松永総研

北浜の虎と呼ばれた男

経済全体

米中貿易摩擦

9月19日

米中貿易摩擦

 トランプ政権は7月11日、2000億ドル規模の中国製品に10%の関税を上乗せする対中制裁関税案を発表しました。その後、8月2日には、上乗せ関税を10%から25%にする事を表明しました。そしてし、9月18日早朝に2000億ドル規模の中国製品に10%の関税を上乗せする対中制裁関税を9月24日から実施することを発表しました。その上乗せ関税を来年から25%に引き上げることとしました。

 「2000億ドル規模の対中制裁関税」に関しては、7月11日から警戒され続けてきた事だけに、実際に発表されても9月18日のマーケットは、比較的冷静な反応でした。税率が25%から10%に引き下げられて発表されたことにより、少しリスクオンの流れとなったほどでした。そして、米国政府は、中国が報復関税に動けば更に2670億ドル規模の対中制裁関税を即座に発動させることを公表しております。それにより、今月24日には、米国政府が2000億ドル規模の対中制裁関税を発動させ、その直後に中国も600億ドル規模の対米報復関税を発動させることになり、その直後に米国が更に2670億ドル規模の対中制裁関税を発動させることになりそうです。今月24日のマーケットでは、米中貿易摩擦が急速に強まりそうですが、その日は秋分の日の振替休日で日本市場が休場となります。

 米国の輸出の約7%が中国向けであり、輸入の約18%が中国産です。一方、中国の輸出の約21%が米国であり、輸入の約8%から米国産です。こうした割合を比べても、中国から米国への輸出が最も目立ちます。米国による対中制裁関税の第1弾が340億ドル規模、第2弾が160億ドル規模、第3弾が2000億ドル規模、第4弾が2670億ドル規模となるので、対中制裁関税の第4弾までがすべて実施されることになれば、米国に輸出される中国製品のほぼすべてに制裁関税が課せられる計算となります。それにより中国の貿易黒字が減少し、米国の輸入物価が上昇することになりそうです。しかも、2000億ドルの対中制裁関税に関しては、あと3カ月半もすると、税率が当初の10%から25%に引き上げられるので、中国の輸出企業の多くは大きなダメージを受けることになりそうです。

対中制裁関税パート2

9月18日

対中制裁関税パート2

 トランプ政権は、本日早朝に2000億ドル規模の制裁関税を発表しました。10%の関税となり、24日から実施されます。それに対して中国当局は、今朝から対応策を協議していることが伝わっております。

 ドル円は、トランプ政権による対中制裁関税の第3弾の発表を受けて今朝7時ごろからの1時間で20銭ほど円高に進みましたが、8時頃からは30銭ほど円安に進みました。NYダウ先物は、早朝に一時111ドル安まで下落しましたが、12:15時点で25ドル安まで戻しております。12:15時点で上海総合株価指数が0.1%高、日経平均株価が338円高です。トランプ政権が対中制裁関税の第3弾に踏み切ったものの、マーケットは全体的にあまり反応しておりません。

対中制裁関税

9月18日

対中制裁関税

トランプ大統領は17日朝方に自身のツイッター投稿で、「関税により、何千億ドル相当もの収入や雇用創出が沸き起こり、米国は交渉有利な立場になった。追加関税による製品コストの上昇はほとんど気付かない程度だ。もしある国が公正な貿易をアメリカとしないなら、その国は関税をかけられるのだ。」とコメントしました。そして、米国株の取引終了後に何らかの発表を行うとコメントしました。それを受け昨夜のNYダウが92ドル安で取引を終えました。

そして、トランプ政権は今朝、2000億ドル規模の対中制裁関税を発表しました。税率は10%となり、9月24日より発動されることになり、来年には税率を20%に引き上げるという内容です。更に、中国が対米報復関税に動くことになれば、即座に2670億ドル規模の対中制裁関税を発動させるという内容でした。それを受けてNYダウの電子取引が9:30時点で90ドル安となっております。

 

米中貿易摩擦の見通し

9月12日

米中貿易摩擦の見通し

トランプ米大統領は9月7日、2000億ドル規模の対中制裁関税が近く発動される可能性があるとした上で、新たに2670億ドル相当の対中制裁関税を課す用意があることを明らかとしました。それに対して中国外務省は9月10日、米国が更なる関税を実施すれば、中国としても対米報復関税を発動すると述べております。そしてトランプ大統領は9月11日、「中国との貿易問題に対して米国は強硬な姿勢を崩さない」と表明しました。それに対して中国政府は9月11日、米国が世界貿易機関(WTO)の判断を順守していないとして、米国に報復するための許可を月内にWTOに求める方針を明らかにしました。

 米国は、先月に340億ドル規模と160億ドル規模の対中経済制裁を実施しており、更に2000億ドル相当と2670億ドル相当の対中制裁関税を課すことになれば、すべての中国製品に制裁関税を課す計算となります。一方、中国は、米国が2000億ドル相当の対中関税を実施すすれば、直ちに600億ドル相当の対米報復関税を実施すると公表しております.中国は、先月に340億ドル規模と160億ドル規模の対米報復関税を実施しており、更に600億ドル相当の対米報復関税を実施することになれば、米国製品の約85%に報復感性を課す計算となります。

 トランプ大統領が昨夜、「中国との貿易問題に対して米国は強硬な姿勢を崩さない」と表明しており、米中貿易摩擦が更に強まることは避けられないと考えるべきかもしれません。米国と中国が共に更なる関税引き上げに動けば、米国経済や中国経済をかなり圧迫することになります。そして、現在のS&P500種株価指数が最高値水準にあることから、米中貿易摩擦が更に強まれば、米国株安を中心としたリスクオフの流れが強まることも十分考えられます。そうなれば、原油などのリスク志向の銘柄が下落し、NY金や日本円などリスクヘッジ志向の銘柄が買われる可能性が高まります。ここは、リスクオフの流れに警戒する局面となりそうです。

トランプ相場の展望

9月7日

トランプ相場の展望

 米国の経済制裁を受けて多くの新興国の通貨と株式が急落しました。米国は、昨年8月よりベネズエラに経済制裁を実施しており、ベネズエラの原油生産が激減し、先月にはベネズエラが自国通貨を10万分の1にするデノミを行ったほどベネズエラ経済は荒廃しました、今年になって米国は、中国やロシア、北朝鮮に度重なる経済制裁を実施し、トルコやイランにまで経済制裁を実施しました。そして、米国とメキシコ&カナダとの貿易摩擦も高まりました

中国元が急落し、上海総合株価指数も5月頃から急落して5年ぶりの安値まであと2%弱に迫りました。ロシアのルーブルは2年ぶりの安値となり、トルコのリラは最安値を更新しました。イランの自国通貨も暴落し、イラン経済もかなり荒廃しております。ここにきて「新興国市場のリスクの伝染拡大」が騒がれておりますが、その引き金を引いたのは、米国政府による複数の新興国に対する経済制裁でしょう。

米国による経済制裁や米国との貿易摩擦により、中国やロシア、トルコ、イラン、ベネズエラなど多くの新興国の通貨と株式が急落し、その流れは、インドやインドネシアや南アフリカなど多くの新興国市場にも波及しました。トランプ政権が「アメリカ・ファースト」的な政策を強めており、2016年の米大統領選でトランプ政権が誕生して以来、S&P500種株価指数が5割ほど上昇して最高値を記録した半面、MSCI新興国株価指数が1月の高値から20%以上下落して弱気相場入りとなり、新興国市場のリスクの伝染拡大が深刻化しております。一方、米国とEUとの貿易摩擦を嫌気が嫌気され、ユーロストック50株価指数も年初の高値から10%ほど下落しました。その反面、S&P500種株価指数が最高値となり、ますます「米国株一強」的な展開となっております。こうした米国株1強の流れは、2016年11月の米大統領選後から始まった「トランプ相場」の集大成といったところでしょうか。トランプ大統領の共和党が2016年11月の米大統領選で上院と下院の過半数議席を取得したことにより、「トランプ大統領の掲げるマニフェストはスムーズに実行される」との観測が高まり、トランプ相場が始まりました。しかし、共和党の上院議席は、100議席中51議席ですから、11月6日の米中間選挙で共和党が上院議席を1議席失うことになれば、共和党の上院議席が「過半数割れ」となります。そうなると、トランプ政権のその後の政策進行は、これまでのようにスムーズにはいかなくなります。しかも、トランプ大統領へのロシア疑惑や選挙資金疑惑への追及がこれまでと比べ物にならないほど強まることになりそうです。2016年11月の米大統領選後から始まったトランプ相場は、米中間選挙が迫ってきたことを受けて、そろそろ終焉の時を迎えるのかもしれません。それにより、そろそろリスクオフの流れへの対応を進めることも必要かもしれません。

米中貿易摩擦の行方

8月1日

米中貿易摩擦の行方

米政府は7月初めに340億ドル相当の中国製品に対して25%の追加関税を発動し、その直後に中国も340億ドル相当の米国製品に対する報復関税を発動しました。そして、トランプ大統領は7月10日に2000億ドル相当の中国製品に対して10%の追加関税を適応する方針を明らかにしました。この2000億ドル相当の追加関税に対しては、今月20~23日に公聴会を開催し、同案のパブリック・コメント期間を8月30日までとしております。それにより、来月1日から2000億ドル相当の中国製品に対する10%の追加関税が発動される可能性もあります。

ここにきてブルーム・バーグは、「トランプ政権が2000億ドル相当の中国製品に対して25%の追加関税を提案することを計画している。」と伝えております。7月10日時点では「10%」だった追加関税が「25%」に変更される可能性も高まってきたようです。その一方で、ムニューシン米財務長官と中国の劉鶴副首相が貿易戦争回避の道を模索していることが伝えられております。追加関税を10%から25%に引き上げようとすることは、米中通商交渉を睨んだトランプ大統領流の駆け引きかもしれません。中国としては、同案のパブリック・コメント期間である8月30日までに米中通商交渉を開催し、米国による追加関税の第2弾の発動を避けたいところでしょう。

モルガン・スタンレーの年央見通し

5月14日

モルガン・スタンレーの年央見通し

 大手投資銀行のモルガン・スタンレーは13日、「エンド・オブ・イージー(たやすさの終わり)」という題名の年央見通しを発表しました。それによると、「ここ9年間に見られた市場への多重の追い風が弱まりつつあり、政策引き締めは今や逆風が吹いていることを意味する。今や世界の株式は今後1年間の上昇余地が限定的なため、ウエートを従来の4%から2%に減らしてイコールウエートとする一方で、新興国の外貨建て債券や現金の比率を上げるべきだ。成長の勢いやインフレ、バランスシートの規模、利益見通しの修正、株式と債券の相関関係、米政策金利はいずれも過渡期にある。市場にとってこれは2018年1月にクレジット、2018年夏に利回り、2018年7~9月期に株式が相次いで天井打ちすることを意味する。」と指摘しております。そして、「欧州株および世界のエネルギー株はオーバーウエートに。日本円は2019年7~9月期までに1ドル=95円を付ける。米10年国債利回りは低下して2018年を終え、利回り曲線はフラット化。南アフリカ・ランドとブラジル・レアルの今後1年は力強い上昇に。」と指摘しております。

 上記のモルガン・スタンレーの年央見通しは、興味深い内容となっております。米国株が7~9月期に天井形成するのであれば、6月頃まではリスクオン志向の銘柄に注目し、7月頃から徐々に新興国通貨やリスクヘッジ銘柄となる金相場などに注目することも一考かもしれません。

米国株が2018年7~9月期に天井形成し、日本円が2019年7~9月期までに1ドル=95円を付けるのであれば、米国株が下落トレンドに突入したあたりから円高基調が始まる可能性もあります。それにより、2018年7~9月期あたりから円高基調への対応を取る必要もありそうです。

今回の米国企業の1~3月期決算は、近年最高の企業利益となりましたが、それでもNYダウが少ししか反応しておりません。4~6月期決算も良好な決算内容が予想されているだけに、それでもNYダウが今回と同様にあまり上昇出来ないようでは、米国株が天井形成する可能性もあります。まずは、米国企業の4~6月期決算が本格化する7月中旬~下旬辺りで米国株が天井形成する可能性に注目かもしれません。

1~3月期決算発表シーズンの山場を迎えて

4月26日

1~3月期決算発表シーズンの山場を迎えて

 昨夜のNYダウは14ドル高でした。NYダウは、4月18日からの5営業日で700ドルほど下落しております。米国企業の1~3月期決算発表が山場を迎えておりますが、それでもNYダウの軟調地合いが続いております。

 NYダウは、4月17日の上昇により、1月中旬から続く右肩下がりの上値抵抗線を少し上回り、年初から続く三角合いから上放れとなったように思われました、しかし、翌18日から5営業日で700ドルほど下落したことを受けて、再び三角保合いに戻りました。

これまでの四半期決算発表シーズン中の米国株は、良好な決算内容を好感して上昇する向がありました。特に今回の1~3月期決算では、S&P500種採用企業の企業利益がリーマンショック後で最高となる見通しです。それでも米国株の上昇力が示されないことに対して警戒が必要となりそうです。

今回の米国企業の決算内容は、事前予想通りに良好な内容が多いようですが、米10年債利回りが3%を上回り、株式市場への警戒が高まっております。2月下旬にも米10年債利回りが2.95%付近まで上昇し、株式市場への警戒が強まる場面もありました。そして、ここにきて再び米10年債利回りが上昇し始めたので、「良好な決算内容より長期金利の上昇に警戒」となっているようです。

今週1週間で280社ほどの米国企業の決算発表が行われ、今回の1~3月期決算発表シーズンの山場となります。それでも米国株が上昇出来ないようであれば、失望売りが加速する可能性があります。現在のNYダウは2万4083ドルですが、現水準から800ドルほど下落して2万3300ドル付近の年初から続く下値抵抗線を割り込むことになれば、「三角保合いからの下放れ」となります。米10年債利回りが昨日夕方から3%付近で推移しておりますが、現在の「3%付近での攻防戦」から上放れとなることになれば、NYダウが三角保合いから下放れとなる可能性も高まりそうです。
NYダウの日足

 

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