松永総研

北浜の虎と呼ばれた男

穀物

トウモロコシ市場パート1~2

4月3日

トウモロコシ市場

国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)と世界貿易機関(WTO)の3機間のトップが4月1日、共同声明で「現在進行中の新型コロナウイルス危機に当局が適切に対応できなければ、世界的な食料不足が発生する恐れがある。」と警告しております。更に、「食料品の入手可能性への懸念から輸出制限のうねりが起きて国際市場で食料品不足が起きかねない。」とも警告しております。リーマンショック後には、コメの生産国であるインドとベトナムがコメの国内価格の上昇を避けようと輸出を規制した結果、コメの国際価格が急騰して一部の発展途上国で暴動が起きたこともありました。そして、ロシアは、小麦の国内価格の上昇を防ぐためすでに備蓄の放出に踏み切っており、輸出規制も検討している状態です。

米国での新型ウイルスの感染拡大を受けて、メキシコの複数の地域が国境の検問を封鎖する動きも報告されております。以前はトランプ大統領が「メキシコとの国境封鎖」を支持しておりましたが、今ではメキシコ側から「米国との国境封鎖」の動きがあるようです。米国ではメキシコからの季節的農業労働者の不足で多くの作物の生産がリスクにさらされております。また、欧州でも北アフリカと東欧からの労働者の不在により、同様の結果を招きかねない状態です。国連食糧農業機関と世界保健機関と世界貿易機関の事務局長らは、共同声明で「食料品のサプライチェーンに直接関わる人とそれ以外の人両方の健康を守り、食料品のサプライチェーンを維持する上で、食料の生産・加工・流通に携わる労働者を保護する必要がある。」と指摘しております。これから米や大豆、トウモロコシの作付け作業が本格化するだけに、今回の新型コロナウイルスの感染拡大が世界の穀物生産に悪影響を及ぼす事となれば、「世界的な食糧危機」が警戒されます。そうなれば、現時点でも世界的な問題となっている「ロックダウンに伴う世界的な食料品の買いだめ」が更に拡大し、深刻な食糧不足に陥る可能性もあります。それにより穀物価格が急騰する可能性もあるだけに、今のうちに東京トウモロコシに対して値ごろ買いも一考かもしれません。

4月3日

トウモロコシ市場パート2

 世界のトウモロコシ生産の35%が米国、23%が中国、9%がブラジル、6%がEUとなっておりますので、東京トウモロコシ市場にとって米国産トウモロコシの育成状況が特に重要となります。そして、中国のとうもろこし生産もかなり重要となってきます。

すでに中国の複数の地方政府は農民に対し、穀物生産用の農地を確保して水田には稲しか植えられないようにし、作付けが終わった稲以外の作物はすべて掘り起こして代わりに稲を植えるように通達しております。2020年の中国での穀物生産量は5億5400万トンとなる見通しですが、中国国内での穀物消費量が7億トンに達する見通しとなっており、1億4600万トンほど不足する見通しです。それにコロナウイルスの感染拡大による影響や、サバクトビバッタによる蝗害の影響が加わる可能性もあるだけに、中国では穀物の増産が急務となってきました。

農業害虫であるツマジロクサヨトウが雲南省や四川省など中国の8省228件で発生し、約1億ムー(約667万ヘクタール)の農地が脅威にさらされています。そして、サバクトビバッタの大群が、雲南省やウルグル自治区に迫っております。新型コロナウイルスやサバクトビバッタ、ツマジロクサヨトウなどの影響で中国の穀物生産が減少する可能性も高まってきました。それに加えて、欧米諸国でも、新型コロナウイルスによる影響で穀物生産が減少する可能性も指摘され始めております。これから米や大豆やトウモロコシの作付け作業が本格化する時期を迎えるだけに、欧米でのロックダウンによる農作物生産への影響は心配です。

 

 

 


トウモロコシ市場の総括

本日製作しました週間レポートの一部をご紹介します。参考にどうぞ。



トウモロコシ市場の総括

 世界のトウモロコシ生産の35%が米国、23%が中国、9%がブラジル、6%がEUとなっておりますので、東京トウモロコシ市場にとって米国産トウモロコシの育成状況が特に重要となります。また、世界生産の23%が中国産なので、中国産トウモロコシへの蝗害にも警戒が必要です。米国産トウモロコシは、4月下旬から作付けが開始されます。

 2月下旬からの株式市場の大暴落と共に東京商品市場銘柄の値動きが大きくなり、大商いを続ける銘柄が続出しました。しかし、今週になって出来高が激減する銘柄が続出しており、東京工業品市場への参加をためらう投資家がかなり増えてきたようです。イタリアでの新型ウイルスによる死者数の増加ペースが頭打ちとなってきましたが、それでも高水準を続けております。米国やイギリスの新型ウイルスによる死者数の増加ペースは、2週間後にピークに達するとの見方も出てきましたが、それもまだ確証は持てません。新型ウイルスによる今後の世界経済に対する影響が不透明となっていることが、景気敏感銘柄である原油などの工業品銘柄への市場参加をためらわせているようです。そうした工業品銘柄に対する新型ウイルスによる不透明感に警戒するよりも、景気にあまり左右されない穀物市場に注目することも一考かもしれません。

 世界最大のトウモロコシ生産量を誇る米国では、4月下旬から作付けが開始されます。それにより4月中旬になれば「先付け時期の天候」への注目が高まり、天候相場の序盤戦が開始します。それと共に天候プレミアムが高まり、シカゴコーンの下値が引き上げられることも考えられます。米国産トウモロコシ生産では、天候が数日間よくても豊作は決定しませんが、天候が数日間悪化して不作が確定することはあります。作付け後の低温障害や洪水、ハリケーンなどは要注意です。また、開花期の高温障害で受粉率が大幅低下することもあります。そうしたことを背景に天候プレミアムが上昇する時期をこれから迎えます。そうした天候プレミアムの上昇前に東京トウモロコシの安値拾いも一考かもしれません。

米国産トウモロコシは昨年まで5年連続で豊作となりましたが、それでも5年連続で6~7月頃にその年の高値を記録していることは注目でしょう。一方、不作相場の時は、8月頃にその年の高値を記録する傾向もあります。そうしたトウモロコシ市場の季節的傾向を考えれば、そろそろ東京トウモロコシの安値拾いも一考かもしれません。

 米農務省が昨3月31日に発表した今年の米国産トウモロコシの作付面積見通しは、9432万8000エーカー予想に対して9690万エーカーとなり、2012年以降で最大となる見通しとなりました。それでも同日のシカゴコーンがほとんど下落しなかったことは注目でしょう。米国産トウモロコシの作付面積は過去30年間で35%ほど増加しており、世界需要の増加と共に増え続けていますので、今年の作付面積が前年より増えたことにあまり固執する必要もなさそうです。また、そうした作付面積見通しを受けて現在の値段が形成されていることに注目するべきかもしれません。

 今年のシカゴコーンの単収が昨年と同様の1-エーカーあたり166ブッシェルとなり、1エーカーあたりの維持コストを683.88ドルで計算すれば、1ブッシェル当たりの生産コストが約411セントとなります。それに対して現在のシカゴコーンが340セント付近で推移しているので、割安感がかなりあります。新型ウイルスの影響で今後の世界経済の動向がかなり不透明となってきただけに、これからは、「景気変化にあまり影響を受けない穀物市場」に注目するべきかもしれません。

そして、今回の新型ウイルスの陰に隠れてあまり話題視されておりませんが、東アフリカで発生したサバクトビバッタの大群が偏西風に乗って中東やパキスタン、インドを経由して中国国境近くにまで迫ってきたことは注目でしょう。パキスタンでは、既に4割の農作物が被害を受けたそうです。4000億匹にまで増加した幅40km、長さ60kmに及ぶサバクトビバッタの大群が、トウモロコシ生産世界第2位の中国に侵入するのは時間の問題との見方も高まってきました。国連や中国当局は、サバクトビバッタが6月頃までに現在の500倍にまで膨れ上がる可能性があると指摘しているほどです。過去最大級の蝗害がトウモロコシ生産量世界第2位の中国に迫ってきましたので、東京トウモロコシに対してこれから2~3カ月ほどの中期的な強気な見方に注目することも一考かもしれません。


穀物市場

4月1日

穀物市場

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて原油や白金など多くの工業品銘柄や株式市場などは2月頃から大幅下落となりましたが、それでも2月頃の水準で今も推移しているシカゴコーンなど穀物市場に注目することも一考かもしれません。

トランプ政権の専門家メンバーの1人である、ファウチ博士は3月30日の政治インタビュー番組に出演し、「新型コロナウイルスによる米国での死者は10万人から20万人単位となる。10万人から20万人というのは、ベストケースのシナリオだ。ワーストケースとしては、全米での死物100万人となる。」と述べ、今後2週間で死者数がピークに達するとの見通しを発表しました。そして、トランプ大統領も昨夜、「非常に厳しい2週間に直面している。痛みを伴う2週間になるだろう。われわれの力と忍耐が試される。」と述べました。

米国での新型ウイルスによる死者数がこれから2週間ほど更なる増加傾向を続ける可能性が高まっているだけに、株式市場への投資人気も更に低下しそうです。そして、経済に敏感な原油などの工業品銘柄への投資人気もしばらく低迷しそうです。そして、リスクヘッジ銘柄とされる米国債や金相場に対しても、「株安や景気悪化による換金売り」が高まることも考えられます。こうした環境では、景気変化の影響を受けにくいとされる穀物市場への投資人気が高まることも考えられます。今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、食料を買いだめする動きが世界的に拡大していることも、穀物市場人気を高める要因となりそうです。そして、今月末頃から米国産トウモロコシの作付けが開始され、これから「作付け時期の天候」への注目が高まるだけに、例年通りにシカゴ穀物市場の天候相場に対する投機人気の高まりに注目することも一考ではないでしょうか。

米農務省が昨夜発表した今年の米国産トウモロコシの作付面積見通しは、9432万8000エーカー予想に対して9690万エーカーとなりました。そして、米国産大豆の作付面積見通しは、8486万5000エーカー見通しに対して8351万エーカーとなりました。米国産小麦の作付面積見通しは、4498万2000エーカー見通しに対して4465万5000エーカーとなりました。米農務省が昨夜発表した米国産トウモロコシの作付面積見通しは市場予想を上回りましたが、それでも昨夜のシカゴコーンが0.5セント安とほとんど下落しなかっただけに、「シカゴコーンの地合いは強い」と考えるべきかもしれません。

原油価格の暴落を受けて、米国産トウモロコシの収穫量全体の3分の1を占めるエタノール需要が減少する事も予想されます。それでも現在のシカゴコーンが生産コストを大幅に割り込んでいることや、これからシカゴコーンに対する「天候プレミアム」が高まることも予想されるだけに、そろそろ東京トウモロコシの安値拾いも一考かもしれません。

トウモロコシ市場

3月25日

トウモロコシ市場

 今回の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて需要が急増したもといえば、マスクやウイルス感染検査キット、人口呼吸器、医薬品などの医療関連商品があります。それ以外では、買いだめが社会問題となっているトイレットペーパーや食料品などもあり、米国ではサバイバル用品や銃などの需要も急増しているそうです。欧米のスーパーの陳列棚から食料品の多くが姿を消したことも話題となりました。オーストラリアの小売売上高(速報値)は、昨年12月と1月に減少しましたが、2月は予想外にプラスに転じました。新型ウイルスの感染阻止のため導入された移動制限により、観光業や飲食店の売り上げが低迷し、衣服や靴、アクセサリー、免税品、高級品などの販売は減少しましたが、それでも食料品の買いだめによりオーストラリアの2月の小売売上高(速報値)がプラスに転じたのですから、「食料品の買いだめ」は、かなり深刻な問題です。しかも、3月になって食料品の買いだめの動きが世界的に拡大しているのですからなおさらです。そして、ここにきて外出禁止令を発令する国が急増しており、そうした世界的なロックアップの動きがサプライチェーンを混乱させているので、それが食料品を消費者に届ける流れを阻害し始めているので、「世界的な食料品の買いだめの動き」が今後更に拡大することも考えられます。

 「泣きっ面に蜂」という格言もありますが、新型コロナウイルスの感染拡大で苦しんだ中国では、「泣きっ面に蝗」となる可能性も高まってきました。東アフリカやアラビア半島で爆発的な増加となったサバクトビバッタの群れが、中国国境に迫ってきました。パキスタン政府は、「現時点ですでに国全体の40%の作物を失った。」と報告しているほどです。インドでは、今回の蝗害を受けて、パキスタンとの国境警部にあたっているラジャスタン州から70万人の兵士を撤退させたほどです。東アフリカのソマリア周辺地域から始まった蝗害は、偏西風に乗って中東のアラビア半島を超えてパキスタンやインドの広範囲にまで進みました。4000億匹にまで増加した幅40km、長さ60kmに及ぶサバクトビバッタの大群が、中国国境に迫ってきました。国連食糧農業機関(FAO)は、「中国のウルグル自治区に近くバッタの大群が到達する。この先数週間ほどで多くの降水量が予想され、それによりサバクトビバッタの繁殖が進み、6月頃までに現在の500倍に膨れ上がる可能性がある。」と警告しております。また、中国国家林業草原局は緊急通知を発表し、「中国は、東アフリカで発生しインドやパキスタンに広まったサバクトビバッタの大群の進入リスクにさらされている。サバクトビバッタがいったん中国に襲来すれば、生態法則が不明で監視・観測技術の不足、防止・コントロール困難など多くの不確実性に直面するだろう。サバクトビバッタの数は今年6月までに現在の500倍に急増する恐れがある。気候の条件によっては、バッタの大群が3つのルートから中国に入ると予測される。1つ目はインドやパキスタンを経由しチベットに進入するルート、2つ目はミャンマーから雲南省へのルート、3つ目はカザフスタンから新疆ウイグル自治区に入るルートだ。」と警告しております。

 国連食糧農業機関や(FAO)中国国家林業草原局が指摘しているように、サバクトビバッタが6月頃までに現在の500倍に膨れ上がることになれば、現在の4000億匹から200兆匹にまで増加する計算となります。現時点でも過去最大級の蝗害と言われているだけに、「人類史上最悪の蝗害」に発展する可能性もあります。しかも偏西風に乗って東アフリカからパキスタンやインドにまでサバクトビバッタが進行してきたのですから、今後も偏西風に乗ってパキスタンやインドの隣国である中国にサバクトビバッタが進行することは避けられそうもあります。すでにサバクトビバッタの予想進路となっている雲南省では、15万5000トンの殺虫剤と162個の殺虫剤散布機、20基のロドーン、460人の専門家チームをそろえて、蝗害に備えているそうです。世界第2位のトウモロコシ生産量を誇る中国に過去最大級の蝗害が侵入すれば、トウモロコシ価格が高騰する可能性も高まります。しかも、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、欧米で食料品の買いだめの動きが社会問題となっている状況ですから、これに「蝗害による穀物生産量の減少」が加わって深刻な食糧難に陥る可能性もあります。しかも、米国産トウモロコシが4月下旬から作付け作業を始めるので、「天候悪化による穀物生産量の減少予想」まで加わると、シカゴコーンが2008年や2011年、2012年、2013年のような「800セント相場」に発展して大相場となる可能性も高まります。ちなみに現在のシカゴコーンは、350セント付近で推移しております。

 

 

シカゴコーンの月足

 

 

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トウモロコシ市場

メール情報会員に本日配信しましたコメントの一部をご紹介します。参考にどうぞ。

3月23日

トウモロコシ市場

 先週末のNYダウが913ドル安となり、本日のNYダウ先物が11時時点で790ドル安です。それに対してシカゴコーンの電子取引は、本日11時時点で、先週末15:15比で2.25セント高です。

21日時点での新型ウイルスによる死者数が、イタリアで3405人、中国で3243人、イランで1284人、スペインで1002人、フランスで371人、米国で205人、英国で137人、韓国で94人となりました。そして、感染者数が世界全体で30万院を突破しました。ここにきて欧米で新型ウイルスによる感染拡大ペースが加速しており、それを受けて欧米の多くの地域で食料品の買いだめの動きが拡大しており、食料品の多くが売り切れとなったスーパーも続出するなど、かなり深刻な社会問題となってきました。それに伴う食料品需要の増加にも注目する必要がありそうです。

新型ウイルスの感染拡大を食い止めるために外出禁止令を発令する地域が欧米で増えてきました。米国では、5州への外出禁止令による経済規模は全米の約31%を占めます。イタリアやフランスでの外出禁止令もかなり深刻な内容です。そうした世界的な外出禁止令の拡大により、原油や非鉄金属などの需要減少は深刻な問題となってきました。その反面、食料品需要は、買いだめの影響も受けて増加することが予想されます。そして、NYダウの下落もなかなか止まりません。そうした株式市場や商品市場内の工業品銘柄などの受け皿として、シカゴ穀物市場が人気化する可能性も高まってきました。

米国産トウモロコシの作付けが4月下旬から開始されるので、4月になれば、作付け時期の天候への注目が高まり、天候相場の序盤戦が始まります。それに伴い、天候相場に向けた値ごろ買いも増加することが予想されます。


トウモロコシ市場パート2

3月18日

トウモロコシ市場パート2

 米紙ニューヨーク・タイムズが100ページから成る米国政府の3月13日付けの計画を引用して報じた内容では、「米政府は新型コロナウイルスのパンデミックが1年半以上続くと予測し、広範囲にわたる品不足で消費者や医療システムに負担がかかる恐れがある。」と伝えられております。今回の新型ウイルスによる感染拡大が長期間続けば、世界的な資源財需要の減少を受けて原油やゴム、非鉄金属などの資源財価格が長期低迷する可能性も高まります。そうなれば、米国商品先物市場の工業品銘柄人気が低迷し、その受け皿としてシカゴ穀物市場の投機人気が高まることも考えられます。しかも、4月下旬から米国産トウモロコシの作付けが開始されるので、天候相場に向けてシカゴコーンや東京トウモロコシの安値を買い拾う動きが活発化する可能性もあります。

新型ウイルスの感染拡大を受けて、原油や天然ゴム、非鉄金属などの銘柄が2月25日頃から一斉に急落しました。世界的に渡航制限や外出制限などが強化され、それにより原油やゴム、非鉄金属などの資源財消費が減少する事が危惧されております。世界の天然ゴム消費は、1~2月で18.6%も減少したことも報告されております。その反面、食料品需要は増加しているようです。オーストラリア連邦統計局が発表した2月の小売売上高(速報値)は、前月比0.4%増加しました。同国の小売売上高は、昨年12月と1月に減少しましたが、新型ウイルスによる買いだめの影響で2月はプラスに転じました。新型ウイルスの感染阻止のため導入された移動制限により、観光業や飲食店の売り上げが低迷し、衣服や靴、アクセサリー、免税品、高級品などの販売は減少しましたが、それでも食料品の買いだめによりオーストラリアの2月の小売売上高(速報値)がプラスに転じたのですから、「食料品の買いだめ」は、かなり深刻な問題です。しかも、そうした買いだめの動きは、3月になって世界的に拡大しておりますので、「新型ウイルスによる買いだめ」の動きが長期化することになれば、穀物市場への投機人気が高まることも考えられます。

NYダウが2月の高値(2万9568ドル)が天井となり、米国株が長期低迷となる可能性も高まってきました。今回の新型ウイルスの影響で欧州の複数の国のGDP成長率がマイナスに転じる可能性も高まっております。ゴールドマン・サックスの17日付けのレポートでは、「中国の1~3月期のGDP成長率は前年同期比で9%縮小する可能性があり、2020年のGDP成長率は、従来見通しの5.5%から3%に引き下げた。」との見通しを示しております。一方、モルガン・スタンレーの16日付けのレポートでは、「今年の世界経済成長率を0.9%と予想している。2001年の景気後退期よりも低く、リセッションを宣言するのに十分な弱さだ。ただ、2009年のマイナス0.5%成長ほどは悪くない。政策対応が景気を下支えするだろうが、新型ウイルスの影響と金融環境のタイト化の両方からの打撃は、世界経済に重大な衝撃を与えるだろう。」との見通しを示しております。こうしたことを背景として株式市場からの資金流出が世界的に長期化することは十分考えられます。そうした時に、「株式市場からの資金流出の受け皿」として、穀物市場がより注目される可能性もあります。特に、過去最悪と言われる蝗害が中国に迫っているだけに、今年は、「蝗害による世界的な食糧危機」が叫ばれる年になる可能性もありますので、東京トウモロコシに注目する事も一考かもしれません。

トウモロコシ市場&天然ゴム市場「蝗害に警戒」

3月18日

トウモロコシ市場&天然ゴム市場「蝗害に警戒」

ローコック国連事務次長は2月10日、「3カ国で1300万人が深刻な食糧不足に直面している。これは異常気象がもたらす新たな側面だ。緊急対策をしなければ、春以降の耕作期を経て被害はより一層甚大になる。」と指摘しております。そして、中国国家林業草原局は2月27日、緊急通知を発表し、各部門に蝗害拡大防止体制を整備するよう求めました。同局がウェブサイトに掲載した緊急通知では、「中国は、東アフリカで発生しインドやパキスタンに広まったサバクトビバッタの大群の進入リスクにさらされている。サバクトビバッタがいったん中国に襲来すれば、生態法則が不明で監視・観測技術の不足、防止・コントロール困難など多くの不確実性に直面するだろう。サバクトビバッタの数は今年6月までに現在の500倍に急増する恐れがある。」と警告しております。この緊急告知では、「気候の条件によっては、バッタの大群が3つのルートから中国に入ると予測される。1つ目はインドやパキスタンを経由しチベットに進入するルート、2つ目はミャンマーから雲南省へのルート、3つ目はカザフスタンから新疆ウイグル自治区に入るルートだ。」とも指摘しております。

中国は、世界第2位のトウモロコシ生産国です。バッタの大群がチベット自治区に進入するルートや新疆ウイグル自治区に侵入するルートとなれば、トウモロコシ価格が高騰する可能性も高まります。そして、雲南省に侵入するルートとなれば、中国最大の天然ゴム生産地が雲南州なので、天然ゴムが高騰する可能性も高まります。サバクトビバッタが中国に侵入する3つの予想ルートの1つである雲南省では、15万5000トンの殺虫剤と162個の殺虫剤散布機、20基のロドーン、460人の専門家チームをそろえて、蝗害に備えているそうです。こうした雲南省の対策からも、中国がいかに今回の蝗害に対して警戒しているかが伺われます。

国連の発表では、サバクトビバッタが過去1年半で6400万倍となり、4000億匹にまで増加したそうです。そして、降雨予想を受けて6月までに現在の500倍にまで増加することが予想されるそうです。サバクトビバッタの最大高度は900メートルとされており、航空機による殺虫剤散布も危険が伴うそうです。1平方メートルの地域を覆うサバクトビバッタの大群は、1日に3万5000食分を食べることが出来るそうです。そのようなバッタの群れが幅40㎞、長さ60㎞に及ぶ大群となって偏西風の影響で東に進行中であり、中国の国境近くにまで迫ってきました。

バッタは蝗害を起こす前の普段の「孤独相」と呼ばれる体から、世代交代時に「群生相」と呼ばれる移動に適した体に変化することがあります。サバクトビバッタは、個体が密集すると、世代交代の時に色が青色から茶色に変化し、足が短くなり、羽が長くなり、頭が大きくなり、気性も荒くなって共食いもするようになります。集団生活している親からは、集団の密度が高いほど、より群生相が強いバッタが産まれるとされております。そうなして群生相の遺伝子を受け継いだバッタは、10~16世代にわたって群生相を続けるとされております。前回のサバクトビバッタによる蝗害は、2003年10月から1年8カ月続きました。しかし、今回は、昨年5月から蝗害が始まり、まだ10カ月しか経過していないので、「あと1年間ほど蝗害が続く」と予想されます。すでにサバクトビバッタの大群が中国国境近くにまで迫っております。しかも、東アフリカから偏西風の影響で東に進軍し続けてきたので、「中国への侵入は時間の問題」となってきました。現在4000億匹のサバクトビバッタが6月までに200兆匹にまで増加することも予想されているだけに、「中国での蝗害」を警戒し、東京トウモロコシや東京ゴムRSS3に対する強気な見方も一考かもしれません。

トウモロコシ市場

3月16日

トウモロコシ市場

国連食糧農業機関は3月13日、「アフリカの各地域、特にケニア、ソマリア、エチオピアの状況が危機的であり、再びバッタが大群を成し始めた。バッタが再び繁殖を始めており、この大群は食糧の安全に例を見ない脅威をもたらしている。バッタが影響を与える国としてケニア、ソマリア、エチオピア、スーダン、エリトリア、サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦、イラン、パキスタンが挙げられる。」と警告しております。

中国政府からの防虫製品が3月9日、パキスタン南部のカラチに到着しました。それには、5万リットルの防虫剤と、遠隔操作できる14台の高性能散布機が含まれています。中国政府としては、パキスタン南部のカラチでバッタを食い止めることが出来なければ、カラチに隣接するウルグル自治区にバッタの大群が進行することになるので、それは避けたいようです。しかし、国連食糧農業機関(FAO)は、「中国のウルグル自治区に近くバッタの大群が到達する。この先数週間ほどで多くの降水量が予想され、それによりサバクトビバッタの繁殖が進み、6月頃までに現在の500倍に膨れ上がる可能性がある。」と指摘しております。推定4000億匹という幅40㎞、長さ60㎞に及ぶバッタの大群が西部・新疆ウイグル自治区の国境付近にまで到達しており、これが6月までに500倍となる見通しなので、バッタの数が200兆匹にまで増加する可能性が高まってきました。

中国国家林業草原局は2月27日、緊急通知を発表し、各部門に蝗害拡大防止体制を整備するよう求めました。同局がウェブサイトに掲載した緊急通知では、「中国は、東アフリカで発生しインドやパキスタンに広まったサバクトビバッタの大群の進入リスクにさらされている。サバクトビバッタがいったん中国に襲来すれば、生態法則が不明で監視・観測技術の不足、防止・コントロール困難など多くの不確実性に直面するだろう。サバクトビバッタの数は今年6月までに現在の500倍に急増する恐れがある。」と警告しております。この緊急告知では、「気候の条件によっては、バッタの大群が3つのルートから中国に入ると予測される。1つ目はインドやパキスタンを経由しチベットに進入するルート、2つ目はミャンマーから雲南省へのルート、3つ目はカザフスタンから新疆ウイグル自治区に入るルートだ。」とも指摘しております。

新疆ウイグル自治区にバッタの大群が侵入することになれば、そのすぐ隣には、中国最大のトウモロコシ生産地である内モンゴル自治区などの華北地域が控えております。アフリカ東部のソマリア付近で大量発生したサバクトビバッタは、偏西風に乗って東に進み続け、アラビア半島を超えて、パキスタンやインドにまで到達しました。パキスタン全土の4割の売作物が被害を受けたことも伝えられております。その偏西風により、バッタの中国侵入は避けられないような状況となってきたようです。中国は、「世界第2位のトウモロコシ生産国」です。中国の穀倉地帯にバッタの大群が侵入することになれば、「今世紀最大の食糧危機」に発展する可能性もあります。バッタの大群がすでに4000億匹にまで増加しており、これが6月までに500倍になる可能性が高まってきましただけに、穀物価格の高騰に警戒するべきかもしれません。

みんコモコラムアワード2015
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