを発表し、債券買い入れを開始しました。そして、17日にはコマーシャル・ペーパー(CP)を導入することで流動性プログラムを復活させることを表明しました。そして、トランプ政権が最大1兆2000億ドル(約129兆円)規模の景気刺激策を検討していることが明らかかとなりました。トランプ政権は国民に支援金を2週間以内に直接支給する計画を進めているそうです。こうした米国政府の経済対策が好感されたようです。

 今週16日の米国市場でシカゴVIX指数(恐怖指数)が80ポイント台まで上昇し、引け値ベースで「リーマンショック時の最大値」を超えるほど投資家の不安心理が高まりました。しかし、米国での緩和政策の強化や欧米諸国での新型ウイルスの感染拡大阻止への動きが強化されたことなどを受けて、投資家の不安心理が少し低下しました。シカゴVIX指数は、16日は一時83.56ポイントまで上昇し、82.69ポイントで取引を終えました。翌17日は、一時84.83ポイントまで上昇し、75.91ポイントで取引を終えました。それでもまだ75.91ポイントとかなりの高水準を保っているので、投資家の不安心理はまだ「極めて高い水準」といえます。

 シカゴVIX指数が過去最高を記録したのは、2008年10月24日の89.53ポイントです。リーマンショック時は、シカゴVIX指数が2008年10月24日から2日連続で80ポイント台を記録しましたが、その6営業日後には50ポイント台まで低下しました。そして、2008年11月20日から再び2日連続で80ポイント台を記録しましたが、その4営業日後には50ポイント台にまで低下しました。リーマンショックの時でもシカゴVIX指数が80ポイント台まで上昇すると、80ポイント台が2日間しか続かず、その後すぐに急低下しております。

 今回のシカゴVIX指数は、今週16日と17日で80ポイントを記録しましたので、リーマンショック時の動きを参考にすれば、これから4~6営業日後にシカゴVIX指数が50ポイント台まで低下する可能性があります。それにより、今回の新柄ウイルス問題で大幅下落した東京白金や東京ドバイ原油、東京ゴムRSS3などへの強気な見方も一考かもしれません。
恐怖指数(リーマンショック時)
恐怖指数(新型ウイルスショック)

原油市場パート2&天然ゴム市場

3月17日

原油市場パート2&天然ゴム市場

モルガン・スタンレーの13日付けのレポートでは、「底を打った、あるいはリスク資産が底値を付けたというわけではないが、厳しい急激な弱気相場の最終段階に入ったとは言える。これまでの3週間よりは、回復の初期段階に近いところにある。」と指摘しております。

モルガン・スタンレーの15日付けのレポートでは、「米株に対する慎重なポジションを終了したほか、米クレジット商品に対しても徐々に同じことを行っている。」と指摘しております。そして、モルガン・スタンレーのクロスアセット責任者であるシーツ氏は、「あらゆる資産の魅力が高まっているように見える。価格が重要だ。われわれは懸命に押し目買いを避けようとしていたが、米金融当局から追加支援を受けたことで、現在はたとえ一時的ではあってもリスクリワードが改善したと思われる水準になっている。高騰していた株価が史上最速の相場調整によって現実的な水準に下がった。」と述べております。

S&P500種株価指数は、2月19日の高値(3393ポイント)から昨夜の安値(2380ポイント)まで30%も下落しました、「3割高下に向かえ」という相場格言もあるだけに、米国株の3割安に向かう姿勢も一考かもしれません。

昨日のNYダウが2997ドル安(12.93%安)となり、シカゴVIX指数が引け値ベースで最高値を記録しましたが、それに対して本日の東京商品先物市場で「小幅高となっている東京ゴムRSS3」や「小幅安に留まっている東京ドバイ原油」に注目ではないでしょうか。東京ゴムRSS3や東京ドバイ原油の地合いが弱ければ、今朝から大幅下落となっていてもおかしくない状況でした。

東京ゴムRSS3は、1月17日の高値(208.7円)から3月10日の安値(155.2円)まで約26%下落しましたが、3月10日以降は安値更新しておりません。そして、東京ドバイ原油は、1月8日の高値(4万5320円)から3月9日の安値(2万940円)まで約54%も下落しましたが、3月9日以降から下値更新しておりません。この1週間で米国株があまりにも大きく下落しましたが、それでも1週間ほど前から東京ゴムRSS3と東京ドバイ原油が共に下値をじりじりと切り上げており、そうした動きからも底堅さを感じます。

 

 

東京ゴムRSS3の日足
東京ドバイ原油の日足
 

 

 

※チャートの情報提供元は(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドです。チャートの著作権は、(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドは一切の責任を負いません。

 

原油市場

3月17日

原油市場

 昨夜のNYダウが2997ドル安(12.93%安)の2万188ドルで取引を終えました。それを受けてシカゴVIX指数が82.69ポイントで取引を終え、引け値ベースでリーマンショック時に記録した最高値(2008年10月27日の80.06ポイント)を上回りました。そして、リスクオフの流れが強まり過ぎたことで、リスクヘッジ銘柄である米10年債価格やNY金まで下落する流れとなりました。

 ゴールドマンサックスの15日付けのレポートでは、「現在の市場の供給超過量を勘案すると、米政府が緊急時に備えて積み立てている米戦略石油備蓄の積み増しに向け購入量を増大させても、4~6月期および7~9月期の原油価格30ドル割れを防ぐには不十分。」との見方を示しました。そして、「米戦略石油備蓄向け購入量は最大でも日量50万バレル程度であり、国際原油市場の供給超過量である日量600万バレルには及ばない。」と指摘しております。

 国際エネルギー機関(IEA)と石油輸出国機構(OPEC)が16日に発表した共同声明では、「今年の途上国の石油・ガス収入は、今の市場環境が続いた場合、50~85%減少して20年余りぶりの低水準に落ち込む。」との見方を示しております。

 本日のブレント原油は、今朝8時頃に一時29.46ドルまで下落し、9:50時点で30.78ドルです。ドル円も今朝から70銭ほど円安に進みました。9:50時点で、NYダウ先物が485ドル高、日経平均株価が1円高です。日経平均株価は、プラス転換となりました。NY原油は、3月19日に一時27.34ドルまで下落し、3月20日にも一時28.03ドルまで下落しました。昨夜のシカゴVIX指数が引け値ベースで最高値を記録したことにより、「投資家の恐怖心が過去最高に高まった瞬間」と考えるのであれば、昨夜のNY市場は、「陰極まった瞬間」という事かもしれません。しかも、昨夜のNYダウが2997ドル安(12.93%安)となりましたが、それでも先ほどから日経平均株価がプラス転換を始めたので、マーケット全体が下限に達したのかもしれません。

原油市場の総括

メール情報会員に本日配信しました週間レポートの一部をご紹介します。参考にどうぞ。



原油市場の総括

先週6日の産油国会合で減産協議が決裂し、「サウジアラビアとロシアによる増産競争が始まる」との観測と新型ウイルス問題が週明けの原油価格を暴落させました。そして、12日のNYダウが2352ドル安となって過去最大の下げ幅となり、NYダウが2日連続で大幅下落となりましたが、それでもNY原油が2日連続で小幅安に留まっております。本日13日の日経平均株価が10時半時点で1660円安という大幅下落を記録しましたが、それでも東京ドバイ原油が10時半時点で80円安とほとんど下落しておりません。それにより原油価格は、週明けの暴落で下値を出しきったのかもしれません。NY原油は、リーマンショックの時でも32ドル台までしか下落しておらず、2016年の安値と週明けの27ドル台の安値でダブルボトムを形成する可能性も出てきました。

11年間続いた米国株の強気相場が終了したことや、新型ウイルスの世界的な感染拡大に伴う「世界の原油消費の減少見通し」は気になります。しかし、米実質GDP成長率は、リーマンショック後にマイナス8%台まで大幅低下しましたが、2019年10~12月期でプラス2.1%です。世界経済における実質GDP成長率は、新型ウイルスによる影響を考慮しても今年はプラス2.5前後は予想されますが、リーマンショック直後はマイナス3.4%にまで低下しました。リーマンショック後は、世界経済が深刻な不況となりましたが、それでもNY原油の下値は32ドル付近でした。今回の新型ウイルスの世界的な感染拡大を受けてマーケット全体がリスクオフ一色となってきましたが、原油市場に対して必要以上に悲観する必要はないのかもしれません。

米国株が11年間も強気相場を続け、「過去最長の強気相場」となっていただけに、今回のような米国株の暴落は、「訪れるべくして訪れた下落局面」と考えるべきかもしれません。そして、米国株が弱気相場入りしたといっても現在のS&P500種株価指数は、「リーマンショック後の安値」の4倍ほどの水準を保っております。そして、現在のNY原油は、リーマンショック後の最安値とほぼ同水準ですので、週明けの暴落で原油価格が下値を出しきった可能性もあります。

景気循環には、「景気拡張期」と「景気後退期」の2局面があり、「好況、後退、不況、回復」の4局面に分けられます。それにより現在の世界経済は、経済成長がピークを過ぎたことで「景気後退期」に入っており、4局面では「後退」となります。それにより、世界経済が「不況」を迎えることは避けられませんが、緩和策などで人為的に「不況」までの期間を調節することは可能とされております。そして、「金融引き締めが必要なほど経済成長率が高くなく、金融緩和が長期間必要とされるほど経済成長率が低く、それでいてすぐに不況となるほど経済成長率が低すぎることもない経済状況」の事を「ゴルディロックス」と呼ばれており、株価が最も上昇しやすい状況とされております。昨年末の世界のGDP成長率が3%程度なので、世界経済が「マイナスGDP成長率の不況」に突入するまでは、まだかなりの時間が必要となりそうなので、現在の世界経済はまだ「ゴルディロックス」の状況を続けていることになります。それにより、米国株の弱気相場が長期間続く可能性は低そうです。

今回の原油価格の暴落で、ロシアとサウジアラビアの今年のGDP成長率がマイナスに転じ、両国の財政収支が大幅赤字に転じると見られているだけに、両国は近いうちに減産合意に動く可能性があります。そして、今月中旬に開催予定のOPECプラスによる合同専門家会議で、サウジアラビアとロシアが歩み寄って減産合意への方向性が示される可能性もあります。その反面、ロシアとサウジアラビアとの増産合戦がしばらく続く可能性もあります。

2014年秋のOPEC総会で減産協議が決裂し、原油価格が暴落したこともあります。それによりNY原油は、2016年2月に26ドル台の安値を記録しました。2011年~2014年の原油価格が100ドル前後で推移していたので、米国で第1次シェールオイル開発ブームが到来し、米原油生産が劇的に増加したことが原油価格を暴落させました。シェール油田の開発期間は早ければ3~4週間とかなり短期間で済むので、増産に対して短期間で対応できます。それに対して従来型油田(自噴型油田)の開発期間は5~10年程度と長期間かかるので、増産に対してすぐに反応出来ません。また、従来型油田(自噴型油田)は、地圧によって地下深くの原油が噴出しますので、噴出量を途中から増加させることは出来ません。従来型油田(自噴型油田)に依存するサウジアラビアとロシアの油田は、これまでのOPECプラスによる協調減産により停止させていたオイルリグを短期間で再稼働させることは出来ますが、新たな油田開発には5~10年程かかります。そうしたことを背景として、ロシアとサウジアラビアが4月から増産合戦をしても、稼働停止中のオイルリグの再稼働が一巡すれば、更なる増産にかなりの年月が必要となります。その反面、米国のシュール油田の産出量は、開発後1年半で開発当時の半分程度にまで減少し、開発後3年程度で油田の寿命が尽きます。それにより米国原油生産は、原油価格が暴落すれば、短期間で大幅減産となる可能性があります。

原油市場パート4

3月11日

原油市場パート4

2008年秋から原油価格が大暴落し、翌2009年にロシアの実質GDP成長率がマイナス7.8%まで低下して景気後退入りしました。そして、2014年秋から原油価格が暴落し、翌2015年のロシアの実質GDP成長率がマイナス3.7%まで低下して景気後退入りとなりました。ロシアが景気後退入りとなったのは、過去20年間で2009年と2015年の2年間だけであり、原油価格の暴落後に景気後退入りする傾向があります。

 2008年秋からと2015年秋からの原油価格の暴落時に天然ガス価格も暴落しました。ロシア政府の歳入の47.3%が石油・天然ガスで占められております。ロシアの実質GDP成長率は、2018年が2.5%、2019年が1.3%と下り坂です。そして、バークレイズは、今年のロシアの実質GDP成長率がマイナス0.5%まで低下する見通しを発表しております。しかも、NY天然ガスが昨年11月の高値水準から半分以下の水準となり、「4年ぶりの安値水準」にまで低下しております。そして、ブレント原油は、1月8日の高値(71.75ドル)から半値近くまで暴落しており、今年のロシア経済が景気後退入りする可能性も高まってきました。

 添付している「ブレント原油の月足とロシアの実質GDP成長率」のチャートを見ると、「ロシアの実質GDP成長率と原油価格との関連性」がよく解ります。このままでは、かなりの確率でロシア経済が景気後退入りするだけに、ロシアが「OPECプラスによる協調減産の延長と追加減産」に合意する可能性は高そうです。

一方、サウジアラビアの実質GDP成長率は、2018年は2.4%でしたが、2019年が0.3%まで低下して景気後退寸前となりました。2019年のサウジアラビア経済は、非石油セクターが2015年以降最大の成長率となる3.3%を記録した一方で、石油セクターはマイナス3.6%と減速しました。そして、今年になって原油価格が大きく下落したことを受けて、今年のサウジアラビア経済がマイナスGDP成長率となって景気後退入りする可能性はかなり高そうです。

 石油価格への依存度が大きいロシアとサウジアラビアの経済は、今年から景気後退入りする可能性がかなり高まってきました。特に今回の原油価格の大暴落は、サウジアラビアとロシアの経済に重大な損害を与える可能性があります。こうした背景を考えれば、「サウジアラビアとロシアは、近いうちに協調減産の延長と追加減産で合意する」と考えるべきかもしません。

 

ブレント原油の月足ロシアの実質GDP成長率

 

 

 

※チャートの情報提供元は(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドです。チャートの著作権は、(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドは一切の責任を負いません。

原油市場パート1~3

3月11日

原油市場

 昨夜のNYダウは、米国政府の景気刺激策期待の高まりを受けて1167ドル高となりました。前日のS&P500種株価指数が年初来高値から19%下落したことで、「弱気相場入りまであと1%」に迫っていましたが、昨夜のS&P500種株価指数が4.94%高となり、弱気相場入りを回避しました。トランプ米大統領は昨日、給与税減税に対して、「年末までの時限措置か恒久化の2案を検討中」と表明しました。それを受けてリスクオンの流れが強まりました。また、習近平国家主席は昨日、「ウイルスのまん延、拡散の勢いは基本的に抑え込んだ。防疫の情勢は次第に良くなっている」と述べました。中国全土での新型ウイルスによる感染者数は、一時は前日比2000人増を上回る日々が続いておりましたが、3月9日時点で19人増にまで激減しました。そうしたこともリスクオンの要因となりました。

 ロシアのノバク・エネルギー相は昨日「近い将来に最大で日量50万バレルを増産することは可能だ。しかし、OPEC加盟国との話し合いは扉が閉じられたわけではない。必要に応じて、取り得る手段はいろいろある。減産や増産はそれに含まれる。新たな合意を結ぶこともあり得る。次回のOPECプラス会合は5月か6月に予定されており、市場の動向をあらためて評価する機会になり得る。」と述べました。それに対してサウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は昨日、「5月か6月に会うのが賢明とは思えない。失敗に終わるだけだ。危機のさなかに必要な行動を取るべきだった。」と述べ、ロシアが先週6日の産油国会合で減産を否定したことを改めて非難し、ロシアの提案をはねつけました。更に、サウジアラビア国営石油会社であるサウジアラムコのナサール最高経営責任者は昨日、「サウジアラビアは4月の原油供給を日量1230万バレルに引き上げる。」と表明しました。サウジアラビアが原油供給を日量1230万バレル引き上げるという事は、「日量60万バレルの増産」となります。

 先週5日のOPEC加盟国による産油国会合では、「協調減産の2020年末までの延長」と「日量150万バレルの追加減産」が、ロシアの賛成を合意条件として暫定合意しました。しかし、先週6日のOPECプラスによる産油国会合では、ロシアが追加減産に反対したことを受けて、「協調減産の延長」と「追加減産」が共に決裂しました。それを受けてサウジアラビアは7日、4月からの増産を表明し、更に、大幅な石油販売価格の引き下げも発表しました。それを受けて、「ロシアとサウジアラビアによる原油の増産競争と価格引き下競争が始まる」との観測が高まって原油価格が大暴落しました。

 今回の原油価格の大暴落を受けてロシアは昨日、5月か6月にOPECプラスによる産油国会合を開催して、協調減産や追加減産に対する話し合いを再開する姿勢を表明しましたが、それをサウジアラビアがロシアの提案をはねのけました。しかも、ロシアのノバク・エネルギー相が昨日「近い将来に最大で日量50万バレルを増産することは可能だ。」と述べると、それに対してサウジアラムコのナサール最高経営責任者は昨日、「サウジアラビアは4月の原油供給を日量1230万バレルに引き上げる。」と表明し、日量60万バレルの増産を行うことを表明するなど、「売り言葉に買い言葉」のような状況となっており、「減産をめぐるサウジアラビアとロシアのチキンレース」のような駆け引きが続いているように感じられます。

 OPECプラスによる日量210万バレルの協調減産が今月末で期限切れとなるので、それに向けてサウジアラビアとロシアとの駆け引きが行われており、それに原油価格が振り回されているような状況です。石油に対する財政均等価格は、サウジアラビアで約60ドル、ロシアで約42ドルとされておりますが、両国とも十分な資金があるので、原油価格が財政均等価格を下回っても、かなりの期間耐えることが出来ます。しかし、「新型ウイルスの世界的な感染拡大による影響」に「OPECプラスによる減産協議の決裂」と「サウジアラビアとロシアとの原油の増産競争&価格引き下げ競争」により、原油価格が長期低迷すれば、サウジアラビアとロシアの財政が深刻なダメージを負うことになります。追加減産に対してあれだけ反対していたロシアでも、今回の原油の大暴落の翌日に「OPEC加盟国との協議再開」を要望する姿勢を示しただけに、ロシアとしても現在の原油価格を打開したいようです。先週6日のOPECプラスによる産油国会合で減産協議が決裂した直度なので、サウジアラビアもロシアに対して強硬姿勢を示しているようですが、サウジアラビアとロシアの国益を考えれば、「OPECプラスによる協調減産と追加減産は近いうちに合意される」と考えるべきかもしれません。

3月11日

原油市場パート2

 ロシアのノバク・エネルギー相は10日、ロシア国内の石油生産企業と12日に会合を行い、各社の投資計画や生産について協議することを明らかとしました。更に、ロシア大統領府の報道官は10日、「サウジアラビアとの産油量の協力に向けた交渉を再開する可能性を誰も排除していない。」と述べました。

 12日のロシア内での会合で、ロシアがOPECとの協調体制を強める可能性もあります。ロシア最大の国営石油会社のロスネフチは、OPECとの協調体制に反対してきました。その反面、ロシア第2位の国営石油会社のルクオイルは、OPECとの協調体制に前向きな姿勢を示してきました。原油価格があまりにも大幅下落した事を受けて、ロスネフチがOPECとの協調体制に賛同する可能性は十分考えられます。

ムニューシン米財務長官は9日、駐米ロシア大使に対して、「エネルギー市場が秩序を保たなければならない。」と述べ、ロシアに対してOPECとの協調体制を求めました。そして、トランプ大統領は9日、サウジアラビアのムハンマド皇太子と電話会議を行いました。それに対してディア報道官は、「トランプ大統領とムハンマド皇太子は世界のエネルギー市場について協議し、重要な地域の2国間の問題を話し合った。」と述べました。原油価格がここまで下落すると、倒産する米シェールオイル開発企業が続出することも考えられます。米国主要油田地帯であるイーグルフォードやバーミヤン、バッケンなどの米中部~南部はトランプ大統領の支持基盤でもあるだけに、米大統領選を前にしてトランプ大統領が原油価格の立て直しに対して積極的に動きだしたようです。

イラクのエネルギー相は「石油価格の下落を防ぐ方法を協議するために、OPEC加盟国や非加盟国に連絡を取っている。」と述べております。アルジェリアのエネルギー相は、「原油市場のバランスをとるために、迅速な決断が必要。」と述べております。原油価格の大幅下落を受けて、「サウジアラビアとロシアとの対立」を危惧する産油国が増えてきたようです。


3月11日

原油市場パート3

バークレイズのレポートでは、「2020年のロシア経済は0.5%のマイナス成長となり、年間インフレは年末までに4.3%まで上昇する可能性がある。その結果、財政の優先順位が成長促進から危機対応へと変更されるだろう。」と指摘しております。ロシアのGDP成長率は、2018年が2.5%、2019年が1.3%となり、「景気の下り坂」となっております。そして、ロシア政府の歳入の47.3%が石油・天然ガスで占められております。

現在のNY天然ガスは、「4年ぶりの安値水準」であり、昨年11月の高値から半値以下にまで大幅下落しております。それに加えて、新型ウイルス問題を受けて原油や非鉄金属など資源財全体が1月20日頃から大きく下落しました。更に、先週6日のOPECプラスによる産油国会合で減産協議が決裂し、原油価格が更に大きく下落しました。これにより、ロシアが景気後退入りする可能性も高まってきました。

このままでは、原油価格と天然ガス価格の大幅下落を受けて今年のロシアの財政が「大幅赤字」に転落する可能性も高まります。また、天然ガスや原油、非鉄金属などの大幅下落を受けて、資源財に関するロシア企業の業績が大幅悪化し、今年のロシア経済がマイナス成長という「景気後退」に突入する可能性も高まります。ロシアは、2014年秋からの原油価格と天然ガス価格の大暴落を受けて、2015年からマイナス成長の景気後退入りしたという経緯があります。こうしたロシア経済の背景を考えれば、「ロシアは、近いうちにOPECとの協調体制を復活させ、OPECプラスによる協調減産と追加減産が合意される。」と考えることも一考かもしれません。

 



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