4月3日
トウモロコシ市場
国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)と世界貿易機関(WTO)の3機間のトップが4月1日、共同声明で「現在進行中の新型コロナウイルス危機に当局が適切に対応できなければ、世界的な食料不足が発生する恐れがある。」と警告しております。更に、「食料品の入手可能性への懸念から輸出制限のうねりが起きて国際市場で食料品不足が起きかねない。」とも警告しております。リーマンショック後には、コメの生産国であるインドとベトナムがコメの国内価格の上昇を避けようと輸出を規制した結果、コメの国際価格が急騰して一部の発展途上国で暴動が起きたこともありました。そして、ロシアは、小麦の国内価格の上昇を防ぐためすでに備蓄の放出に踏み切っており、輸出規制も検討している状態です。
米国での新型ウイルスの感染拡大を受けて、メキシコの複数の地域が国境の検問を封鎖する動きも報告されております。以前はトランプ大統領が「メキシコとの国境封鎖」を支持しておりましたが、今ではメキシコ側から「米国との国境封鎖」の動きがあるようです。米国ではメキシコからの季節的農業労働者の不足で多くの作物の生産がリスクにさらされております。また、欧州でも北アフリカと東欧からの労働者の不在により、同様の結果を招きかねない状態です。国連食糧農業機関と世界保健機関と世界貿易機関の事務局長らは、共同声明で「食料品のサプライチェーンに直接関わる人とそれ以外の人両方の健康を守り、食料品のサプライチェーンを維持する上で、食料の生産・加工・流通に携わる労働者を保護する必要がある。」と指摘しております。これから米や大豆、トウモロコシの作付け作業が本格化するだけに、今回の新型コロナウイルスの感染拡大が世界の穀物生産に悪影響を及ぼす事となれば、「世界的な食糧危機」が警戒されます。そうなれば、現時点でも世界的な問題となっている「ロックダウンに伴う世界的な食料品の買いだめ」が更に拡大し、深刻な食糧不足に陥る可能性もあります。それにより穀物価格が急騰する可能性もあるだけに、今のうちに東京トウモロコシに対して値ごろ買いも一考かもしれません。
4月3日
トウモロコシ市場パート2
世界のトウモロコシ生産の35%が米国、23%が中国、9%がブラジル、6%がEUとなっておりますので、東京トウモロコシ市場にとって米国産トウモロコシの育成状況が特に重要となります。そして、中国のとうもろこし生産もかなり重要となってきます。
すでに中国の複数の地方政府は農民に対し、穀物生産用の農地を確保して水田には稲しか植えられないようにし、作付けが終わった稲以外の作物はすべて掘り起こして代わりに稲を植えるように通達しております。2020年の中国での穀物生産量は5億5400万トンとなる見通しですが、中国国内での穀物消費量が7億トンに達する見通しとなっており、1億4600万トンほど不足する見通しです。それにコロナウイルスの感染拡大による影響や、サバクトビバッタによる蝗害の影響が加わる可能性もあるだけに、中国では穀物の増産が急務となってきました。
農業害虫であるツマジロクサヨトウが雲南省や四川省など中国の8省228件で発生し、約1億ムー(約667万ヘクタール)の農地が脅威にさらされています。そして、サバクトビバッタの大群が、雲南省やウルグル自治区に迫っております。新型コロナウイルスやサバクトビバッタ、ツマジロクサヨトウなどの影響で中国の穀物生産が減少する可能性も高まってきました。それに加えて、欧米諸国でも、新型コロナウイルスによる影響で穀物生産が減少する可能性も指摘され始めております。これから米や大豆やトウモロコシの作付け作業が本格化する時期を迎えるだけに、欧米でのロックダウンによる農作物生産への影響は心配です。